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現地校とインターナショナルスクールの違い|費用・英語環境・選び方を比較

8月28日
読了時間: 40分

この記事は、アメリカへの駐在に帯同するご家庭を対象としています。シンガポールや中国などの非英語圏では、現地の公立学校に入りにくい事情からインターナショナルスクールが標準的な選択肢になるでしょう。ところがアメリカでは前提が異なります。


公立の現地校に居住地をもとに入学でき、授業も基本的に英語で行われるためです。この違いを知らないまま情報を集めると、選ぶ軸が定まらないまま時間だけが過ぎてしまいます。


アメリカで子どもの学校を決めるとき、現地校とインターナショナルスクール(以下、インター)のどちらを選ぶべきか迷うご家庭は少なくありません。この選択で本当に見るべきなのは、費用・英語環境・学区の3つのポイントです。


英語が話せない子を現地校に入れて大丈夫だろうか、インターの学費は実際にいくらかかるのか、住む場所を決める前に何を調べておけばよいのか。この記事では、こうした疑問に公的な資料をもとに順を追ってお答えします。


なおこの記事でいうインターとは、アメリカにある私立学校のうち、外国の教育課程や二言語教育を提供する学校を指します。日本の学習指導要領に沿って学ぶ日本人学校は別の枠組みにあたるため、記事の後半で改めて取り上げます。また現地校という語は、公立と私立の双方を含む呼称として用いました。


【この記事でわかること】



現地校とインターナショナルスクールの違いを一覧で確認する

現地校とインターナショナルスクールの違いを一覧で確認する

はじめに両者の違いを大きくつかんでおくと、この後の費用や英語環境について理解しやすくなります。違いを理解するうえで欠かせない3つのポイントと、比較の全体像を順に確認します。


違いは費用・英語環境・学区の3つに集約される


両者の違いを細かく挙げると多岐にわたりますが、学校を選ぶうえで重要なのは費用・英語環境・学区の3つです


公立の現地校は税金で運営されており、授業料はかかりません。通学先は住んでいる学区によって決まるため、原則として保護者が学校を自由に選ぶ仕組みではありません。一方でインターは私立学校にあたり、学費と入学審査という2つのハードルがあります。授業で使う言語も学校によって異なり、英語以外の言語が中心になる学校も存在します。


カリキュラムや生徒の国籍構成といった違いも気になるところですが、まずはこの3つを押さえておくと、その後の検討を進めやすくなります。


4つの比較軸で全体像をつかむ


全体像を先に示すと、制度上の位置づけ・授業料・入学の仕組み・使用言語の4つで両者の輪郭が見えてきます


ここでひとつ、前提を整理しておきます。アメリカの学校は制度上、公立学校と私立学校の2つに大きく分かれます。インターはこのうち私立学校に含まれ、そのなかでも外国の教育課程や二言語教育を提供する学校を指す呼び方です。つまり私立の現地校とインターは、まったく別の制度にある学校ではなく、私立という同じ枠のなかで教育内容によって呼び分けられています。


なお本記事では便宜上、授業そのものにかかる費用を授業料、諸費用を含めた学校関連の負担全体を学費と表記します。表では授業料を、家計全体の負担を論じる場面では学費を用いる形にしました。


表1:現地校・インターナショナルスクール・日本人学校の比較早わかり

比較軸

公立現地校

私立現地校

インターナショナルスクール

日本人学校

制度上の位置づけ

公立学校

私立学校

私立学校のうち、外国の教育課程や二言語教育を提供する学校

文部科学大臣が認定する在外教育施設

運営主体

学区(School District)

民間の学校法人・宗教団体など

民間。各国政府や国際機関が関与する例もある

現地の日本人会など

授業料

無償

学校によって違いが大きい

学校によって違いが大きく、年間5万ドル前後の学校もある

学校により異なる

入学の仕組み

学区内の居住を証明すれば入学できる

出願・面接・成績書類の審査がある

出願・面接・成績書類の審査がある

各校の募集要項による

使用言語

英語

英語

英語のほか、フランス語・ドイツ語などが主軸の学校もある

日本語

通える地域

居住する学区で決まる

通学圏内にあれば選べる

通学圏内にあれば選べる

北米では設置地域が限られる

日本人学校は日本と同等の教育を全日制で受けられる選択肢ですが、北米では通える地域が限られます。この点は記事の後半で詳しく取り上げます。


またインターは学校によって違いが大きく、平均値で語りにくい点にもご注意ください。同じ呼び名でも、教育課程も使用言語も学校ごとに異なります。英語環境の詳しい比較は本記事の後半で、メリットとデメリットはさらにその後でまとめます。


アメリカでは他国と前提が異なる点に注意する


アメリカでの学校選びが分かりにくいのは、他国への駐在で一般的な考え方が通用しないからです。


シンガポールや中国、タイなどでは、現地の公立学校に外国籍の子どもが入りにくい事情があり、インターが標準的な選択肢になります。ところがアメリカでは、住んでいる地域の公立現地校に居住地をもとに入学でき、授業も基本的に英語で行われます。日本の保護者が思い描く英語で学べる国際的な教育環境は、アメリカではごく普通の現地校がそれにあたるのです。


つまり「英語環境を求めてインターナショナルスクールを選ぶ」という発想が、アメリカでは成立しにくいのです。この前提のズレに気づかないまま情報を集めると、選ぶ軸が定まらないまま時間だけが過ぎてしまいます。


アメリカの現地校とはどのような学校か

アメリカの現地校とはどのような学校か

現地校とひとまとめに語られがちですが、実際には公立と私立で入学方法も学校の性格も大きく異なります。駐在家庭が特に押さえておきたいのが、公立と私立の違い、そして学区の仕組みです。


現地校は公立と私立に分かれる


現地校とは、その地域に住む子どもが通うアメリカの学校を指す、日本人の間で使われている呼び方です。英語に対応する呼称があるわけではなく、日本人学校やインターと区別するために用いられています。


制度上は公立と私立に分かれ、この2つは費用も入学方法もまったく違います。駐在で渡米したご家庭が最初に検討することが多いのは、授業料のかからない公立現地校です。


学校生活の様子や日本の学校との違いについては、アメリカの現地校はどんなところ?で詳しく解説しています。


公立現地校は学区で通学先が決まる


公立現地校でまず知っておきたいのは、通学先を保護者が選べないという点です


アメリカの公立学校は学区(School District)という単位で運営されており、住所によって通う学校が自動的に割り当てられます。同じ市内でも、通りひとつ隔てるだけで通学先が変わることもあります。裏を返せば、住む場所を決めた時点で子どもの学校も決まるということです。


入学時に求められるのは、居住を証明する書類と子どもの記録です。賃貸契約書や公共料金の請求書で住所を示し、予防接種記録や前の学校の在学証明書を提出します。入学試験はなく、英語力を理由に公立学校への入学を拒否されることは原則としてありません。


私立現地校は学校によって性格が大きく異なる


私立現地校は、教育方針も規模も学校ごとに大きく異なります


宗教団体が運営する学校もあれば、宗教色を持たない独立系の学校もあります。少人数制を掲げる学校が多く、一人ひとりに目が届きやすい環境を売りにしているところも見られます。学区に縛られないため、住まいを決めた後からでも検討できる点は公立との大きな違いです。


入学には出願書類の提出と面接、これまでの成績書類の審査が求められることが多くなります。年度の途中で受け入れてもらえるかどうかは学校ごとの空き状況によるため、気になる学校があれば個別に問い合わせるのが確実です。


表2:公立現地校と私立現地校の違い

項目

公立現地校

私立現地校

通学先の決まり方

学区(住所)で決まる

学区に関係なく出願できる

入学審査

なし(居住証明が必要)

出願・面接・成績書類の審査がある

クラス規模

学区により差がある

少人数の学校が多い

教育方針

州および学区の学習基準に沿う

学校ごとに独自の方針を掲げる

年度途中の入学

学区内に転居すれば随時可能

学校による(空き状況次第)

費用の詳しい比較は記事の中盤で、英語環境の違いはその次の章で取り上げます。


アメリカのインターナショナルスクールとはどのような学校か

アメリカのインターナショナルスクールとはどのような学校か

日本で語られるインターナショナルスクールの姿と、アメリカにあるインターの実態には隔たりがあります。何を目的とした学校なのかを、系統ごとに整理します。


アメリカのインターは各国政府系や二言語系の学校が中心である


アメリカにあるインターの多くは、英語を学ぶための学校ではありません。フランス系やドイツ系、イギリス系といった、特定の国の教育課程を提供する学校が中心です。


こうした学校が設立された目的は、その国から来た家庭の子どもが母国の教育を続けられるようにすることにあります。フランス政府の認定を受けた学校であればフランスの課程に沿って学び、ドイツ系の学校であればドイツの課程に沿って学びます。そのため授業の多くが英語以外の言語で行われる学校や、二言語を併用する学校が少なくありません。


日本の保護者が思い描く「英語で国際的な教育を受ける学校」とは、成り立ちがかなり異なります。学校名に「International」と入っていても、中身は特定の国の学校である場合があると考えておくと、学校選びで混乱しにくくなります。


表3:アメリカで見られるインターナショナルスクールの主な系統

系統

特徴

主な使用言語

想定される対象家庭

各国政府系(フランス系・ドイツ系など)

母国の教育課程を海外で継続する目的で設立されている

その国の言語と英語

その国から来た家庭、または該当言語を習得したい家庭

イギリス系

イギリスの教育課程またはIBを提供する

英語

イギリス関連の転勤がある家庭

国際機関系

多国籍の家庭を対象にIBを提供する

英語

多国籍の環境を重視する家庭

二言語イマージョン系

英語と特定言語の二言語で学ぶ

英語と特定言語

二言語の習得を目的とする家庭

現地では、フランス系やドイツ系の学校をバイリンガルスクールと呼び分ける場面もあります。呼称にとらわれず、その学校がどの課程をどの言語で提供しているかを公式サイトで確かめるのが確実です。


出典:外務省「諸外国、地域の学校情報」ほか、各校公式サイト


IBを学ぶためにインターナショナルスクールへ通う必要は薄い


国際バカロレア(IB)を目的にインターを検討するご家庭は多いのですが、アメリカではその前提が崩れます。公立の現地校でもIBを学べる可能性が十分にあるからです。


アメリカはIBの導入が進んでいる国のひとつで、公立現地校のIB認定校が各州に存在します。国際バカロレア機構が公開している米国向けの調査レポートでは、州ごとの導入状況が公立と私立の双方について分析されており、米国内でPYP(初等教育プログラム)を提供する学校は648校にのぼります。


つまりインターに通わなくても、住む学区を選ぶことでIBを学べる場合があります。学区を調べる段階で、IB認定校があるかどうかを一度確認してみる価値があります。

なおIBを修了しておくと、帰国後の進路の幅も広がります。この点は記事の後半で詳しく取り上げますが、公立現地校のIB認定校を選べば、学費を抑えながらIBの利点も得られることになります。


表4:IBを学べる場所の比較

学ぶ場所

費用の負担

入学の条件

留意点

公立現地校のIB認定校

授業料は無償

学区内に居住していること

すべての学区にあるわけではないため事前確認が必要

私立現地校のIB認定校

学費がかかる

出願・審査がある

学校数は限られる

インターナショナルスクール

学費がかかる

出願・審査がある

英語以外の言語が主軸の学校もある

出典:国際バカロレア機構「Growth, access and outcomes


費用はどれくらい違うのか

費用はどれくらい違うのか

費用は学校選びで最も差が出る項目です。授業料そのものに加えて、見落とされやすい授業料以外の負担も押さえておきましょう。


公立現地校は授業料が無償である


公立現地校に子どもを通わせる場合、授業料はかかりません


これは在留資格の種類によって左右されるものでもありません。アメリカの最高裁判所は1982年のPlyler v. Doe判決で、在留資格を理由に子どもを無償の公教育から排除できないと判断しました。駐在の帯同ビザであっても、公立現地校に通う権利は保障されています。


ただし無償なのはあくまで授業料の部分です。実際には学用品や課外活動の費用など、家庭が負担する実費が発生します。その内訳は後ほど表で確認していきます。


インターナショナルスクールは年間5万ドル前後になる学校もある


インターの学費は学校によって大きく開きがあるため、相場をひとつの数字で示すのは困難です。そこで実際に金額を公開している学校の例を見てみます。


ニューヨークのUnited Nations International Schoolでは、2026-2027年度の授業料がPre-Kから4年生までで年額46,856ドル、9年生と10年生で年額50,911ドル、12年生では年額52,167ドルと公表されています。さらに入学が決まった時点で、入学金250ドル、授業料の前払い1,000ドル、保証金300ドル、新規家庭への一時金3,500ドルを合わせた5,050ドルを支払う必要があります。


フランス系のLycée Français de New Yorkでは、2026-2027年度の授業料がNursery-3から12年生まで一律で年額51,925ドルと案内されています。こちらも出願料200ドルに加え、新入生には初年度のみ3,000ドルの費用がかかります。


年間5万ドル前後という水準は、為替相場によって変動しますが、日本円にすると年間数百万円規模の負担になります。子どもが2人いれば単純に倍の金額がかかる計算です。会社の教育補助でどこまでまかなえるのかを、赴任前に確認しておくと安心できます。


授業料以外にかかる費用を見落とさない


学費を見積もるときに見落としやすいのが、授業料以外の費用です


公立現地校でも、学用品や課外活動費、遠足の費用、スクールランチ代などがかかります。スクールバスについては、無償で運行している学区もあれば、利用料を徴収する学区もあるので確認が必要です。インターの場合はここに出願料や入学時の一時金、教材費、スクールバス代などが上乗せされます。


先ほど挙げた2校の例でも、昼食代や教材費、保護者会の会費などが別途必要と明記されていました。日本語での学習を続けるために補習校へ通わせるのであれば、その費用も家計に加わります。


表5:学校タイプ別の年間費用の考え方

学校タイプ

授業料

授業料以外にかかる主な費用

確認方法

公立現地校

無償

学用品費、課外活動費、遠足費、ランチ代、スクールバス代(学区による)

学区の公式サイトで確認する

私立現地校

学校によって違いが大きい

入学金、教材費、制服代、課外活動費

各校の公式サイトで確認する

インターナショナルスクール

学校によって違いが大きく、年間5万ドル前後の学校もある

出願料、入学時一時金、保証金、昼食代、スクールバス代

各校の公式サイトで確認する

日本人学校・私立在外教育施設

学校により異なる

施設費、バス代

各校の公式サイトで確認する

補習授業校

学校により異なる

教材費、行事費

各校の公式サイトで確認する

日本人学校と公立現地校の費用差をより具体的に知りたい方は、ニューヨークでの日本語教育:日本人学校と公立校の学費比較もあわせてご覧ください。


学校にかかる費用の見通しが立ったら、次に考えたいのが入学後の学習サポートです。授業についていけるかどうかは、学校の種類だけで決まるものではありません。費用を抑えて現地校を選んだ場合でも、家庭での学習を支える手段を用意しておくと安心できます。


英語環境はどう違うのか

英語環境はどう違うのか

英語が話せない状態で渡米するご家庭にとって、最も気がかりなのが英語環境ではないでしょうか。公立現地校の英語支援が制度としてどう位置づけられているか、そしてインターの入学要件はどうなっているかを比べてみましょう。


公立現地校の英語支援は法律上の義務である


意外に思われるかもしれませんが、公立現地校が英語を母語としない子どもに行う支援は、学校の任意のサービスという位置づけではありません。法律上の義務として定められています


ここでいう支援とは、英語を母語としない子どもに向けた語学支援プログラムを指し、ESL(English as a Second Language)と呼ばれることもあります。名称や実施方法は学区の裁量に委ねられていますが、何らかの措置を取ること自体は学校側に求められた義務にあたります。


根拠となるのが1974年のLau v. Nichols判決です。英語が分からない子どもに言語面の手当てをしないまま授業を受けさせることが、公民権法第6編に違反すると判断されました。同じ年に制定された教育機会均等法(EEOA)でも、州と学区は言語の壁を取り除く適切な措置を取る責任を負うと定められています。


一方でインターは私立学校にあたるため、この公的な義務は及びません。英語のサポートがあるかどうかは、それぞれの学校の方針次第になります。



英語ができない子どもはアメリカで珍しい存在ではない


わが子だけが英語で苦労するのではないかという心配は、統計を見ると和らぐかもしれません。


全米教育統計センター(NCES)によれば、2021年秋の時点で公立現地校に通う児童生徒の10.6%にあたる約530万人が、English Learner(EL)として支援の対象に位置づけられています。10人に1人という規模であり、受け入れ実績のある学校は少なくありません。


ただし州による差はかなり大きく、割合が0.8%にとどまる州から20.2%に達する州まで開きがあります。支援の内容や手厚さも学区によって変わるため、学区を選ぶ段階で体制を確認しておく価値は十分にあります。


ESLの授業が実際にどのような内容で、どこまで学習の遅れを埋められるのかについては、ESLではアメリカ現地校の学習に不足あり?で詳しく解説しています。


出典:全米教育統計センター「English Learners in Public Schools


インターナショナルスクールは英語力を入学条件にする場合がある


インターは私立であるため、入学の基準を学校が自由に定めています


学年が上がるほど、授業についていけるだけの言語力を求める傾向が見られます。英語で書かれた課題をこなし、議論に加われることが前提になるからです。学校によっては英語力を示す資料の提出を求めるところもあり、渡米直後の子どもにとっては高い壁になりかねません。


もっとも、その言語の初学者に向けたクラスを用意している学校も存在します。実際のところは学校ごとに違うため、気になる学校があれば入学要件を個別に問い合わせるのが確実です。


インターナショナルスクールは英語以外の言語が主軸になる場合がある


英語を伸ばすつもりでインターを選んだのに、授業の多くが別の言語だったという事態も起こりえます


各国政府系のインターでは、母国の教育課程に沿って授業が進むため、その国の言語が中心になります。二言語イマージョン校の場合も、英語と対象言語をどのような割合で使うかは学校ごとに違うでしょう。願書を出す前に、教科ごとの使用言語を公式サイトで確かめておく必要があります。


周囲の言語環境という点でも違いが出てきます。公立現地校では英語を主な使用言語とする子どもが多数を占めるのに対し、インターでは英語を第二言語とする子どもが多く、さまざまな訛りの英語が飛び交う環境になりやすいと言われます。英語に触れる機会を増やしたいのか、多国籍の環境に慣れさせたいのか。求めるものによって、どちらが望ましいかは変わってきます。ただし生徒の構成は学校や地域によってかなり異なるので、実際に見学して雰囲気を確かめるのが確実です。


表6:英語環境の比較

項目

公立現地校

私立現地校

インターナショナルスクール

授業の使用言語

英語

英語

英語または各国言語、もしくは併用

英語力の入学要件

設けられていない

学校による

学校による。求められる場合がある

英語支援(ESLなど)の位置づけ

法律上の義務

学校の方針による

学校の方針による

支援の実施形態

学区・学校により異なる

学校により異なる

学校により異なる

周囲の言語環境

英語を主な使用言語とする児童生徒が中心

英語を主な使用言語とする児童生徒が中心

多国籍。英語を第二言語とする子どもも多い



カリキュラムと成績評価の違い

カリキュラムと成績評価の違い

学ぶ内容と評価のされ方は、その後の進路にも関わってきます。両者のカリキュラムがどう決まるのか、そして成績評価の考え方はどう違うのかを確認します。


現地校は州の学習基準に沿って進む


アメリカには、日本の学習指導要領にあたる全国共通の教育課程がありません。学ぶ内容は州と学区が定める学習基準によって決まります。


この仕組みは、州をまたいで引っ越す場合に影響します。同じ学年でも、州が変われば習う順序や範囲が違ってくるためです。転勤で州を移動した際に、まだ習っていない単元が前提になっていたり、逆に既習の内容を繰り返したりすることも起こります。


学年区分も学区によって異なります。5年生までを小学校とする学区もあれば、6年生から中学校が始まる学区も見られました。使用する教科書も学区ごとに採択されるので、同じ州でも隣の学区とは違う教材を使っている場合が出てきます。


インターナショナルスクールは学校ごとに教育課程が異なる


インターの場合、どの教育課程を採用しているかが学校選びの中心になります


国際バカロレア(IB)を提供する学校もあれば、フランスやドイツなど特定の国の課程に沿って進む学校、独自の課程を組んでいる学校もあります。同じ国の系統に属していても、学校によって採用している課程が違うケースは珍しくありません。


課程が異なると、転校したときに履修内容がうまくつながらないことがあります。将来どの国で進学するのかを念頭に置き、その学校で何を修了できるのかを事前に確かめておくと、後の選択肢が狭まりにくくなります。


成績評価と進級の考え方に違いがある


日本の学校と大きく違うのが、成績のつけられ方です。


現地校では、日々の課題や宿題、小テストの積み重ねが成績に反映されます。期末試験だけで挽回する仕組みにはなっておらず、毎日の提出物をきちんとこなすことが評価に直結します。宿題を出し忘れただけで成績が下がることもあり、渡米直後のご家庭が戸惑いやすい点です。


インターでは、採用している課程が定める基準に沿って評価されます。IBのように最終学年で外部試験を受ける課程もあり、その場合は試験の結果が進路を大きく左右します。


どちらを選んだ場合でも、渡米してしばらくは言語の壁が成績に表れます。内容を理解していても、英語で答案を書けなければ点数につながりません。成績表の見方が分からず、子どもがどこでつまずいているのか把握できないという声も少なくありません。


表7:カリキュラムと評価方式の比較

項目

現地校

インターナショナルスクール

教育課程の決まり方

州および学区が定める

学校が採用する課程による

課程の例

州の学習基準に基づく課程、IB、AP

IB、各国の国家課程、独自課程

評価の中心

日常の課題・宿題・テストの積み重ね

課程が定める評価基準

外部試験

APなど任意で受験する

課程により最終学年で課される

転校時の接続

州をまたぐと進度が変わることがある

同一課程の学校であれば接続しやすい


帰国後の進路と帰国子女枠への影響

帰国後の進路と帰国子女枠への影響

数年後に日本へ戻る予定があるご家庭にとって、学校選びは帰国後の受験にもつながります。在籍していた学校の種類が、その後の進路にどう関わるのかを整理します。


帰国子女枠の応募条件は学校ごとに異なる


まず押さえておきたいのは、帰国子女枠に全国共通の基準が存在しないという点です


応募できる条件は、日本の各学校がそれぞれ独自に定めています。海外に滞在していた期間を条件にする学校もあれば、在籍していた学校の種類を要件に含める学校もあります。帰国してからの経過月数に上限を設けているところも見られました。たとえば海外に住んでいた期間を1年半以上とする学校もあれば、中学と高校で継続して3学年以上といった、より細かい条件を設けている学校もあります。


そのため「帰国子女枠があるから大丈夫」と考えるのは早計です。志望校の募集要項を実際に読み、自分の子どもが条件を満たすかどうかを確かめる必要があります。志望校がまだ固まっていない段階であっても、いくつかの学校の要項に目を通しておくと、条件の傾向がつかめて動きやすくなります。


在籍校の種類は有利不利ではなく応募資格に関わる


現地校とインターのどちらが受験で有利なのかと気にされる方は多いのですが、そもそも優劣を論じる話ではありません。在籍校の種類は、応募できるかどうかという入り口の条件として関わってきます


高校受験で帰国生を受け入れている学校の多くは、帰国してからの年数、海外に住んでいた年数、そして出身校の種類という3つを条件に定めています。出身校については、現地校とインターナショナルスクール、日本人学校のいずれも対象としている学校が多く見られます。どちらを選んでも応募の道は開けていると考えて差し支えありません。


学習成果の示し方には、それぞれ特徴が見られました。インターで国際バカロレア(IB)を修了した場合、IBは国際的に通用する大学入学資格として認められており、日本でも82の大学がIBのスコアを活用した入試を実施しています。世界共通の基準で評価されるので、成果を数値で示しやすいという利点も生まれます。


一方で現地校の成績は、学区や学校ごとに評価の基準が異なります。そのため大学によっては、成績証明書に加えてTOEFLなどの外部試験のスコア提出を求める場合があります。現地校に通う場合は、こうした外部試験の準備も進路計画に組み込んでおくと安心です。


いずれの場合も、成績表や在学証明書は在籍している間から保管しておくことが大切です。帰国が決まってから慌てて取り寄せようとしても、学校の休みと重なって手続きが進まないことがあります。書類は学期ごとに受け取った時点で保管する習慣をつけておくと、後で困りません。


出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した入試


どちらを選んでも日本語力の維持は別途必要になる


現地校とインターに共通する課題が、日本語の扱いです。


どちらの学校にも、日本語で国語を学ぶ授業は基本的に用意されていません。日常会話は家庭で維持できても、読み書きや漢字は意識して取り組まないと力が落ちていきます。帰国後に日本の学校へ戻る場合、この差が学習面での負担として表れます。


対策としては、補習校に通う方法、オンラインで学習する方法、家庭で教材を進める方法などがあります。どれを選ぶにしても、渡米してから始めるまでの期間が空くほど埋め合わせが大変になります。


なお日本語力の維持は、受験のためだけに必要なわけではありません。親子が込み入った話をするときの共通言語として、日本語が育っているかどうかは家庭生活そのものに関わってきます。


表8:帰国後の進路から見た学校選びの比較

項目

現地校

インターナショナルスクール

日本人学校・私立在外教育施設

授業の使用言語

英語

学校が採用する課程による

日本語

学習成果の示し方

成績証明書。外部試験のスコアを求められる場合がある

IB修了者はスコアを活用できる

日本の成績評価に準拠する

日本の教育課程の履修

対象外

対象外

日本の学習指導要領に準拠する

日本語力の維持

別途の対策が必要

別途の対策が必要

学校生活の中で維持される

帰国生入試の応募資格

対象としている学校が多い

対象としている学校が多い

対象としている学校が多い

必要書類

成績表・在学証明書を保管しておく

成績表・在学証明書を保管しておく

在学証明書を保管しておく

日本人学校と補習校という選択肢

日本人学校と補習校という選択肢

アメリカでの学校選びは、現地校とインターの2択で語られがちです。ところが実際には、日本語で学べる選択肢も視野に入ります。設置状況と、多くのご家庭が実際に取っている形を確認しましょう。


アメリカで全日制の日本人向け学校を選べる地域は限られる


日本語で学べる学校を探すとき、まず知っておきたいのは選択肢の少なさです


文部科学省は、海外にある日本人向けの教育施設を日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設の3種類に分類しています。このうち日本人学校は、日本と同等の教育を行う全日制の施設です。現地の日本人会などが主体となって設立され、教育課程は国内の学習指導要領に基づき、教科書も日本で使われているものが用いられます。令和6年4月15日現在で、世界49カ国・1地域に94校が設置され、約1万6千人が学んでいます。


ただし北米で通える地域は限られており、居住地によっては通学圏内に日本人学校が存在しません。


これとは別に、日本の学校法人が母体となって海外に設けた私立在外教育施設という枠組みもあります。令和6年4月15日現在で世界に6校が設置されており、カリフォルニア州トーランスにある西大和学園カリフォルニア校もそのひとつです。


なお日本人学校と私立在外教育施設はいずれも文部科学大臣の認定を受けており、中学部の卒業者は日本の高等学校の入学資格を、高等部の卒業者は日本の大学の入学資格を得られます。帰国後の進学を見据えるうえで、この点は押さえておく価値があります。


出典:文部科学省「在外教育施設の概要


アメリカで多く取られている形は現地校と補習校の組み合わせである


日本人学校に通える地域が限られるなかで、実際に多くのご家庭が選んでいるのが補習校との併用です


補習授業校とは、平日に現地校やインターへ通っている日本人の子どもに向けて、土曜日や放課後を使い、日本語で国内の一部の教科を教える施設です。昭和33年にアメリカのワシントンで始まり、令和6年7月1日現在では世界51カ国・1地域に242校が設置されています。在籍者は令和6年4月15日時点で約2万1千人にのぼり、日本人学校の在籍者数を上回っています。


なお補習授業校は、日本人学校や私立在外教育施設とは所管が異なります。文部科学大臣が認定するのは日本人学校と私立在外教育施設であり、補習授業校は外務大臣が指定する枠組みにあたります。


授業は国語を中心に、施設によって算数や理科、社会などが加わります。使用する教科書は日本国内のものです。日本語の力を保つだけでなく、日本語で交流できる友人と過ごす場としても機能しています。


一方で負担がないわけではありません。現地校の宿題と補習校の課題が重なる時期には、子どもの負担がはっきりと増します。平日は英語で学び、土曜は日本語で学ぶ生活が続くため、無理のない範囲でどう組み立てるかが実際の課題になります。


補習校の仕組みや費用、入学の方法については、アメリカの補習校とは?で詳しく解説しています。


学区選びは住居選びと同時に決まる

学区選びは住居選びと同時に決まる

見落とされやすいのが、学校選びと住居選びの順序です。公立現地校を選ぶ場合に締切がいつ来るのか、そして渡米する時期によって何が変わるのかを解説します。


住居契約の前に学区を確認する


公立現地校を考えているなら、学校選びの締切は入学手続きのときではありません。住居の契約書にサインした時点で、通う学校はすでに決まっています


学区は州や市とは別の単位で区切られており、隣り合う町でも教育環境が異なることがあります。同じ市内であっても、通りを一本隔てるだけで通学先が変わる場合もあります。物件を先に決めてから学校を調べ始めると、選び直す手立てが残っていません。


そのため、物件探しと学区の確認は同時に進める必要があります。会社が住居を手配してくれる場合でも、学区について希望があるなら早い段階で伝えておきましょう。契約が固まってからでは、動かせる余地がほとんどなくなります。


確認しておきたいのは、学年の区切り方、英語支援の体制、そしてIB認定校があるかどうかです。学区の公式サイトに情報が公開されており、直接問い合わせにも応じてもらえます。

学区制の仕組みや入学時に必要な書類については、アメリカと日本の小学校を徹底比較で詳しく解説しています。


学期の開始時期から逆算して動く


もうひとつ意識しておきたいのが、日本とは違う学年暦です


アメリカの新学年は8月から9月にかけて始まる学区が多く、開始日も学区ごとにばらつきがあるでしょう。日本のように4月始まりではないので、渡米の時期によって編入のタイミングが変わってきます。学年の途中から入ることも可能ですが、その場合は授業がすでに進んだ状態から加わることになります。


学年の割り当てにも注意が必要です。アメリカでは原則として生年月日をもとに学年が決まるため、日本での学年とずれることがあります。日本で早生まれの子が、アメリカでは1学年下に入る場合も珍しくありません。


赴任の内示が出たら、学区のアカデミックカレンダーを確認し、渡米の時期と手続きの締切を突き合わせておきましょう。学校が夏休みに入ると事務手続きが進みにくくなる場合があるため、書類の手配は余裕をもって進めておくと安心です。


インターナショナルスクールは学区の制約を受けないが席の確保が課題になる


インターを検討する場合、住居選びとの関係は変わります。ただし別の制約が生まれます。


学区に関係なく出願できるため、住まいを決めた後からでも選択の余地が残ります。学区の教育環境に不安がある場合の逃げ道になりうる点は、公立現地校にはない利点です。


一方で、時期を逃すと席そのものがありません。アメリカの私立学校やインターは、8月から始まる新学年に向けた出願を前年の秋から冬にかけて締め切るのが一般的です。先ほど学費の例に挙げたUnited Nations International Schoolの場合、2026-27年度の出願は2025年9月1日に始まり、締切は同年11月15日と案内されています。面接や書類の提出も、2026年1月中旬までに終える必要があります。


赴任の内示から渡米までが数か月しかない場合、この日程には間に合いません。締切後も国際転勤の家庭からの出願を受け付ける学校はありますが、入学が保証されるわけではなく、空き状況と審査の結果によります。同校では年度途中の入学枠も設けられていますが、こちらも3月1日という締切が定められています。


ここに公立現地校との決定的な違いがあります。公立現地校は学区内に居住していれば、年度の途中でも転入できる場合があります。インターは定員に達していると、渡米してからでは入れません。検討するなら、赴任が決まった時点ですぐ各校の出願時期を確認し、間に合わない場合の代替案も同時に考えておく必要があります。


なお通学の負担も見落とせません。学校数が限られているため通学距離が長くなりやすく、スクールバスの運行範囲外に住むと送迎が家庭の負担になります。


表9:渡米前後の意思決定タイムライン

時期

公立現地校を検討する場合

インターナショナルスクールを検討する場合

赴任内示が出たらすぐ

赴任先の学区を調べ、候補地域を絞る

各校の出願締切を確認する。前年秋に締め切る学校が多い

渡米6か月以上前

学区のアカデミックカレンダーと学年区分を確認する

出願手続きを進め、書類を提出する

渡米3か月前

候補物件の学区を絞り込む

面接や評価を受ける。オンラインで実施する学校もある

渡米1か月前

住居を学区と合わせて確定する

入学の可否を確認し、席を確保する

渡米直後

居住証明と予防接種記録を揃えて手続きする

入学手続きを済ませる

入学後1か月から3か月

英語支援の内容と学習の進み具合を確認する

授業についていけているかを確認する

出願時期に間に合わなかった場合は、まず公立現地校に通いながら翌年度の出願を目指す方法があります。学区内に住んでいれば受け入れてもらえるため、渡米直後の空白期間を作らずに済みます。


現地校・インターそれぞれのメリットとデメリット

現地校・インターそれぞれのメリットとデメリット

ここまでの内容を、実際の選択に落とし込みます。それぞれのメリットとデメリットを整理したうえで、滞在期間、子どもの年齢と英語力、帰国後の進路という3つの軸で考えます。


現地校とインターのメリットとデメリットを整理する


費用や制度の比較だけでは見えてこないのが、日々の学校生活の実感です。ここでは学校生活の面から、それぞれの長所と短所を並べてみます。


現地校では、自分の考えを言葉にして伝える場面が多くなる傾向があります。授業中の発言や発表が評価につながるため、控えめな姿勢でいると存在が埋もれてしまうかもしれません。多国籍の生徒が集まるインターでは、相手の背景が異なることを前提に、互いへの配慮を促す指導を掲げる学校も見られます。


保護者の関わり方にも差が出ます。公立現地校ではPTAやボランティアの活動が盛んな学区があり、行事の運営や教室の手伝いに保護者が加わる機会が多くなります。英語でのやり取りに不安があると、この点が負担に感じられるかもしれません。インターの場合は学校によって方針がさまざまで、保護者会が活発な学校もあれば、関与を求めない学校もあります。


インターを選ぶ場合に留意したいのが、交友関係の広がり方です。学校の規模が小さいと、同じ学年で顔を合わせる相手が限られ、人間関係が固定化しやすい面があります。通学圏も広く分散するため、放課後に近所の友だちと遊ぶという機会は少なくなりがちです。地域のコミュニティとの接点という点では、近所に同級生が住んでいる公立現地校のほうが自然につながりやすいでしょう。


表10:現地校とインターナショナルスクールのメリット・デメリット

学校タイプ

メリット

デメリット

公立現地校

授業料が無償である。地域のコミュニティになじみやすい。通学距離が短くなりやすい。学区内に住めば受け入れられる。英語支援が法律上の義務として提供される

通学先を選べない。学区によって教育環境の差が大きい。日本語の授業がない

私立現地校

居住地とは別に選べる。少人数の学校が多い。独自の教育方針を選べる

学費がかかる。入学審査がある。通学距離が長くなることがある。日本語の授業がない

インターナショナルスクール

多国籍の環境で学べる。再赴任時に課程の連続性を保ちやすい。英語以外の言語を習得できる。IB修了者は進路の選択肢が広がる

学費が高額になりやすい。出願時期を逃すと入れない。通学距離が長くなりやすい。交友関係が固定化しやすい面がある。地域とのつながりが薄くなりやすい

ただし学校生活の雰囲気は、学校や地域によって大きく異なります。同じ公立現地校でも学区が変われば様子は違いますし、インターも学校ごとに文化が育っています。可能であれば見学に足を運び、実際の空気を確かめるのが確実です。


出発点は滞在予定期間である


どこから考え始めればよいか迷ったら、滞在予定期間から入るのが分かりやすい方法です


数年で帰国する見込みがあるなら、日本語の力をどう保つかが中心の課題になります。帰国後に日本の学校へ戻ることを前提に、補習校や家庭学習を組み合わせる形が現実的です。長期の滞在や永住の可能性があるなら、現地での進学を見据えた選択になります。


滞在期間が決まっていない場合は、途中で方針を変えられる余地を残しておくと安心です。公立現地校は学区内に住んでいれば受け入れられ、転入や転出の手続きも比較的簡単に進みます。まず公立現地校から始めて、状況を見ながら考え直す進め方には合理性があります。


子どもの年齢と英語力で選択が分かれる


年齢によって、渡米後に直面する課題は変わってきます。


低学年で渡米した場合、教科の内容そのものがまだ易しいため、英語と学習を並行して進めやすいでしょう。高学年や中学生以降になると、抽象的な概念を扱う教科が増え、英語の習得と教科学習を同時にこなす負担が大きくなります。読み書きの量も一気に増えていきます。


英語力が足りないことを理由に、公立現地校が入学を断ることはありません。ただし入学できることと、授業についていけることは別の話です。学校の英語支援だけでは追いつかない場面も出てきます。そうした状況を想定して、家庭でどう補うかを渡米前から考えておくと、いざというときに慌てずに済みます。


帰国後の進路希望から逆算する


数年先の進路から逆に考えると、いま何を優先すべきかが見えてきます


日本の中学や高校への進学を想定するなら、日本語力の維持計画を学校選びと同時に立てます。現地での進学を考えるなら、現地校での成績と課外活動の積み重ねが重要になります。どちらの可能性も残しておきたい場合は、現地校と補習校の併用が現実的な形です。


志望校の候補が少しでもあるなら、募集要項に早めに目を通しておきます。必要な在籍期間や提出書類が分かれば、渡米中に準備できることが具体的になります。


チェックリストで最終確認する


最後に、確認漏れがないかを点検します。特に住居を契約する前に済ませておくべき項目は、後から取り返せません。


迷ったときは、変更の余地が大きい選択肢から始めるという考え方があります。公立現地校は入り直しがきくのに対し、インターは定員に達すると翌年度まで待つことになりかねません。この非対称性を踏まえておくと、判断しやすくなります。


表11:家庭の状況別に検討しやすい選択肢

家庭の状況

検討しやすい選択肢

理由

3年以内に帰国予定で小学生

公立現地校と補習校の組み合わせ

費用を抑えつつ日本語力も保てる

滞在期間が未定

公立現地校と補習校の組み合わせ

方針の変更に対応しやすい

長期滞在または永住の可能性がある

公立現地校または私立現地校

現地での進学に接続しやすい

英語以外の言語習得が目的

インターナショナルスクール

該当言語の教育課程を継続できる

数年後に別の国へ再赴任する見込み

インターナショナルスクール

教育課程の連続性を保ちやすい

学区の教育環境に不安がある

私立現地校またはインターナショナルスクール

居住地とは別に選べる。ただし出願時期に間に合うことが前提になる

表12:学校選びのチェックリスト

確認項目

確認する場所

確認する時期

インターナショナルスクールの出願締切と要件

各校の公式サイト

赴任内示が出たらすぐ

赴任先の学区名と学校名

学区の公式サイト

住居を決める前

学年の区切り方と学期の開始日

学区の公式サイト

住居を決める前

英語支援(ESLなど)の体制

学区または学校に問い合わせる

住居を決める前

IB認定の有無

学区または学校の公式サイト

住居を決める前

授業料と授業料以外の費用

各校の公式サイト

渡米2〜3か月前

通学圏内の補習校

補習校の公式サイト

渡米後1か月以内

成績表・在学証明書の保管方法

在籍校

在籍中は随時

学校を決めた後に多くのご家庭が直面するのが、英語での宿題にどう向き合うかという問題です。学校の支援だけでは足りないと感じたときは、日本語で相談できるオンライン家庭教師という選択肢もあります。


現地校とインターナショナルスクールに関するよくある質問

現地校とインターナショナルスクールに関するよくある質問

最後に、駐在ファミリーから寄せられることの多い疑問を取り上げます。迷いやすいところを、それぞれ簡潔にお答えします。


英語が話せなくても現地校に入れますか


公立現地校は英語力を入学の要件にしていないため、話せない状態でも入学できます


英語を母語としない子どもへの支援は、学校の任意ではなく法律上の義務として位置づけられています。全米の公立学校に通う児童生徒のうち約1割が支援の対象になっており、受け入れの経験を持つ学校は少なくありません。


ただし支援の内容や手厚さは学区によって差があります。住む地域を決める前に、体制を問い合わせておくと安心できます。


学年はどのように決まりますか


生年月日をもとに学年が割り当てられるのが基本です


日本の学年区分とは基準日が異なるので、想定していた学年と食い違うケースが出てきます。特に日本で早生まれの場合、1学年下に編入する形になることもあります。


学年を下げて編入することを認めるかどうかは、学区や学校の運用によって変わります。英語力を考慮して調整に応じる学校もあるため、まずは学校へ相談してみてください。


インターナショナルスクールに日本人はどのくらい通っていますか


学校ごとに生徒の構成が違うため、一律の割合を示すことはできません


各校の公式サイトには、生徒の国籍数や構成比を公開しているところがあります。気になる学校があれば、そうした情報を確認するか、学校説明会で直接尋ねてみるのが確実です。


日本人が多い学校には、渡米直後の子どもが安心して過ごせるという利点があります。一方で日本語を使う時間が長くなり、英語に触れる機会が減る面もあるでしょう。どちらが望ましいかは、その学校に何を求めるかによって変わってきます。


途中で現地校からインターナショナルスクールへ移ることはできますか


制度上は可能ですが、空き状況と出願の時期に大きく左右されます


インターは新学年に向けた出願を前年の秋から冬に締め切る学校が多く、年度途中の受け入れ枠も限られています。移りたいと思った時点で申し込んでも、次の年度まで待つことになる場合があります。


学年が上がるほど、授業についていける言語力を求められる傾向もあります。採用している教育課程が変わることで、履修内容の接続に注意が必要になる点も押さえておいてください。


現地校とインターナショナルスクールのどちらでも日本語は維持できますか


どちらの学校でも、日本語の授業は基本的に時間割に入っていません


力を保つには、補習校に通う、オンラインで学習する、家庭で教材を進めるといった方法を別途組み合わせる必要があります。特に読み書きと漢字は、意識して続けないと学年相当の日本語力を維持しにくくなります。


帰国の予定があるかどうかにかかわらず、早めに計画を立てておくほど負担は軽くなります。


インターナショナルスクールの学費に補助や奨学金はありますか


学校によっては、学費の補助や奨学金の制度を設けています


たとえばLycée Français de New Yorkは、学校独自の制度に加え、フランス政府による支援についても案内しています。制度の有無や条件は学校ごとに異なるため、各校の公式サイトで確認してください。


あわせて勤務先の規定も確かめておきます。駐在員向けに教育補助を用意している企業があり、対象となる学校の範囲や上限額が定められている場合があります。


短期の駐在ならどちらを選ぶべきですか


滞在が短いほど、帰国後の学習にどうつなげるかを重視して選ぶことになります


費用の面と、方針を変えやすいという点から、公立現地校と補習校を組み合わせる形が選ばれることは多くあります。インターは出願の時期が早いため、赴任までの期間が短い場合はそもそも間に合わないことも考えられます。


ただし、子どもの年齢と英語力によって適切な組み合わせは変わります。短期だからこの学校、と一律に決められるものではありません。


まとめ|費用・英語環境・学区の3つのポイントから考える

まとめ|費用・英語環境・学区の3つのポイントから考える

ここまでの内容を3つの結論に整理し、今日から動ける手順を示します。


本記事の3つの結論


1つ目は、英語習得だけが目的なら、インターナショナルスクールを選ぶ必要性は高くないという点です。アメリカの公立現地校は授業料が無償で、授業も基本的に英語で行われます。英語で学ぶ国際的な環境を求めるのであれば、普通の現地校で条件は満たされるでしょう。国際バカロレアについても、公立現地校のIB認定校が各州に存在するため、学区を調べる価値があります。


2つ目は、英語が苦手な子どもへの支援について、公立現地校のほうが制度的な裏づけを持っているという点です。公立学校の英語支援は法律上の義務として定められており、学校側に提供しないという選択肢はありません。私立にあたるインターには、この義務が及びません。


3つ目は、締切の違いです。公立現地校を選ぶ場合、学校選びは住居を契約した時点で事実上決まります。インターを選ぶ場合は、出願の締切が前年の秋から冬に設定されている学校が多く、赴任が決まった時点ですぐ動く必要があります。どちらを検討するにしても、思っているより早い段階で情報を集め始めることが肝心です。


今すぐできる最初の一歩


取るべき行動は、現在の段階によって異なります


赴任が決まったばかりであれば、まず学区を調べるところから始めます。インターも視野に入れるなら、同時に各校の出願締切を確認してください。すでに渡米して学校生活が始まっているなら、子どもが授業についていけているかを担任やカウンセラーに尋ねてみてください。


表13:今すぐできる最初の一歩

段階

最初に取る行動

赴任内示が出たばかり

赴任先の学区を調べる。インターを検討するなら各校の出願締切も同時に確認する

住居を探している

候補物件の学区と学年区分を確かめてから契約する

渡米した直後

居住証明と予防接種記録を揃えて学区へ手続きする

入学して数週間が経った

授業についていけているかを担任やカウンセラーに確認し、必要なら学習サポートを検討する

学校選びは、渡米前後の限られた時間のなかで進めなければならない作業です。それでも、費用と英語環境、そして学区という3つの軸を押さえておけば、判断の材料は揃います。あとはご家庭の事情に当てはめて、納得のいく選択をしてください。


学校が決まった後に待っているのは、日々の宿題と授業についていく毎日です。英語で書かれた課題を前に子どもの手が止まってしまうとき、日本語で相談できる相手がいると負担はかなり軽くなります。アメリカ宿題サポートでは、次の4つのステップで予約が完了します。

手順

内容

1

講師紹介から先生を選ぶ

2

LINEに登録する

3

先生と連絡を取る

4

レッスンを予約する

初回レッスン無料キャンペーンが実施されており、クーポンコード「FirstTime」をコピーしてチェックアウト時に使用します。まずは一度試したうえで、お子さんと講師の相性を確かめるところから始められます。



記事作成者 (Manami Palmini)


まなみ

講師経歴

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  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


 
 
 

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