アメリカの中学校で学ぶ算数のカリキュラムとは?留学や駐在前に知っておきたい基礎知識
- Manami Fujita
- 5月22日
- 読了時間: 5分
更新日:6月4日
アメリカの中学校(Middle School)に通う予定のあるお子さんを持つ保護者の方や、これからアメリカへの留学・駐在を予定されている方にとって、現地の学校でどんな算数(数学)を学ぶのかは大きな関心事ではないでしょうか?
本記事では、アメリカの中学校での算数・数学教育の流れや、学年ごとの学習内容、よく使われるカリキュラムや教材について詳しく解説します。
アメリカの教育制度に馴染みのない方にも分かりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

アメリカの中学校における数学教育の全体像
アメリカの中学校では、6年生から8年生(日本の小6〜中2程度)にかけて「算数から数学へ」と段階的に学びが進んでいきます。
一般的な流れは以下のようになっています:
6年生:基礎算数の応用・発展
7年生:Pre-Algebra(プレ・アルジェブラ)
8年生:Algebra I(代数1)またはPre-Algebraの応用
その後、高校では以下のような順で進みます:
Geometry(幾何)
Algebra II(代数2)
Pre-Calculus / Calculus(微積分)
Statistics(統計)などの選択科目
中には、算数が得意な生徒は8年生で高校の内容を先取りして学ぶこともあります。
これは「アドバンスト・トラック」や「ギフテッド教育」と呼ばれる制度によって支えられています。
学年別:アメリカの中学校における算数・数学の内容
◼️ 6年生:基礎力の応用を学ぶ時期
6年生では、小学校で習った算数の復習と発展が中心です。以下のような内容が扱われます:
分数や小数の計算(加減乗除)
割合・比・比率の基本
単位の変換や測定
数直線や負の数(整数)の概念
グラフの読み取りとデータ整理
この段階でしっかりと数の感覚(number sense)を育てることが、後の数学の土台となります。
◼️ 7年生:Pre-Algebra(プレ・アルジェブラ)へのステップ
7年生になると、より抽象的な内容が加わり、いよいよ「Pre-Algebra」と呼ばれる準備段階に入ります。
主な学習内容は以下の通りです:
正負の数(整数)の演算
一次方程式の導入(1ステップの解法)
比・比例・反比例
代数的な式とその操作
基本的な幾何学(角度、面積など)
グラフの描き方とデータの分析
「x」や「y」を使った数式を学び始め、方程式の世界に少しずつ入っていきます。
◼️ 8年生:Algebra Iへの移行と応用的内容
8年生では、Pre-Algebraの内容を発展させ、より本格的な代数を学ぶ「Algebra I」が導入される学校もあります。
学習内容の一例:
連立方程式と不等式
一次関数とグラフ
指数の法則
因数分解と式の展開
体積・表面積・三角形の性質などの幾何学
確率・統計の基本
これらはすでに日本の中学数学〜高校1年レベルに相当する内容であり、スピード感をもって進んでいく印象です。
アメリカでよく使われる算数カリキュラムと指導法
◼️ Common Core State Standards(共通基準)
アメリカの多くの州では、Common Core State Standards(CCSS)と呼ばれる全国共通の教育基準を採用しています。
この基準に基づいて、各学年で「どのような概念をどの深さで学ぶか」が決められています。
算数・数学の領域は以下の5つに大きく分けられます:
数と数の性質(Number Sense)
代数的思考(Algebraic Thinking)
幾何(Geometry)
測定と単位(Measurement)
データ分析と確率(Data & Statistics)
◼️ Eureka Math(ユリイカ・マス)
「Eureka Math」は、Common Coreに対応した代表的な教材で、多くの学区で採用されています。
特徴は以下の通り:
概念理解を重視
視覚的な教材(図やモデル)を多用
生徒が自ら考える「数学的習慣(Math Practice)」を養成
◼️ Integrated Math(統合数学)
州によっては、伝統的な「Algebra → Geometry → Algebra II」という分け方ではなく、「Integrated Math」という形式を取っていることもあります。
これは、代数・幾何・統計などを混ぜて学ぶアプローチで、日本人には少し馴染みにくいかもしれませんが、論理的思考を段階的に深められるというメリットがあります。
よく登場する重要概念
◼️ 比と割合(Ratios & Proportions)
中学校算数の中心的なトピックの一つが「比・割合」です。
料理や買い物、科学の実験など、実生活に直結するテーマとしても取り扱われます。
例:「もし4つのリンゴが2ドルなら、10個でいくらになる?」というような単位あたりの計算を通じて、概念を深めていきます。
◼️ 線形方程式とグラフ(Linear Equations)
7〜8年生で本格的に扱われるのが、「一次方程式とそのグラフ」。
座標平面上に線を描き、変数同士の関係性を視覚的に理解します。
この分野では「y = mx + b」などの形が登場し、関数的思考の基礎となります。
最後に:アメリカ中学校の数学は「思考力重視」
アメリカの中学校では、単なる計算だけでなく、なぜそうなるのか?という思考プロセスを重視しています。
たとえば「この式がなぜこうなるのか」「他の解法はあるか?」など、説明力・表現力・批判的思考力が求められるのです。
日本の数学教育が「正解を出す」ことに重点を置く傾向があるのに対し、アメリカでは「自分の考えを論理的に述べる」ことが重視されている点は、大きな違いかもしれません。
まとめ:アメリカでの算数教育に備えるために
アメリカの中学校での算数・数学教育は、段階的に抽象度を増しながら、「考える力」を育てる構成になっています。
事前にどのような内容を学ぶのか知っておくことで、お子さんもスムーズに授業に馴染むことができるでしょう。
駐在や留学を控えている方は、ぜひこの記事を参考に、お子さんの学習サポートの一助としてください。
アメリカ宿題サポートでは、アメリカに住むお子さんの学習サポートを提供しています。
記事作成者 (Manami Palmini) ![]() 講師経歴
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