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Ratioって何?アメリカ中学生が最初に習う“比”の学び方と実例

アメリカの中学数学では、実生活に根ざした概念を重視して学びます。


その中でも最初の単元で多く登場するのが「Ratio(比)」という考え方です。


この「Ratio」は、日本語で「比率」や「割合」と訳されることもありますが、単なる計算ではなく、「量と量の関係性」を多角的に捉える力を養うものとして位置づけられています。


今回は、アメリカの中学数学の授業でRatioをどのように導入・学習しているのかを、現地のカリキュラムを参考にしながらご紹介します。


Ratioとは?——「2つの量の関係性」を表現する言葉


Ratio(比)とは、2つ以上の量を比較して、その関係性を言葉や数字で表す方法です。


たとえば、

  • 赤いリンゴが6個、青いリンゴが3個あった場合、赤と青のリンゴの比は「6対3」や「6:3」と書けます。

  • 3カップの小麦粉に対して2個の卵を使うレシピなら、「3対2の比率」と表現できます。


アメリカの中学校では、こうした身近な数量の例を用いながら、Ratioの考え方を導入します。


これは日本の「割合」や「分数」の単元にも似ていますが、Ratioは言語活動を伴う点が特徴的です。


アメリカの中学数学:Ratioの授業の進め方


アメリカの授業では、「Ratioの定義」を押しつけるように教えるのではなく、生徒たちが自分の言葉でRatioを使ってみることに重点を置いています。


① 日常のモノを使って分類し、比を作る


まず生徒たちは、ブロックや図形、身の回りのモノを観察し、それらを色、形、大きさなどの属性でグループ分けします。


例:「赤いブロックが8個、青いブロックが4個ある。赤と青の比は8:4。」

このように、目で見てわかるものを使って比を表すことで、数学が単なる数字遊びではなく、実世界の「ものの見方」であることを体感します。


② 比の言い方を複数学ぶ


比の表現方法には、いくつかのパターンがあります。アメリカでは、これらすべてを「正しい方法」として紹介します:


  • The ratio of A to B is 3 to 2.

  • The ratio of A to B is 3 : 2.

  • There are 3 As for every 2 Bs.


言い換え練習を通して、言葉と数字の両方で比を表現する力を養います。


英語力と数学力を同時に高めるスタイルは、アメリカの中学教育の大きな特徴でもあります。


比を使って図を描く:視覚的理解を促す


比の概念が言語で表現できるようになったら、次は図形やブロックを使って比を可視化します。


たとえば:

「赤2つに対して青1つ」の比を持つ長方形を色塗りする→ 赤い部分が全体の2/3、青い部分が1/3になるように塗る

この活動を通して、比と面積・形・比率の感覚がつながり、「2:1という比は、実際にはどんな見た目なのか」が理解できます。


また、「合計が24平方単位の長方形に色を塗る」という課題では、面積や単位、分数の知識も同時に活用します。


つまり、Ratioの学習は他の単元ともリンクする「数学的思考の土台」を築くものなのです。


生徒自身のコレクションで比を分析


アメリカの中学では、「教師のコレクションを観察して比を書く」→「自分の持ち物を使って比を書く」という順で、段階的に学習が進みます。


自分のペンや文房具、図書カードなどを3つのカテゴリに分け、それぞれの数量を表にまとめます。


そして:

  • The ratio of pens to erasers is 5 to 2.

  • There are 2 notebooks for every 1 pencil case.


など、自分の環境から数学を発見していく形式で、主体的な学びを促進します。

なぜRatioは重要なのか?


Ratioは、次のような多くの場面で登場します:


  • レシピや料理(3カップの水に対して2カップの米)

  • 地図(縮尺)

  • スポーツ(打率、勝率)

  • 経済(為替レート、物価比)


つまりRatioは、生活・社会・自然すべてに通じる「関係性をとらえる力」です。


アメリカの教育現場では、こうした応用例も豊富に紹介し、「この数学はなぜ学ぶのか?


という問いに自然と答えられるように設計されています。


日本とアメリカの中学数学の違い


日本では、Ratioにあたる内容は「割合」や「速さ」など、やや抽象的な単元として扱われがちです。


一方アメリカでは、「Ratio=関係性を言葉で表す力」として、コミュニケーション能力と結びつけながら学ぶ点が特徴的です。


また、日本の授業では黒板を中心に計算式を重視する傾向がありますが、アメリカの中学数学では、ペアワーク、ディスカッション、図や実物を使ったアクティビティが重視されます。


この違いは、アメリカで駐在や留学をしている日本人家庭にとっては、戸惑いの一因にもなるでしょう。


しかし、Ratioの学び方に触れることで、「数学=記号操作」ではなく、「考える力を育む言語活動」なのだと実感できます。


まとめ:Ratioは「数のセンス」を育てる鍵


アメリカの中学数学で最初に学ぶ単元の一つであるRatio(比)は、単なる数学の用語ではなく、「量と量の関係性を見抜き、言葉で説明する力」を育むものです。


分類・言い換え・視覚化・ディスカッションなどを通して、Ratioの考え方は日常生活から社会まで幅広く応用されていきます。


アメリカで暮らす中学生やその保護者にとって、Ratioの授業は単なる計算を超えた「思考のレッスン」として意味を持ちます。


アメリカ宿題サポートでは、アメリカに住むお子さんの学習サポートを提供しています。


記事作成者 (Manami Palmini)


まなみ

講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い



 
 
 

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