文章問題でつまずかないために知っておきたいアメリカ算数の特徴
- Manami Fujita
- 3 日前
- 読了時間: 6分
アメリカの学校教育で、多くの生徒がつまずきやすい分野の一つが「算数の文章問題」です。
単に計算ができるだけでは解けないので、海外からの留学生や駐在員の子どもにとって特に難しく感じられることがあります。
この記事では、なぜアメリカの算数の文章問題が難しいのか、その原因を探りつつ、具体的な対策についても紹介していきます。

アメリカの算数教育の特徴
アメリカの算数教育は、日本と比べて「問題を通して考える力」を重視する傾向があります。
単純な計算力よりも、なぜその計算をするのか、どう考えれば答えにたどり着けるのかを理解することが求められます。
そのため、文章問題には次のような特徴があります。
日常生活に関連した設定
例:「もしあなたが毎週3冊の本を読んだ場合、1年間で何冊読めるでしょうか?」数字だけでなく、生活や物語の状況を読み取り、計算に結びつける力が必要です。
複数ステップの計算が必要
一つの答えを出すために、計算を順序立てて進める必要があります。例:お菓子を3人で分け、余った分をさらに友達にあげる場合の計算など。
論理的思考を問う問題が多い
単に「足す」「引く」ではなく、「なぜその操作をするのか」を考えさせる問題が含まれます。
こうした特徴が、日本の学校で慣れてきた生徒にとっては「問題文が長く、何を求められているのかわからない」という印象を与えやすいのです。
文章問題が難しく感じられる原因
では、アメリカの算数の文章問題が難しいと感じられる具体的な理由を整理してみましょう。
(1) 英語力の影響
日本からの留学生や駐在員の子どもは、英語で問題文を理解すること自体が大きな負担です。
文章問題には数字だけでなく、「how many」「in total」「left over」などの算数特有の表現が多く登場します。
英語の意味を取り違えると、正しい計算にたどり着けません。
(2) 問題文の情報整理の難しさ
文章問題では、与えられた情報を整理して計算式に変換する力が必要です。
どの数字を使うか
どの順番で計算するか
何を求めるのか
これらを整理するステップが抜けると、答えが合わなくなります。
(3) 複数の考え方が許容される
アメリカの算数では、一つの正解にたどり着く方法が複数認められる場合があります。
例:足し算と引き算の順番を変えても、最終的に答えが同じであれば正解とされることがあります。
日本の学校で「決まった計算手順」に慣れている生徒には、この柔軟性が混乱の原因になります。
(4) 問題設定が抽象的な場合がある
文章問題の中には、現実の生活場面を抽象化して表現しているものもあります。
例えば「もしクラスで半分の生徒がサッカーチームに入り、残りはバスケットボールに参加したら…」という問題では、具体的な状況を頭の中で整理する力が必要です。
これが苦手だと、数字を見ただけで答えを出すことはできません。

文章問題を解くための具体的な対策
難しさの原因がわかれば、対策も立てやすくなります。
ここでは、アメリカで算数の文章問題を克服するための方法を紹介します。
(1) 英語の読解力を高める
文章問題の理解は、英語の力に直結します。
算数に特有の表現を覚える「total」「difference」「more than」など、算数の文脈で使われる単語や表現をリスト化して覚えるとスムーズです。
問題文を声に出して読む声に出すことで、頭の中で状況を整理しやすくなります。
(2) 問題文の情報を整理する習慣をつける
文章問題に取り組むときは、まず紙に情報を書き出すことが効果的です。
数字や条件を箇条書きにする
求めたいものを明確にする
計算のステップを順序立てる
こうすることで、頭の中だけで整理するよりも混乱が少なくなります。
(3) 図や表にまとめる
アメリカの教育現場でも、図や表を使って考えることが推奨されます。
棒グラフや絵を描く
数字を表に整理する
視覚的に情報を整理すると、問題の意味がわかりやすくなります。
(4) 解き方のパターンを覚える
文章問題には、よく出るパターンがあります。
合計を求める問題
差を求める問題
分ける・配る問題
パターンを理解し、どの計算方法を使うかを判断できるように練習しておくと、自信をもって解けるようになります。
(5) 小さなステップで確認する
複雑な問題では、一度に全てを解こうとするとミスが増えます。
一つの計算が正しいか確認してから次へ進む
途中経過をノートに書き留める
こうした習慣が正答率を上げる鍵です。
家庭でできるサポート方法
保護者が家庭でサポートする場合も、単に答えを教えるのではなく、考え方を引き出すことが大切です。
問題文を一緒に読み、意味を確認する
どんな情報が必要か子どもに考えさせる
図や表を書かせながら説明させる
答えの根拠を口頭で説明させる
こうすることで、文章問題に対する苦手意識を減らし、自分で考える力を伸ばすことができます。
学校や塾での学習ポイント
学校や塾での学習では、次の点を意識すると効果的です。
問題を多く解くことより、理解することを優先
数をこなすだけでは、文章問題の力は伸びません。どうしてその計算をするのかを考えることが大切です。
解法のプロセスを言語化させる
解き方を文章で説明する練習をすると、論理的思考力と英語力が同時に伸びます。
ステップごとにフィードバックをもらう
小さな成功体験を積むことで、文章問題に対する苦手意識を克服できます。
まとめ
アメリカでの算数の文章問題は、単なる計算力ではなく、読解力、論理的思考、問題整理能力が求められるため、多くの生徒にとって難しく感じられます。
しかし、英語表現の理解、情報整理、図や表の活用、解法パターンの習得など、段階を踏んだ学習を行えば、確実に力を伸ばすことができます。
家庭や学校でのサポートを上手に活用し、子どもが自分で考え、答えを導き出せる経験を積むことが、文章問題克服の一番の近道です。
文章問題を楽しみながら解けるようになれば、算数全体の学力も自然と向上していくでしょう。
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記事作成者 (Manami Palmini) ![]() 講師経歴
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