アメリカの高校数学:Geometry(幾何)ってどんな科目?|図形と思考力を育てる大切な1年
- Manami Fujita
- 2 days ago
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アメリカの高校で学ぶ数学のなかでも、「Geometry(幾何)」は特に印象的な1年になると言われています。
図形を扱うこの科目では、形の性質を学ぶだけでなく、“なぜそうなるのか”を考える論理的な力を育てていきます。
日本では幾何の内容が中学・高校に分かれて登場しますが、アメリカではGeometryが1つの教科として、1年間かけてじっくり学ばれるのが特徴です。
この記事では、アメリカの高校で学ぶGeometryの内容や授業スタイル、将来につながる力などを、わかりやすく紹介していきます。
「アメリカの高校生活のリアル|体験談からわかる日本との違い」の記事も参考にしてください。

アメリカの高校数学とGeometryの位置づけ
アメリカの高校では、数学は学年ごとに段階的に進んでいきます。多くの学校で採用されているのは、こんな流れです:
9年生(中学3年生に相当):Algebra I(代数)
10年生:Geometry(幾何)
11年生:Algebra II(代数の応用)
12年生:Pre-Calculus、Calculus、またはStatisticsなどの選択科目
Geometryはこの中でも2年目の基本科目として位置づけられていて、代数で数式に慣れた後に、「図形」や「論理」の世界へとステップアップするかたちです。
数字だけでは見えにくかった世界を、図形を通じて目に見えるかたちで学んでいくのが特徴です。
Geometryではどんなことを学ぶの?
アメリカの高校でのGeometryは、ただ図形を覚えるだけの授業ではありません。
「どうしてそうなるのか?」を自分で考えて説明する力を重視します。主な内容はこちらです:
● 図形の基本と定義
点・直線・面とは何か
平行線と角の関係(錯角や同位角)
三角形の合同条件(SSS、SASなど)
● 三角形・多角形の性質
三角形の内角の和
特別な三角形(直角・二等辺・正三角形)
多角形の構造や性質
● 円とその周辺
弦、弧、接線の性質
円周角と中心角
円に関する定理とその活用
● 面積・体積の計算
平面図形の面積公式(長方形、三角形、円など)
立体図形(円柱、円錐、球など)の体積・表面積
● 座標平面と図形の移動
点や直線を座標で扱う
図形の平行移動、回転、反射、拡大縮小など
● 論理と証明
命題やその逆・裏・対偶
証明の書き方(2カラムの証明や文章での説明)
「公式を覚えて計算する」というよりも、「なぜそう言えるのか?」を考え、自分の言葉で説明する力が求められる科目です。
授業スタイルの特徴:答えよりも“考え方”を大切に
アメリカの高校のGeometryの授業は、生徒が主体となって学ぶスタイルが一般的です。
先生が一方的に教えるのではなく、生徒同士の会話や探究の時間が多く取り入れられています。
たとえば:
グループでの話し合い:お互いの考えを共有しながら学ぶ
図形を実際に作る活動:折り紙やジオボードを使って図形を体感
「なぜ?」を大切にする姿勢:定理や公式を、試行錯誤しながら自分の中で納得する
たとえば「三角形の内角の和はなぜ180度になるのか?」という問題では、紙を切ったり、図を描いたり、グループで議論しながら、自分たちでその理由を見つけ出すプロセスが大切にされます。
“自分で見つける”楽しさを感じられる工夫がたくさんあるのです。
Geometryが育てる力と、その後のステップ
Geometryで身につける力は、この先の学習にもつながっていきます。特に:
論理的に考える力
図や言葉で説明する表現力
空間をイメージする力
これは、次に学ぶAlgebra IIやPre-Calculusだけでなく、理科やプログラミング、デザインや建築といった分野でも役に立ちます。
将来、STEM(科学・技術・工学・数学)分野を目指す人にとっても、Geometryは避けて通れない土台になります。
州や学校によって学び方に違いも
アメリカは州ごとに教育方針が異なるため、Geometryの授業内容にも多少の違いがあります。
多くの州:Common Core(共通基準)に沿ったカリキュラム
一部の州(テキサス州など):独自の基準を採用
学校によっては、代数と幾何を統合した“Integrated Math”を導入
つまり、Geometryの「どこから学ぶか」「どこまで学ぶか」は地域や学校によってさまざまです。
それでも「図形を使って論理的に考える力を育てる」という軸は共通しています。

苦手な子どもへのサポート体制も充実
Geometryは、「答えは出せるけれど、どう説明すればいいかわからない…」という声がよく聞かれる分野です。でも、そんなときのサポート体制も整っています。
学校内での放課後補習やチュータリング
Khan AcademyやIXLといった無料オンライン教材
図形を視覚的に学べるGeoGebraなどのアプリ
必要に応じて**個別指導プログラム(IEP)**も利用可能
「わからない」と感じたら、無理せずにこうしたリソースを使いながら、少しずつ理解を深めていくのがポイントです。
Geometryは大学入試や将来の仕事にも役立つ!
アメリカの大学入試では、Geometryの履修はほぼ必須。
特にSATやACTといった標準テストにもGeometryの問題が出てきます。
さらに、将来エンジニアや建築家を目指す人にとっては、図形や空間の理解力がそのまま仕事の力になります。
論理的に考え、筋道立てて説明できる力は、どんな分野でも大きな武器になるはずです。
まとめ:図形を通して「考える」ことを学ぶ1年
アメリカの高校で学ぶGeometry(幾何)は、ただの図形の授業ではありません。
「なぜそうなるのか?」と考え、自分の言葉で説明する力をじっくりと育てる、大切な1年です。
図形の性質に触れることで、目に見える世界の見方が変わり、思考の幅も広がっていきます。
アメリカで高校生活を送る予定のある方は、ぜひGeometryを前向きに楽しんでみてください。
数学の奥深さと、自分で考えることの面白さに出会えるはずです。
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記事作成者 (Manami Palmini) ![]() 講師経歴
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