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在米中に進める帰国子女の大学受験|帰国生入試の出願条件・英語資格・準備スケジュール

9月22日
読了時間: 46分

更新日:6 日前

アメリカに駐在し、お子さんが高校生になると、日本の大学をどう受験するのかが、急に現実味を帯びてきます。現地校の勉強についていくだけで精一杯なのに、日本の入試まで見なければならない。そう感じている保護者は少なくありません。


外務省の海外在留邦人数調査統計によると、令和6年10月1日現在、米国には41万3380人の日本人が暮らしています。海外在留邦人全体の32.0%にあたり、国別では最も多い人数です。同じ状況で悩んでいるご家庭は、決して珍しくないといえるでしょう。


帰国生入試は、帰国してから考える入試ではありません。在外中の在籍期間、現地校の成績、そして英語資格が、受験できる大学を大きく左右します。


この記事では、日本の大学の帰国生入試に絞って解説します。出願条件、必要な英語資格、高校1年から逆算した準備スケジュールを、時系列で整理していきます。



【この記事でわかること】





帰国子女の大学受験には日本の大学と米国の大学の二つの道がある

帰国子女の大学受験には日本の大学と米国の大学の二つの道がある

アメリカの現地校に通うお子さんの進路には、日本の大学と米国の大学という二つの方向があります。どちらを軸に置くかで、現地校で選ぶ科目も、受けておくべき英語資格も変わってきます。


まずは全体像を押さえておきましょう。そのうえで、次の章から日本の大学の帰国生入試に絞って解説します。


日本の大学を受けるときの三つのルート


日本の大学を受ける方法は、大きく三つに分かれます。帰国生入試、総合型選抜、一般選抜の三つです。


帰国生入試は、一定の出願資格を満たす受験生を対象とする入試方式です。在外の学校に在籍した期間や、現地校の卒業といった要件を満たしていることが前提になります。


出願資格を満たさない場合でも、総合型選抜という道が残ります。書類と面接を中心に選考する方式で、帰国生であるかどうかを問わない大学もあるためです。


三つのうちどれを主軸に置くかで、高校生活のなかで力を入れる対象が変わります。早い段階で見当をつけておくと、準備が空回りしにくくなるでしょう。


米国の大学に進む場合との違い


米国の大学に進む場合、評価の重心は現地校での積み重ねに置かれます。成績と課外活動の比重が高く、日々の学校生活がそのまま出願材料になるためです。


エッセイや推薦状も選考の中心にあります。自分の経験をどう語るかが問われる点で、日本の帰国生入試とは性格が異なります。


出願の時期も提出物も、日本の大学とは別の体系だと考えたほうが安全です。両方を同じ感覚で準備すると、どちらの締め切りにも間に合わなくなりかねません。


米国の大学の受験制度については、アメリカの大学受験システムで詳しく解説しています。


どちらを軸にするかを高校1年のうちに決めておきたい理由


軸を決める時期は、高校1年のうちが目安になります。理由は三つあります。


一つ目は、履修科目の選び方が進路によって変わるためです。米国の大学を目指すならHonorsやAPの積み上げが効きますが、日本の帰国生入試では小論文や面接の比重が上がります。


二つ目は、受ける英語資格の種類と時期が変わるからです。三つ目は、保護者の任期と帰国の見通しが、そのまま受験できる大学の範囲を左右するためです。


迷ったまま高校2年を迎えると、選べる選択肢はむしろ狭まっていきます。どちらかに決めきれない場合でも、両方の要件を並べて比べておくだけで動きやすくなります。


表1:日本の大学と米国の大学の進み方の違い


比較項目

日本の大学(帰国生入試)

米国の大学

主な評価対象

出願書類・小論文・面接・学科試験

現地校の成績・エッセイ・課外活動

英語資格

TOEFL iBT・IELTS・英検などのスコア提出

大学により提出不要の場合もある

出願時期

私立は夏、国公立は秋から冬に実施する大学がある

秋から冬にかけて出願

在外中にできること

在籍年数と成績の確保、スコア取得

履修計画と課外活動の積み上げ

決め手になりやすい条件

在外年数と卒業の要件を満たせるか

現地校での成績を維持できるか



表2:日本の大学を受ける三つのルート


ルート

使える家庭

主な選考

時期の傾向

帰国生入試

出願資格(在外年数・卒業要件)を満たす家庭

書類・小論文・面接・学科試験

私立は夏に出願する大学がある

総合型選抜

帰国生入試の出願資格を満たさない場合でも出願できる大学・方式がある

書類・面接・課題

秋から冬

一般選抜

高校卒業(見込)があれば出願できる

学科試験

冬から春



帰国生入試(帰国子女枠)とはどのような入試か

帰国生入試(帰国子女枠)とはどのような入試か

帰国生入試は、海外で学んだ経験を評価するために設けられた入試方式です。日本の高校のカリキュラムを前提としない点で、一般選抜とは性格が異なります。


ただし、対象者は大学ごとに定められており、入試の名称も統一されていません。まずは制度の輪郭から確認していきましょう。


「帰国子女」の範囲は大学ごとの出願資格で決まる


帰国子女という言葉に、大学入試で共通して使われる基準はありません。誰が対象になるかは、大学ごとの出願資格によって線引きされます。


主な判断基準となるのは、在外の学校に在籍した期間、現地校の卒業要件、帰国後の経過年数の三つです。この三つの組み合わせ方が大学ごとに違います。


同じ経歴でも、大学によって出願できたりできなかったりします。自分の家庭が該当するかどうかは、志望校の募集要項で一つずつ確かめておきましょう。


帰国生入試の目的と一般選抜との違い


この枠が設けられている背景には、海外の教育課程で学んだ生徒を日本の高校生と同じ物差しで測れないという事情があります。学んできた内容も評価の基準も違うためです。


募集人数は多くありません。一橋大学の外国学校出身者選抜では、商学部・経済学部・法学部・社会学部のいずれも募集人員が5人以内と定められています。


それでも、一般選抜とは異なる出願資格と選考枠で選抜されるため、受験者層も異なります。準備内容が大きく異なるのはそのためです。



選考は書類・小論文・学科試験・面接の組み合わせ


選考の中身は、大学によって組み合わせが変わります。書類審査に加えて、小論文や学科試験、面接を課す形が中心です。


英語資格のスコアや現地校の成績が選考材料となる場合もあります。課される科目は大学・学部ごとに定められているため、募集要項で確かめておきましょう。


一橋大学の外国学校出身者選抜では、外国語(英語)と小論文の学力試験に面接を加え、各100点の合計300点で判定されます。上智大学の海外就学経験者(帰国生)入学試験では、学科試問と面接、書類審査によって総合的に判定される仕組みです。


志望校の選考方法によって、力を入れる対象は大きく変わります。



大学によって入試の名称が違う


志望校を探す段階でつまずく家庭は少なくありません。入試の名称が大学ごとに違うためです。


上智大学は「海外就学経験者(帰国生)入学試験」、慶應義塾大学は「帰国生対象入学試験」、早稲田大学は「帰国生入学試験」と呼びます。国立大学では「外国学校出身者選抜」や「外国学校卒業学生特別選考」といった名称も使われています。


「帰国子女入試」という言葉だけで探しても、志望校のページにたどり着けないことがあります。大学の入試情報ページで、対象学部とあわせて名称を確認してください。



帰国生入試は狭き門なのか


募集人数の少なさだけで、難易度を判断する必要はありません。出願資格を満たす受験生に限られるため、母集団が一般選抜とは異なるからです。


倍率は大学・学部によって差があります。人気の集まる学部もあれば、そうでない学部もあります。


受験できる大学を早めに把握しておくことで、選択肢を広げられます。難易度を見るときは、倍率だけでなく、出願資格の厳しさ、学部ごとの募集人員、選考方法の三つをあわせて確認してください。実施している大学と学部は、後の章で一覧にまとめました。


表3:一般選抜と帰国生入試の主な違い


項目

一般選抜

帰国生入試

出願資格

高校卒業(見込)があれば出願できる

在外年数・卒業要件などの条件がある

主な選考

学科試験

書類審査・小論文・面接・学科試験

英語資格

不要な大学もある

出願条件または評価対象になる

出願時期

冬から春

私立は夏、国公立は秋から冬に実施する大学がある

競う相手

全国の受験生

出願資格を満たす受験生



表4:帰国生入試の選考方法の型


型

選考の中身

準備の重心

書類・面接型

出願書類と面接で判定する

志望理由書と面接の受け答え

小論文型

小論文と面接を組み合わせる

日本語で論を組み立てる力

学科試験型

英語・数学・理科などの試験を課す

教科の学力と過去問演習



帰国生入試の出願条件①|在外年数と卒業要件

帰国生入試の出願条件①|在外年数と卒業要件

出願条件は大学ごとに違いますが、共通して問われる軸があります。在外での在籍年数と、現地校の卒業に関する要件です。


条件を満たせるかどうかは、いつ渡米していつ帰国するかに大きく左右されます。ここでは、主な五つの条件を順に確認します。


多くの大学で見られる「最終学年を含む2年以上の在籍」


まず問われるのが、在外の学校に継続して在籍した年数です。多くの大学が2年以上を求めています。


分かれ目になるのは、その2年に最終学年が含まれるかどうかです。上智大学の海外就学経験者(帰国生)入学試験では、中学・高校の6年間のうち2年以上継続して在籍した者、または高校の最終学年を含めて通算2年以上在籍した者と定められています。


早稲田大学教育学部の帰国生入学試験でも、日本国外の中等教育機関に最終学年を含め2年以上継続して在籍していることが条件です。


慶應義塾大学の帰国生対象入学試験では、この「最終学年を含め2年」が、日本の高等学校の第2学年および第3学年に相当する2年間だと明記されています。数え方の基準が示されている点で参考になります。


年数の数え方は大学によって細かく違うため、志望校の募集要項で必ず確かめてください。一橋大学のように、日本国内のインターナショナルスクールやアメリカンスクールに在学した期間を含めないと明記している大学もあります。



学校教育における12年以上の課程を修了していること


二つ目の条件は、学校教育の12年の課程を終えていることです。国内外を問わず通算で数えられます。


米国の高校課程を修了した場合、通常は12年の課程に相当するものとして扱われます。日本の中学から現地校へ移った家庭でも、日本での在学期間を含めて計算されるためです。ただし出願資格の判断は大学ごとに行われるため、募集要項で確認してください。


修了の時期に幅を設ける大学もあります。一橋大学は令和7年4月1日から令和8年3月31日までに卒業または修了した者、およびその見込みの者と定めています。


飛び級をした場合は、12年に届いているかを個別に確認する必要があります。年数が形式的に足りていても、大学が認めるとは限らないためです。


現地校の卒業(見込み)が求められる場合がある


三つ目は卒業に関する条件です。多くの大学では、卒業見込みの段階で出願できます。


ただし卒業証明書の提出時期が指定される場合があります。出願時に見込証明書、合格後に卒業証明書という二段構えを求める大学もある点に注意してください。


在籍している学校の種別も確認しておきたい点です。日本人学校やインターナショナルスクールの扱いは大学ごとに異なります。


自分の通う学校が出願資格の対象に入るかどうかは、早い段階で確かめておくと安心です。学校を移る判断にも関わってくるためです。


帰国後の経過年数に上限を設ける大学がある


四つ目は、帰国してからの時間に関する条件です。一定期間を過ぎると出願できなくなる大学があります。


確認できた範囲では、高校の卒業から2年以内を目安に区切る大学が多く見られます。自分が間に合うかどうかは、まずこの目安で見当をつけてください。


東京大学の外国学校卒業学生特別選考では、日本以外の国の高校卒業等の基礎資格を初めて取得してから2年以内と定められています。国際基督教大学のように、12年以上の課程の修了時期を2年幅で区切る形をとる大学もあります。


高校の途中で帰国した場合は、日本の高校での在籍期間が条件に影響する点にも注意が必要です。


再挑戦そのものを認めない大学もあります。慶應義塾大学の帰国生対象入学試験では、出願資格の共通条件に「過年度に帰国生対象入学試験に出願していない者」と定められており、一度出願すると翌年度以降は出願できません。


浪人を選んだ場合に資格が外れる可能性がある点は、早めに把握しておきましょう。進路の決め方そのものに関わってきます。



日本国籍または永住許可を求める大学がある


五つ目は国籍に関する条件です。帰国生入試を日本国籍のある受験生に限る大学があります。


東京大学の外国学校卒業学生特別選考では、日本国籍または日本の永住許可を持つ人が第2種(帰国生徒)の対象です。一橋大学の外国学校出身者選抜も、日本国籍を有する者または日本国の永住許可を取得している者を出願資格に挙げています。同志社大学の海外修学経験者(帰国生)入学試験でも、日本国籍を有する者(永住者の在留資格を持つ者を含む)と定められています。


一方で、慶應義塾大学の帰国生対象入学試験は、出願資格の共通条件に国籍の項目を挙げていません。ただし医学部だけは学部別条件で、日本国籍を有する者、永住者、または特別永住者であることを求めています。大学によって、また学部によっても扱いが分かれる部分です。


二重国籍や永住権をお持ちのご家庭は、志望校がどこまでを対象としているかを早めに確認してください。募集要項の出願資格の欄を必ず読んでおきましょう。



表5:主要大学の出願条件の例(2026年9月時点で各大学の公表資料を確認)


大学・学部

在籍に関する条件

あわせて求められること

上智大学(海外就学経験者入試)

中高6年間で2年以上継続在籍、または最終学年を含み通算2年以上

国内外を問わず12年以上の課程を修了または修了見込み

早稲田大学 教育学部(帰国生入学試験)

日本国外の日本の教育制度以外の課程の中等教育機関に最終学年を含め2年以上継続して在籍

卒業または卒業見込み

一橋大学(外国学校出身者選抜)

最終学年を含めて2学年以上継続して在学。国内のインターナショナルスクール・アメリカンスクールの期間は含まない

12年の課程を指定の期間内に卒業または修了見込み

東京大学(外国学校卒業学生特別選考 第2種)

外国に在住しながら、12年課程の最終学校に最終学年を含め継続して2年以上在学し修了。または最終学年からさかのぼる6年間のうち通算5年以上在学し修了

日本国籍または日本の永住許可。基礎資格の初回取得が2027年度入試では2025年4月1日〜2027年3月31日。TOEFL iBTまたはIELTSを出願開始日前2年以内に受験

慶應義塾大学(帰国生対象入学試験)

国内外を問わず12年以上の課程を修め、かつ海外の高校に最終学年を含め2年以上継続して在籍し卒業(見込)

TOEFL iBTまたはIELTS Academic Moduleの受験と結果の提出。各国の統一試験の結果提出。過年度に出願していないこと。医学部のみ日本国籍・永住者・特別永住者が条件




帰国生入試の出願条件②|渡米・帰国の時期によって注意点が変わる

帰国生入試の出願条件②|渡米・帰国の時期によって注意点が変わる

同じ帰国子女でも、いつ渡米していつ帰国するかで使える入試は変わります。条件を満たせるかどうかが、家庭の事情で決まってしまうためです。


まずは自分の家庭がどのパターンに当てはまるかを見極めましょう。ここでは代表的な五つのパターンごとに、先に確認しておきたい点を整理します。


高校進学のタイミングでアメリカに帯同したケース


高校入学と同時に渡米した場合、条件は満たしやすくなります。最終学年を含む2年以上という要件に、無理なく届くためです。


現地校の成績を高校1年から積み上げられる点も有利に働きます。出願書類に提出する成績が、渡米直後の混乱期だけで終わらないためです。


このケースで先に確認したいのは、志望校が求める英語資格の基準です。時間の余裕がある分、目標スコアから逆算した受験計画を立てやすくなります。


中学から在米で、高校の途中で帰国するケース


在外年数は足りていても、最終学年の条件を満たせないことがあります。高校3年の途中で帰国すると、大学によっては最終学年を在外で修了する要件を満たせなくなるためです。


帰国が決まった時点で、志望校の条件を確認しておきましょう。帰国後に日本の高校へ編入する場合、その在籍期間がどう扱われるかもあわせて調べておきたいところです。


条件から外れると分かった場合は、総合型選抜への切り替えを早めに検討します。帰国生入試だけに絞って準備を進めると、選択肢が限られる可能性があります。


高校受験で先に帰国し、日本の高校に通っているケース


日本の高校に在籍していても、出願を認める大学はあります。在外での在籍年数と卒業の要件を満たしていれば、対象になり得るためです。


一方で、日本の高校での成績が提出対象になる場合もあります。現地校の成績だけを見られるわけではありません。


高校受験の段階での判断が、大学受験で選べる選択肢に影響します。帰国のタイミングを検討している段階から、大学まで見通しておくと選択肢を残せるでしょう。


高校受験の時点での考え方は、帰国子女の高校受験完全ガイドで解説しています。


保護者が先に帰国し、お子さんが単身で残るケース


単身で残る場合の扱いは、大学によって判断が分かれます。在籍年数と卒業の要件を満たしていても、それだけでは足りない大学があるためです。


一橋大学の外国学校出身者選抜では、渡航の開始が保護者の海外勤務等のやむを得ない事情によるものであることが出願資格に含まれています。つまり、渡航のきっかけそのものが問われます。


ホームステイや寮に移る場合、在籍を証明する書類の出し方も変わってきます。


判断に迷ったら、大学の窓口へ個別に問い合わせるのが確実です。募集要項の文面だけでは読み取れない事情も多いためです。



飛び級や繰り上げ卒業をしたケース


飛び級や繰り上げ卒業をした場合、12年の課程を満たすかどうかが論点になります。学年を飛ばした分、在学期間が短くなるためです。


大学によっては個別の審査が必要になります。卒業の時期が出願の時期と合うかどうかも、あわせて確認しておく必要があります。


早い段階で大学に確認しておくと、選択肢を残したまま準備を進められます。判断が遅れるほど、打てる手は少なくなっていきます。


表6:渡米・帰国のパターン別に確認したいこと


パターン

満たしやすい条件

つまずきやすい点

先に確認すること

高校進学時に帯同

最終学年を含む2年以上

帰国時期によって条件が変わる可能性

志望校の英語資格の基準

高校の途中で帰国

通算の在籍年数

最終学年を含むかどうか

帰国後の経過年数の上限

高校受験で先に帰国

日本の高校の卒業

在外年数が足りるか

日本の高校在籍を認めるか

単身残留

在籍年数と卒業

保護者の在外要件

大学への個別確認

飛び級・繰り上げ卒業

現地校の卒業

12年の課程を満たすか

個別審査の要否

卒業後に浪人や再受験を考える

在外年数と卒業の要件

卒業からの経過年数の上限や、再出願を認めない規定

志望校が卒業後何年まで認めるか



志望校をどう選ぶか|探し方と併願の組み方

志望校をどう選ぶか|探し方と併願の組み方

出願資格を満たせると分かったら、次は受ける大学を絞る段階に入ります。帰国生入試は実施する大学と学部が限られるため、探し方そのものから始める必要があります。


ここでは候補の見つけ方と、併願の組み方を順に整理していきましょう。


帰国生入試を実施している大学の探し方


探すときは、大学の入試情報ページを直接開くのが確実です。まとめサイトでは、実施の有無が更新されていない場合があります。


注意したいのは、実施の有無が学部単位で分かれる点です。同じ大学でも、ある学部では実施していて別の学部ではしていない、という状況が起こります。慶應義塾大学の帰国生対象入学試験は経済学部・法学部・医学部・理工学部が対象で、京都大学の外国学校出身者のための選考は法学部と経済学部で実施されています。


募集要項が公開される時期も、大学によってばらつきがあります。


候補校は早い段階で複数挙げておくと、制度変更があっても動けます。実施している主な大学は表7にまとめました。



表7:帰国生入試を実施している主な大学の例(2026年9月時点で各大学の公表資料を確認)


大学

入試の名称

対象となる学部・科類

出願・選抜の時期

東京大学

外国学校卒業学生特別選考 第2種(帰国生徒)

文科一類〜理科三類から1つを選ぶ

2027年度入試:出願2026年11月9日〜11月13日、小論文・学力試験2027年2月25日・26日、面接3月4日

京都大学

外国学校出身者のための選考

法学部・経済学部

2026年9月時点で未公表

一橋大学

外国学校出身者選抜

商学部・経済学部・法学部・社会学部(各5人以内)

2026年度入試:出願2025年11月下旬〜12月上旬、学力試験2026年2月26日、面接3月4日

東京外国語大学

帰国生等特別推薦選抜

言語文化学部・国際社会学部・国際日本学部

2027年度入試:出願2026年11月上旬、選抜11月下旬、発表12月中旬

早稲田大学

帰国生入学試験

教育学部(教育学科教育学専攻生涯教育学専修、英語英文学科)

2026年9月時点で未公表

慶應義塾大学

帰国生対象入学試験

経済学部・法学部・医学部・理工学部(法学部は9月入学と4月入学を同時募集)

2026/2027年度入試:Webエントリー2026年7月3日〜7月14日、第2次選考9月1日〜9月27日

上智大学

海外就学経験者(帰国生)入学試験

全学部(学科により英語資格の基準が異なる)

2027年度入試:出願2026年7月、試験9月20日、発表10月1日

国際基督教大学(ICU)

総合型選抜〈4月入学〉外国教育制度利用(帰国生)

教養学部

2027年度入試:出願2026年7月上旬、面接9月12日、発表9月18日

同志社大学

海外修学経験者(帰国生)入学試験

スポーツ健康科学部(募集人数は若干名)

2026年9月時点で未公表



年度の表記は各大学の公表資料に合わせています。慶應義塾大学の「2026/2027年度」は、2026年9月入学と2027年4月入学の志願者をまとめて募集するという意味です。実施状況は年度によって変わるため、志望校が決まったら必ず最新の募集要項で確かめてください。


学部から選ぶか、入試方式から選ぶか


絞り込みの入口は二つあります。学びたい分野から入る方法と、受けられる入試方式から入る方法です。


学びたい分野から絞ると、候補が一気に限られる場合があります。帰国生入試を実施していない学部を志望している場合、その大学は選べなくなるためです。


受けられる入試方式から絞れば、選択肢は広がります。ただし、興味の薄い学部を選んでしまうと、志望理由書で説得力を出しにくくなるでしょう。


どちらの決め方をとる場合でも、現地校で学んだ内容と志望理由に一貫性を持たせることが要になります。海外での経験を、その学部で学びたい理由へつなげられるかどうかが問われます。


出願条件から逆算して候補を絞る


条件から逆算する方法も有効です。在外年数や帰国後の経過年数で、そもそも受けられない大学があるためです。


英語資格の基準が高い大学ほど、スコアを取るための準備期間が必要になります。選考方法が小論文型か学科試験型かによっても、対策の中身は変わってきます。


条件の近い大学をまとめて候補にすると、一つの対策を複数校に生かせます。小論文型の大学を並べて受ける、といった組み方が現実的です。


併願をどう組むか


私立と国公立では試験の時期がずれるため、併願しやすい場合があります。


上智大学のように9月に試験を行う私立と、一橋大学のように2月から3月に選抜を行う国公立であれば、日程は重なりません。帰国生入試と総合型選抜を組み合わせる方法もあります。


ただし、同一学部での併願を認めない大学もあるため、募集要項の確認は欠かせません。


受験のために渡日する回数も、併願を決めるときの判断材料になります。渡航のたびに現地校を休むことになるためです。


表8:志望校を選ぶときの確認項目


確認項目

見るところ

判断に効く理由

帰国生入試の実施

大学の入試情報ページ

学部単位で実施の有無が分かれる

出願資格

募集要項

在外年数と帰国後の経過年数で対象が決まる

英語資格の基準

募集要項・外国語検定の基準表

準備にかける期間が変わる

選考方法

募集要項

小論文型か学科試験型かで対策が変わる

試験日と会場

入試日程のページ

渡日の要否と併願の可否に影響する



帰国生入試に必要な英語資格

帰国生入試に必要な英語資格

英語資格には二つの役割があります。出願そのものの条件になる場合と、点数化されて合否に影響する場合です。


どちらにあたるかで、目標スコアの置き方は変わります。スコアの取得には時間がかかるため、逆算して計画を立てておきましょう。


TOEFL iBT・IELTS・英検のどれが求められるか


指定される試験は大学ごとに異なります。複数の試験から選べる大学もあります。


上智大学の海外就学経験者(帰国生)入学試験では、学部・学科ごとに外国語検定試験の基準が定められています。法学部・経済学部・外国語学部(英語学科)・総合グローバル学部・総合人間科学部では、英検準1級、TOEFL iBT 72、IELTS 5.5が基準です。一方で文学部の哲学科・国文学科や理工学部は、英検2級、TOEFL iBT 42、IELTS 4.0となっています。


国際基督教大学では、IELTS・TOEFL iBT・ケンブリッジ英語検定の三つが対象です。


同じ大学でも、学部や学科によって基準が三段階に分かれることがあります。志望学部が決まる前でも、指定されやすい試験から準備を始められます。



表9:主な大学の英語資格の基準(2026年9月時点で各大学の公表資料を確認)


大学・学部

英検

TOEFL iBT

IELTS

上智大学 法/経済/外国語(英語)/総合グローバル/総合人間科学

準1級

72

5.5

上智大学 文(史)/外国語(ドイツ語)

2級A

55

4.5

上智大学 文(哲・国文)/理工

2級

42

4.0

上智大学 神学部

指定なし

指定なし

指定なし

国際基督教大学(ICU)

対象外

79

6.5

慶應義塾大学(帰国生対象入学試験)

対象外

基準点の定めなし。スコアの提出が条件

基準点の定めなし。スコアの提出が条件



国際基督教大学では、ケンブリッジ英語検定は175が基準になります。一方、慶應義塾大学のように基準点を設けず、TOEFL iBTまたはIELTS Academic Moduleを受験してスコアを提出できることを条件とする大学もあります。基準は年度ごとに見直されるため、必ず最新の募集要項で確かめてください。



出願条件としての英語資格と、評価対象としての英語資格


同じスコア提出でも、扱いは二通りに分かれます。基準に届かないと出願そのものができない場合と、出願はできても点数化されて合否に影響する場合です。


前者であれば、目標スコアの設定は「超えるべき最低ライン」になります。後者なら、少しでも高いスコアを取る意味が生まれます。


この違いは募集要項の書き方に表れています。出願資格の欄に書かれていれば前者、選考方法や配点の欄に書かれていれば後者と考えてよいでしょう。


どちらにあたるかで、受験を何回まで重ねるかの判断が変わります。基準を超えた時点で切り上げるか、締め切りまで伸ばし続けるかの分かれ目になるためです。


いつまでに受け終え、どう提出するか


私立大学では夏に出願が始まります。上智大学は7月に出願、慶應義塾大学は7月上旬にWebエントリーが始まるため、高校2年のうちに目標スコアをそろえておきたいところです。


一度で目標に届かないことを前提に、複数回の受験を計画に入れておきましょう。現地校の学期末や長期休暇と重ならない日程を選ぶと、負担を抑えられます。


見落としやすいのがスコアの有効期限です。早く取りすぎると、出願の時点で失効している場合があります。


提出の方法も確認しておきたい点になります。試験の実施機関から大学へ直接送付する方式が指定されることがあり、申し込みから到着まで日数がかかるためです。出願書類の提出期限から逆算して手配してください。



目標スコアに届かせるための試験の選び方と、取得時期の逆算は、英語資格試験を専門に扱う姉妹サービス「My Test Coach」の「帰国生入試で大学合格に必要な英語資格とは?」で解説しています。


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英語資格だけでなくSATなどの学力試験を求める大学もある


英語資格に加えて、学力試験のスコアを求める大学もあります。SATがその代表です。


理系の学部では、数学のスコアが見られる場合もあります。志望校が固まったら、要求される試験をすべて洗い出しておきたいところです。


複数の試験を並行して準備すると、現地校の学習にかかる時間は確実に削られます。どこまで手を広げるかは、早い段階で決めておくと無理がありません。


表10:帰国生入試で使われる主な英語資格


試験

特徴

受験の形態

準備で意識したいこと

TOEFL iBT

大学の学術英語を測る

テストセンター受験・自宅受験

アカデミックな読解と発話

IELTS

英国系の大学でも使える

会場受験・オンライン受験

面接形式のスピーキング

実用英語技能検定(英検)

日本国内での認知度が高い

会場受験・S-CBT

級とCSEスコアの両方を確認

ケンブリッジ英語検定

指定する大学は限られる

会場受験

志望校が対象にしているか




日本語の力も選考の対象になる

日本語の力も選考の対象になる

英語資格にばかり目が向きがちですが、小論文や面接を日本語で行う大学も多くあります。海外にいる年数が長いほど、日本語で書く機会は減りがちです。


在外中の家庭学習が、この場面で重要になります。何をしておくと差が出るのかを整理しましょう。


小論文で問われる日本語の力


小論文で問われるのは、課題文を読み取り、自分の考えを筋道立てて書く力です。一橋大学の外国学校出身者選抜では、社会や文化に関する論文や資料を示し、理解力・判断力・表現力をみると定められています。


語彙や表記の正確さも評価に含まれます。現地校に通っていると、書く練習は英語に偏りやすくなります。


なお、英語で学位を取得できる学部や課程では、日本語の試験を課さない場合もある点は押さえておきましょう。大学によって扱いが異なるため、志望校の選考科目を確かめてください。


日本語で意見文を書く習慣を在外中から確保しておくと、直前期の負担が軽くなります。書いたものを誰かに読んでもらう機会まで作れると理想的です。


面接を日本語で行う大学がある


面接では、志望理由や海外での経験を日本語で説明する場面が出てきます。外国語での質疑を行う大学もありますが、日本語が基本という大学は珍しくありません。


敬語や話し言葉への切り替えには慣れが必要になります。家庭では自然に話せていても、初対面の大人に自分の考えを説明する場面は勝手が違うためです。


一橋大学では、学力試験と面接をあわせた300点で判定されます。面接の比重は決して小さくありません。


想定される質問に対して、実際に声に出して練習しておきましょう。頭の中で組み立てるだけでは、当日に言葉が出てこないことがあります。


補習校や家庭学習が効いてくる場面


補習校に通っている場合、そこでの作文や読解がそのまま小論文の土台になります。日本語で長文を書く経験を、定期的に積めるためです。


通っていない家庭でも、代わりになる方法はあります。日本語の本を読む習慣は語彙の広がりにつながり、家庭で日本語を使う機会を保つことは面接での受け答えにもつながります。


家庭で日本語を使う機会を保つことが、面接で自分の考えを伝える力の維持につながります。特別な教材を用意しなくても始められる部分です。


表11:日本語力が問われる場面と在外中の備え


場面

問われる力

在外中にできること

小論文

課題文の読解と論の構成

日本語で意見文を書く習慣をつくる

面接

経験を筋道立てて話す力

家庭で日本語の会話量を保つ

志望理由書

経験を言語化する力

現地での活動を記録に残す



現地校の成績と履修科目が出願書類に直結する

現地校の成績と履修科目が出願書類に直結する

出願書類の中心になるのは、現地校の成績証明書です。日々の学校生活が、そのまま提出物になると考えてください。


履修科目の選び方も、評価の材料になる場合があります。成績が振るわなかった時期の扱いまで含めて整理しましょう。


GPAは何年生から見られるか


提出の対象となる範囲は大学によって異なりますが、高校の全学年分の成績を求める大学があります。高校3年の成績だけを見られるとは限りません。


高校1年の評定も含まれるため、渡米してすぐの時期から意識しておく必要があります。学期ごとの評定が積み上がってGPAになるためです。


提出の前に、自分の成績を全学年分そろえて確認しておきましょう。想定と違う評定が残っていることに、出願直前で気づく事態は避けたいところです。


HonorsやAPの履修がどう効くか


履修した科目の難易度は、学習への姿勢を示す材料になります。同じ評定でも、どの水準の科目で取ったかによって読み取られ方は変わるでしょう。


志望する学部と関連する科目を選んでおくと、志望理由書に一貫性が出ます。理系を志望するなら理数系の科目を、というつながりです。


ただし、無理な履修で評定を落とすと逆効果になる場合もあります。


学校のカウンセラーと相談しながら、自分の力に見合う組み方を決めてください。難易度と成績のバランスは、家庭だけでは判断しにくい部分です。


成績が振るわなかった学期をどう扱うか


渡米直後の学期は、評定が下がりやすい時期です。授業の英語についていくだけで手一杯になるためで、多くの家庭が通る道でもあります。


その後の推移が上向きであれば、説明のしようがあります。志望理由書で、何があってどう乗り越えたのかを自分の言葉で書けるからです。


隠すのではなく、乗り越えた過程として示すほうが伝わります。海外で学んだ経験を評価する入試である以上、適応の過程そのものが材料になります。


成績表の記号や評価方式を正しく読む


評価方式は学区や学校によって異なります。同じAでも、算出の仕方が違う場合があるためです。


記号の意味を取り違えたまま出願すると、志望理由書の説明とかみ合わなくなります。提出の前に、保護者も内容を理解しておくと安心です。


成績表を正しく読めることは、出願準備の前提になります。読み方の詳細は、アメリカの成績表の見方で解説しています。


表12:現地校での選択が出願書類に与える影響


現地校での選択

出願書類への表れ方

意識したいこと

履修科目の難易度

成績証明書の科目名と評定

志望学部との関連を持たせる

学期ごとの成績

GPAと成績の推移

下がった学期の理由を説明できるようにする

課外活動

志望理由書・活動報告書・推薦書など

活動内容を記録しておく

出席状況

成績証明書に併記される場合がある

長期の帰国と重ならないようにする



出願書類の準備は想像以上に時間がかかる

出願書類の準備は想像以上に時間がかかる

書類の手配は、在外だからこそ時間がかかります。現地校の事務手続きと国際郵便が、そのまま日程に乗ってくるためです。


夏に出願が始まる大学があることを踏まえると、逆算は欠かせません。何にどれだけかかるのかを見ておきましょう。


帰国生入試で必要になる書類


基本になるのは、成績証明書、卒業または卒業見込証明書、英語資格のスコアの三つです。これに志望理由書が加わります。


大学によっては推薦書も求められます。現地校の教員に依頼することになるため、相手の都合も考えて動く必要があるでしょう。


志望校ごとに必要な書類は違うため、まず一覧にしておくと抜け漏れを防げます。共通して使えるものと、大学ごとに用意するものを分けておくと管理しやすくなります。


英文の証明書は依頼してから届くまでに日数がかかる


英文の証明書は、現地校の事務室に依頼して発行してもらいます。即日で出ることはまずありません。


注意したいのが長期休暇の期間です。夏休みに入ると事務室の稼働が落ち、発行が滞る場合があります。出願が7月に始まる大学を受けるなら、依頼のタイミングは、学年末と重ならないよう調整しておきましょう。


必要な部数は、多めに見積もって一度に依頼しておくと安心できます。後から追加で頼むと、また同じ日数がかかるためです。


学校からの直送や公式スコア送付が指定されることがある


書類の出し方にも指定があります。本人を経由せず、学校や試験の実施機関から大学へ直接送る方式です。


国際郵便では到着までに日数がかかります。慶應義塾大学の帰国生対象入学試験では、出願書類を速達かつ簡易書留で郵送するよう定められています。


締め切りが到着日で判断される場合、投函した日ではなく届いた日が基準になります。


追跡できる発送方法を選び、到着までの日数を含めて逆算してください。手元を離れた後に確認できる手段があると、精神的な負担も軽くなります。



志望理由書は現地での経験を書く場所


志望理由書は、現地校での学びや課外活動を材料にできる書類です。海外で何を経験し、それが帰国後の学びにどうつながるのかを書きます。


抽象的な決意表明では伝わりません。具体的な出来事を一つ挙げ、そこから考えたことへつなげる形が読み手に届きます。


書き上げるまでには、推敲の時間を必ず確保してください。一度書き上げたあとに時間を置き、読み直して直す工程が要るためです。


表13:出願書類と入手の流れ


書類

入手先

在外で注意したいこと

成績証明書(英文)

現地校の事務室

発行に日数がかかる。長期休暇を避けて依頼する

卒業見込証明書

現地校の事務室

発行できる時期が決まっている場合がある

英語資格のスコア

試験実施機関

大学への直接送付の申し込みが必要なことがある

志望理由書

本人が作成

推敲の時間を確保する

推薦書

現地校の教員

依頼から受け取りまでの期間を見込む





帰国生入試の準備スケジュールを高校1年から逆算する

帰国生入試の準備スケジュールを高校1年から逆算する

やることを時期に割り付けると、在外中に何をすべきかが見えてきます。出願の時期から逆算すると、準備は高校1年から始まります。


帰国の時期を決めることも、受験計画の一部です。学年ごとに整理していきましょう。


高校1年|出願資格の確認と英語資格の初回受験


最初にすることは、在籍期間の条件を満たせるかの確認です。ここを満たせなければ、その後の準備が無駄になってしまう可能性があるためです。


英語資格は一度受けて、現在地を知っておきましょう。目標との差が分かれば、残りの期間で何をすべきかが決まります。


履修計画も、この時期に志望する分野へ寄せておきましょう。


現地校の成績が高校1年から提出対象になる点も、この段階で意識しておいてください。後から取り返すのは簡単ではありません。


高校2年|志望校の絞り込みとスコアの完成


複数の大学の募集要項を読み比べる時期です。出願資格と選考方法を並べると、自分の家庭に合う大学が見えてきます。


英語資格は、この学年のうちに目標スコアをそろえておきましょう。私立大学の出願は高校3年の夏に始まるためです。


日本語で書く練習も始めましょう。小論文はすぐに書けるようになるものではありません。


志望理由書に使える経験は、この時期から記録に残しておくと後が楽になります。記憶だけを頼りにすると、具体性が薄れてしまいます。


高校3年前半|志望校の確定と出願手続き


出願資格を最終確認し、受ける大学を確定させる段階です。ここまでに書類の手配を済ませておく必要があります。


Web出願の登録や検定料の支払いも、この時期に発生する作業です。併願する大学があれば、手続きを並行して進める必要が出てきます。


出願後の試験日程は、家族で共有しておいてください。渡日が必要な場合、航空券や滞在先の手配が絡んでくるためです。


高校3年後半|小論文と面接の仕上げ


過去問に取り組み、出題の傾向をつかむ時期です。大学によって問われ方が違うため、志望校に合わせた練習が要ります。


書いた小論文は、誰かに読んでもらいましょう。自分では気づけない飛躍や説明不足が見つかります。


面接で話す内容も整理しておきます。国公立を受ける場合、選抜は冬から春まで続くため、準備期間はさらに長くなるでしょう。


私立で結果が出た後も、国公立を受けるなら学習と対策を続ける必要があります。ここで手を止めると、最後の選抜に響きます。


帰国時期を決めるときに確認すること


帰国の時期は、受験できる大学の範囲を左右します。保護者の任期と受験年度の関係を、早い段階で確かめておきましょう。


最終学年を在外で終えるかどうかで、出願資格が変わる可能性があります。高校3年の途中で帰国すると、条件から外れる大学が出てくるためです。


家族で早めに話し合っておくことが、選択肢を残す有効な方法です。会社の都合で決まる部分もありますが、伝えておくかどうかで結果が変わることもあります。


表14:高校1年から逆算した準備の流れ


時期

出願資格

英語資格

書類・対策

高校1年

在籍年数の条件を確認する

1回目を受ける

履修計画を立てる

高校2年前半

志望校の条件を読み比べる

2回目を受ける

日本語で書く練習を始める

高校2年後半

志望校を絞る

目標スコアを確定する

志望理由書の材料を集める

高校3年前半

出願資格の最終確認

必要ならスコアを送付する

出願手続きを進める

高校3年後半

―

―

小論文と面接の仕上げ



表15:帰国の時期による違い


帰国の時期

出願資格への影響

確認したいこと

現地校を卒業してから帰国

最終学年を含む条件を満たしやすい

帰国後の経過年数の上限

高校3年の途中で帰国

最終学年の扱いが分かれる

志望校が認める範囲

高校2年までに帰国

在外年数を満たしていても、最終学年の在籍条件に注意が必要

総合型選抜など他ルートの検討



出願と試験の時期は大学によって大きく違う

出願と試験の時期は大学によって大きく違う

出願と試験の時期は、私立と国公立で大きく離れています。同じ帰国生入試でも、夏に終わる大学と春まで続く大学があります。


4月入学のほかに9月入学の枠を設ける大学もあります。在外のまま受験できるのかという疑問にも、あわせて答えていきましょう。


私立大学は夏に出願し、秋に試験を行う大学がある


私立大学では、出願が夏に始まります。上智大学の2027年度入試では、7月7日から7月23日までがWeb出願の期間で、試験日は9月20日です。


慶應義塾大学の帰国生対象入学試験でも、Webエントリーは7月3日から始まります。国際基督教大学は7月1日から出願が始まり、9月12日に面接を実施する日程です。


つまり、夏前に書類がそろっていないと間に合わない可能性があります。現地校の学年末と重なる時期でもあるため、前倒しで準備を進める必要があります。



国公立大学は秋から冬に選抜を行う大学がある


国公立大学は、私立より遅い時期に動きます。東京外国語大学の帰国生等特別推薦選抜では、2026年11月1日から5日が出願期間で、選抜は11月28日と29日です。合格発表は12月16日になります。


一橋大学はさらに遅く、出願が11月下旬から12月上旬、学力試験が2月26日、面接が3月4日という日程です。東京大学の2027年度入試は、11月9日から13日が出願期間で、第2次選考の小論文と学力試験が2月25日・26日、面接が3月4日という日程です。


私立と併願する場合、準備期間は夏から春まで続きます。国公立を目指すなら、長期戦になることを前提に計画を立ててください。



4月入学と9月入学では何が変わるか


大学によっては、4月入学のほかに9月入学の枠を設けています。入学の時期が違えば、出願と選考の時期もずれます。


現地校を6月に卒業する家庭にとって、9月入学は空白期間が短くなる選択肢になります。4月入学まで待つ場合、卒業から入学まで9か月ほど空くためです。


9月入学の枠を持つ大学は複数あります。慶應義塾大学の帰国生対象入学試験では、法学部の法律学科と政治学科が2026年9月入学と2027年4月入学を同時に募集しており、入学時期を出願時に選びます。9月入学を選んだ場合、入学手続は9月上旬です。


上智大学のSPSFは9月入学のみを実施しており、4月入学は行っていません。文学部新聞学科、総合人間科学部の教育学科・社会学科、経済学部の経済学科・経営学科、総合グローバル学部が対象です。早稲田大学国際教養学部のAO入試にも9月入学の区分があり、国際基督教大学でも英語で選考する方式で9月入学に出願できます。


英語で学ぶ課程が中心になる大学では、求められる英語資格の水準が4月入学と変わる場合もあります。


志望校に9月入学の枠があるかどうかは、早い段階で確認しておきましょう。条件は大学ごとに募集要項で定められています。



在外のまま受験できるのか、渡日が必要か


出願については、オンラインで完結する大学が増えています。Web出願を採用する大学が多いためです。


一方で、試験は日本の会場で行われる場合があります。一橋大学の学力試験と面接は、いずれも国立西キャンパスで実施されると定められています。


渡航の日程が現地校の学事日程と重なる可能性もあるでしょう。試験日が2月末や3月初めであれば、現地校の授業を休むことになります。


渡航費や滞在先の手配も、受験計画に含めておいてください。併願の数だけ渡日が増える場合もあります。


表16:出願・選抜の日程の例(2026年9月時点で各大学の公表資料を確認)


大学

出願

選抜

合格発表

上智大学(2027年度)

2026年7月7日〜7月23日(書類送付は7月24日まで)

2026年9月20日

2026年10月1日

慶應義塾大学(2026/2027年度)

Webエントリー2026年7月3日〜7月14日、書類郵送7月3日〜7月15日

第2次選考:法学部9月1日、経済学部9月2日、理工学部9月4日、医学部9月27日

最終合格発表:法学部9月3日、経済学部・理工学部9月11日、医学部9月29日

国際基督教大学(2027年度)

2026年7月1日〜7月7日(書類提出は8月6日まで)

面接2026年9月12日

2026年9月18日

東京大学(2027年度)

2026年11月9日〜11月13日

小論文2027年2月25日、学力試験2月25日・26日、面接3月4日(第1次選考結果は1月25日発送)

2027年3月10日

東京外国語大学(2027年度)

2026年11月1日〜11月5日

2026年11月28日・29日

2026年12月16日

一橋大学(2026年度)

2025年11月21日〜12月3日

学力試験2026年2月26日、面接3月4日

2026年3月10日(第1次選抜合格者発表は3月2日)



帰国生入試の制度は動いている|変更情報をどう追うか

帰国生入試の制度は動いている|変更情報をどう追うか

帰国生入試の制度は、毎年同じではありません。募集の停止や実施内容の変更が、実際に起きています。


古い情報のまま準備を進めると、出願できなくなる事態もあり得ます。情報の追い方を押さえておきましょう。


慶應義塾大学SFCでは帰国生対象入学試験の募集が停止される


慶應義塾大学では、総合政策学部と環境情報学部について、2026/2027年度以降の帰国生対象入学試験の募集停止が公表されています。


現在、帰国生対象入学試験の対象となっているのは、経済学部・法学部・医学部・理工学部です。


SFCを志望していた家庭は、別の入試方式を検討する必要があります。総合型選抜など、ほかのルートで受験できる可能性を確かめてください。



早稲田大学 教育学部でも実施内容の変更が告知されている


早稲田大学教育学部でも、2027年度入試より帰国生入学試験の実施内容を変更すると告知されています。


変更の中身は大学の公表資料で確認する必要があります。志望校の変更告知は、年度の途中で出ることもあるためです。


告知に気づかないまま準備を進めることが、最も避けたい状況です。志望校が決まったら、入試情報ページを定期的に見る習慣をつけておきましょう。



情報は必ず大学の公式ページで確認する


まとめサイトの情報は、年度が古いままになっていることがあります。制度が変わっても、記事が更新されるとは限らないためです。


なお、この記事の制度情報は2026年9月時点で各大学の公式ページを確認したものになります。読者の皆さんも、志望校の最新の募集要項を必ずご自身で確かめてください。


募集要項が公開される時期を把握しておくと、確認のタイミングを逃しません。


変更に備えて志望校を複数挙げておくことが、結果的に重要な対策になります。一校に絞り込むほど、制度変更の影響を受けやすくなるためです。


表17:確認しておきたい公式の情報源


情報源

確認できること

志望校の入試情報ページ

入試の名称・対象学部・募集の有無

募集要項(PDF)

出願資格・提出書類・日程

入試の変更点のページ

募集停止や選抜方法の変更

各大学の問い合わせ窓口

個別事情の判断(単身残留・飛び級など)



帰国子女の大学受験に関するよくある質問

帰国子女の大学受験に関するよくある質問

準備を進めるなかで、保護者から寄せられることの多い疑問をまとめました。


個別の判断は志望校の募集要項によります。あくまで一般的な考え方として読んでください。


帰国生入試と一般選抜は併願できますか


併願を認めている大学はあります。帰国生入試で不合格になっても、一般選抜で改めて出願できる場合があるためです。


ただし、同一学部や同一学科での併願を認めない大学もあります。制度として認めていても、出願の手続きが別になることもあります。


併願の可否は募集要項に明記されているので、必ず確認してください。


英語だけで受験できますか


小論文や面接を日本語で行う大学が多いため、英語だけで完結する入試は限られます。英語で選考が完結する方式もありますが、対象となる学部は多くありません。


英語資格のスコアだけで合否が決まるわけでもありません。書類審査や面接とあわせて総合的に判定されるためです。


志望校の選考科目は、早い段階で確認しておきましょう。


現地校の成績があまり良くないと出願できませんか


成績は選考材料の一つですが、それだけで合否が決まるわけではありません。評価の方法や合否への影響は、大学・学部によって異なります。


渡米直後の学期は評定が下がりやすく、その後の推移が見られることもあります。履修した科目の難易度もあわせて読み取られるでしょう。


下がった時期があるなら、志望理由書で経緯を説明できるようにしておいてください。


理系や医学部にも帰国生入試はありますか


理工系で実施している大学はあります。慶應義塾大学の帰国生対象入学試験では、医学部と理工学部が対象に含まれています。


理系では、数学や理科の学科試験が課される場合もあります。文系とは準備の中身が変わってくるでしょう。


学部ごとに実施の有無が異なるため、志望校の入試情報ページで個別に確認してください。


日本の帰国生入試と米国の大学の出願は併願できますか


制度としては、両方に出願できます。ただし出願の時期が重なり、提出書類もそれぞれ別に用意する必要があります。


現地校の学習と並行して二重の準備を進める負担は、決して小さくありません。エッセイと志望理由書を同時期に書き上げることになるためです。


どちらを主軸にするかを高校2年までに決めておくと、動きやすくなります。


出願資格を満たさない場合はどうすればよいですか


総合型選抜という選択肢があります。帰国生入試の出願資格を満たさなくても出願できる大学や方式があるためです。


英語資格を活用できる入試方式もあります。一般選抜で受験する準備に切り替える判断もあるでしょう。


資格の判断に迷う場合は、大学の窓口へ問い合わせるのが確実です。


帰国生入試の小論文と面接をどう準備するか

帰国生入試の小論文と面接をどう準備するか

小論文と面接は、独学で仕上げにくい部分です。書いたものを評価してもらう場面が要るためです。


在外にいると、日本語で相談できる相手は限られます。ここでは準備の考え方を整理します。


小論文と面接の対策に第三者の目が要る理由


小論文は、書いただけでは改善点が見えません。論の飛躍や説明不足は、書いた本人が一番気づきにくいためです。


面接も同じです。声に出して話し、受け答えを調整する過程がないと、当日に言葉が出てこないことがあります。


現地校の教員に見てもらう方法もありますが、日本の入試の観点で評価してもらうのは難しい場合があります。


日本語で相談できる相手を、早い段階で確保しておきたいところです。直前になって探し始めると、選ぶ余裕がなくなります。


帰国生入試に対応できるかを見極める視点


見極めたい点は三つあります。小論文の添削に対応できるか、面接の想定質問と受け答えの練習に付き合えるか、そして北米の時間帯に合わせられるかです。


大学入試の一般的な指導ができても、帰国生入試の小論文と面接に慣れているとは限りません。過去の対応実績を聞いてみると判断しやすくなります。


現地校の課題も一緒に見てもらえるかどうかは、両立の負担に直結します。


サービスの比較と選び方については、帰国子女におすすめのオンライン塾8選とアメリカ帰国子女の受験対策はオンラインでをご覧ください。


アメリカ宿題サポートの利用を始める手順


小論文や志望理由書を日本語で相談したい場合、アメリカ宿題サポートでは初回レッスンを無料で試せます。まず一度話してみて、相性を確かめてから続けるかどうかを決められます。


始め方は四つの手順に分かれています。表18のとおり進めれば、申し込みは完了します。


表18:アメリカ宿題サポートの予約手順


手順

内容

1

講師紹介から先生を選ぶ

2

LINEに登録する

3

先生と連絡を取る

4

レッスンを予約する



まず講師紹介ページで、担当してほしい先生を選びます。次にLINEに登録し、その先生と直接やり取りをして、日程を決めてレッスンを予約する流れです。


初回レッスンは無料で、チェックアウトの画面でクーポンコード「FirstTime」を入力すると適用されます。入力を忘れると通常料金になるため、予約の最後の画面で確認してください。



まとめ|在外中から逆算する帰国生入試の要点

まとめ|在外中から逆算する帰国生入試の要点

帰国生入試は、帰国してから考える入試ではありません。在外中の在籍期間と現地校の成績が、受験できる大学を大きく左右するためです。


出願条件の中心にあるのは、最終学年を含む2年以上の在籍です。これに12年以上の課程の修了と、現地校の卒業が加わります。東京大学のように、高校卒業等の基礎資格を取得してから2年以内と定める大学もあり、家庭の渡米・帰国パターンによって使える入試も変わってくるでしょう。


英語資格には、出願条件になる場合と評価対象になる場合があります。上智大学のように学部・学科で基準が三段階に分かれる大学もあるため、志望学部が決まったら基準を確かめましょう。私立大学の出願は夏に始まるため、高校2年のうちにスコアをそろえておく必要があります。


小論文と面接は日本語で行う大学が多く、日本語の力も選考の対象になります。出願書類の手配には想像以上の時間がかかるため、英文の証明書は早めに依頼してください。私立では夏に出願して秋に試験を行う大学があり、国公立では秋から春にかけて選抜を行う大学もあります。この時期の違いも押さえておきましょう。


制度そのものが動いている点も忘れないでください。慶應義塾大学SFCの募集停止のように、志望校の状況は年度ごとに変わります。受験はゴールではなく出発点です。在外中の数年をどう過ごすかが、そのまま選択肢の広さになります。


表19:今すぐできる最初の一歩


時期

やること

確認できたか

今すぐ

志望する大学の入試情報ページで、帰国生入試の名称と対象学部を確認する

□

今すぐ

募集要項で在外年数と帰国後の経過年数の条件を読み、自分の家庭が当てはまるか確かめる

□

高校1年のうちに

指定されている英語資格を調べ、次に受ける試験の日程を押さえる

□

高校1年のうちに

志望する分野に合わせて現地校の履修計画を立てる

□

高校2年のうちに

出願基準を満たすスコアをそろえ、志望校を絞る

□

高校3年前半までに

現地校の事務室に、英文の成績証明書の発行にかかる期間を聞いておく

□

随時

志望校の入試情報ページで、募集停止や実施内容の変更が出ていないか確認する

□



在外中の準備を一人で抱える必要はありません。帰国前後の学習と受験準備をアメリカ宿題サポートに相談する(初回レッスンを無料で試せます)という選択肢もあります。




記事作成者 (Manami Palmini)


まなみ

講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

​

過去のサポート歴

​

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


 
 
 

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