top of page
検索

帰国子女の英語力を維持する方法|年齢別の家庭学習とオンライン活用法

  • 4 時間前
  • 読了時間: 26分

帰国子女の英語力を維持できるかどうかは、お子様の年齢に応じた到達目標を決めたうえで、駐在中から家庭学習とオンラインを組み合わせて設計できたかどうかで大きく変わります。


帰国してから慌てて教室を探すご家庭と、渡米中のうちに受け皿まで決めていたご家庭とでは、帰国から1年が経った時点で差がついていきます。


日本に帰ったら数か月で忘れてしまうのではないか。何をどこまでやれば維持できたと言えるのか判断できない。周囲に同じ立場の相談相手がいない。


米国駐在中のご家庭からは、こうした声が繰り返し聞かれます。


英語の維持に関する情報は、帰国後の対策に偏っている面があります。しかし実際に動くべき時期は、まだ現地校に通っている今です。


現地校の成績表も、教員のコメントも、英語で書かれた本も、帰国後には手に入らなくなります。


こうした課題に向き合っているご家庭は、決して少数ではありません。


外務省によれば、海外に在住する日本人は2023年10月現在で約129万人にのぼり、日本人学校や補習授業校などの在外教育施設に通う児童・生徒は約4万人とされています。


補習授業校に通うお子様の多くは平日を現地校で過ごしており、英語と日本語の両方を抱えながら学んでいる計算になります。


この記事では、米国駐在中のご家庭を主な読者として、年齢帯ごとの維持設計を具体的にまとめました。


帰国直後のご家庭にも役立つ内容として、帰国後1年間の優先順位についても扱います。


【この記事でわかること】




帰国後に英語力が変化する仕組みを押さえる

帰国後に英語力が変化する仕組みを押さえる

対策を選ぶ前に、英語力が帰国後にどう変化するのかを押さえておくと、家庭学習の設計を誤りにくくなります。変化の仕方は一律ではありません。


帰国したときの年齢、現地での滞在年数、そして英語をどのような用途で使っていたかによって、残るものと失われるものが分かれます。


ここでは、対策を考えるうえで前提となる要点を整理します。


英語力は使わない期間の長さによって少しずつ落ちていく


英語力の変化は、帰国した翌日に始まるわけではありません


英語へ触れる時間が減った状態が続くと、言いたい単語が出てこない、話し始めるまでに間が空くといった形で、少しずつ表れてきます。


進み方は緩やかです。数か月から数年かけて変化していく場合が多く、その間も日常的な受け答えは成立します。


だからこそ気づきにくいという難しさがあります。


保護者が「最近あまり英語を話さなくなった」と感じた時点では、変化が始まってから半年以上が経っているケースも珍しくありません。


定期的に確認する仕組みを持たないまま過ごすと、対応が後手に回ります。


会話の流暢さと学習に使う英語では減り方が異なる


同じ英語力でも、失われやすさには差があります。友達との会話や日常のやり取りで使う英語は、比較的長く残りやすいのが特徴です。


一方で、教科書を読む、内容を要約する、意見を筋道立てて書くといった学習に使う英語は、使わなければ伸びが止まってしまいます。


この2つの違いは、バイリンガル教育の研究で知られるジム・カミンズが示した枠組みで説明されてきました。


日常の場面をこなす力をBICS(生活言語能力)、教科の学習を支える力をCALP(学習言語能力)と呼び分けます。


生活のなかで使う英語が残っていても、学習を支える力まで保たれているとは限りません。

現地校で身につけた読解力や作文力は、意識して使い続けなければ、年齢相応の水準から少しずつ離れていきます。


学年が上がれば求められる水準も上がるため、同じ場所にとどまっているだけでは後退したのと変わりません。


この違いを理解しておくと、家庭学習で何に時間を割くべきかが見えてきます。


話す機会を確保することも大切ですが、それだけでは学習に使う英語は保てません。


教科書を読んで要点をまとめる、根拠を示して意見を書くといった作業を、帰国後も続けていく必要があるわけです。


なお、現地校に在籍している段階で授業についていくこと自体に苦労している場合は、順序が変わります。


英語の維持を考えるより先に、現地での学習支援に手を打つほうが自然でしょう。

その進め方については、現地校の授業についていけないときの対策で扱っています。


維持・伸長・再構築のどれを目指すかで打ち手が変わる


維持と一言で言っても、ご家庭が目指す状態は同じではありません


帰国時点の力を保てば十分なのか、さらに伸ばしたいのか、いったん落ちた力を戻したいのかによって、必要な時間も費用も変わってきます。


方針を最初に決めておけば、教材選びや費用のかけ方がぶれにくくなるはずです。


逆に決めないまま始めると、周囲の家庭の話を聞くたびに方針が揺れ、結果として何も続かないという状況に陥りやすくなります。


次の表は、3つの状態を整理したものです。週あたりの時間はひとつの目安として示しました。ご家庭の状況に応じて調整してかまいません。


表1:英語維持の3つの状態と必要な負荷

状態

目指すもの

想定される状況

週あたりの目安

主な手段

維持

帰国時点の力を保つ

帰国直後で、当面は現状維持を優先したい

3〜5時間

多読、動画、オンライン英会話

伸長

年齢相応に伸ばし続ける

将来の進学や再赴任を見据えている

6〜10時間

英語保持教室、オンラインインター、資格対策

再構築

落ちた力を戻す

帰国から1年以上が経ち、話す機会が減っている

8時間以上

個別指導、文法の学び直し、集中的な多読

再赴任の可能性があるご家庭は、維持ではなく伸長を選ぶことになります。


現地校に戻ったときに学年相応の授業へついていくには、日本にいる間も学習に使う英語を伸ばし続ける必要があるためです。


「維持できている」と判断する基準を年齢別に決める

「維持できている」と判断する基準を年齢別に決める

家庭学習が続かない最大の理由は、達成の基準がないことにあります。


英語を忘れないようにという漠然とした目標のままでは、進んでいるのか後退しているのかを判断できません。


測れる指標を年齢ごとに決めておくと、ご家庭の判断がぶれなくなり、お子様にも達成感が伝わります。


ここでは基準の置き方と、その測り方を整理します。


目標の形を決めないと家庭学習は続かない


目標が曖昧なままだと、教材選びも時間配分も場当たりになりがちです。書店で見かけた問題集を買っては途中で止め、周囲の家庭の話を聞いては方針を変えるという状態に陥ります。


目標の形は年齢によって変わってきます。小学生以上であれば、英検の級や読書量といった数値で置けるでしょう。


一方、未就学の時期には数値がなじみません。


この段階では、英語を嫌がっていないか、絵本や動画に自分から手を伸ばすかという状態で判断してください。


数値で測れない年齢帯に無理に級を課すと、かえって英語から遠ざかる結果を招きます。


目標を置くこと自体が目的ではなく、続けるための道しるべとして使うという位置づけを忘れないでおきましょう。


英検とCEFRを共通の物差しにする


年齢を問わず使える物差しとして、英検とCEFRの組み合わせが便利です


CEFRは、外国語の熟達度をA1からC2までの6段階で示す国際的な枠組みで、英検のスコアからも対応するレベルを確認できます。


文部科学省が示した各資格・検定試験とCEFRとの対照表を見ると、実用英語技能検定のCSEスコアは次のように対応しています。


2600から3299がC1、2300から2599がB2、1950から2299がB1、1700から1949がA2、そして1400から1699がA1です。


ここに各級の合格基準スコアを重ねれば、3級の合格はA1、2級の合格はB1、準1級の合格はB2、1級の合格はC1の範囲に入ると分かります。


注意したいのは、受験した級によってCEFRが表示されない場合がある点です。


日本英語検定協会によれば、準1級を受験して4技能総合スコアが2級の合格基準である1980に届かない場合、4技能総合CEFRは表示されません。


同じく2級の受験では1728が下限となります。詳しい仕組みについては、英検CSEスコアとCEFRの対応(日本英語検定協会)をご確認ください。


級に合格したかどうかだけでなく、CSEスコアの推移を記録しておくと、不合格の回も含めて現在地が見えてきます。


現地校の読書レベルを帰国前に記録しておく


現地校では、児童生徒の読書力を段階で示す指標が使われている場合があります。


学校によって採用している指標は異なるため、名称と現在の段階を、帰国前に担任へ確認して控えておいてください。


この記録があると、帰国後に読ませる本のレベルを決めるときの出発点になります。


手元に何もない状態から適切な難易度を探すのは、想像以上に手間がかかる作業です。


帰国後は同じ指標で測り直せないことも多いため、代わりの記録方法を用意しておきましょう。


読み終えた冊数、本のシリーズ名、おおよその語数を残しておけば、半年後に振り返ったときの比較材料になります。


年に2回は同じ指標で測り直す


測定の間隔が空くほど、変化に気づくのが遅れます。春と秋というように時期を決めて、同じ物差しで確認する運用にしてください。


記録に残す項目は3つで足ります。受験した級とCSEスコア、その期間に読み終えた語数、そして書いた文章の本数です。


どれも特別な道具を使わずに残せます。


数字が横ばいでも、落胆する必要はありません。学年が上がっても同じ水準を保てているなら、それは維持できている状態にあたります。


表2:年齢帯別の到達目安(英検とCEFRを軸に)

年齢帯

維持の目安

CEFRとの対応

測り方

補足

未就学

英語を嫌がらずに触れ続けている状態

対象外

絵本への反応、発話量

目標は数値ではなく状態で置き、英語への抵抗感がないかを見る

小学校低学年

英検4級から3級

3級の合格でA1の範囲

年1回の受験と多読の記録

読み書きへの移行が始まる時期にあたる

小学校高学年

英検準2級から2級

2級の合格でB1の範囲

年1回から2回の受験

学習に使う英語が伸びるか止まるかの分岐点になる

中学生

英検2級から準1級

準1級の合格でB2の範囲

年2回の受験と記述課題

学校の定期テストとは別の物差しを持つ

高校生

英検準1級以上、TOEFL iBTやIELTS

1級の合格でC1の範囲

年2回の受験と志望校要件の照合

進路の要件から逆算して基準を決める

表に示した級はあくまで目安です。帰国したときの年齢や現地での滞在年数によって、無理なく届く水準は変わってきます。お子様の現在地を一度測ったうえで、半年後に届きそうな範囲へ調整してください。


駐在中にやっておきたい帰国前の準備

駐在中にやっておきたい帰国前の準備

英語維持の成否は、帰国してから何をするかよりも、帰国前にどこまで整えたかで大きく決まります。


現地校の成績表も、担任からのコメントも、英語で書かれた本も、日本に帰ってからでは手に入りません。


しかも準備には順序があり、帰国が決まってから慌てて動くと間に合わない項目が出てきます。


ここでは帰国までの残り期間ごとに、済ませておきたい内容を整理します。


帰国1年前までに現在地を測っておく


帰国の見通しが立った段階で、英検などの資格試験を受けてお子様の水準を記録しておきましょう


基準となる数字がひとつあるだけで、帰国後の目標設定がぐんと楽になります。


米国から受験する場合は、会場や実施形式を早めに調べておく必要があります。


居住地によっては受験できる会場が限られ、日程の選択肢も少なくなりがちです。帰国直前になって受けられないと分かる事態は避けたいところです。


同時に、書類の保存も始めてください。


現地校の成績表、担任が書いたコメント、授業で提出した作文や課題は、帰国生入試や編入の手続きで求められる場合があります。


学校が発行する書類は在籍中でなければ取り寄せにくくなるため、手元にそろえておくと安心です。


帰国半年前に受け皿を探し始める


英語保持教室や英語学童には定員があり、直前の申し込みでは入れないことがあります


人気のある教室ほど待機が発生しやすく、帰国してから探し始めると数か月の空白が生まれてしまいます。


この時期に、帰国先の地域でどのような選択肢があるかを洗い出しておきましょう。


自宅からの通学時間、開講している曜日と時間帯、対象となる学年の3点を確認すれば、現実的に通える先が絞られます。


通学が難しい地域では、オンラインを前提に組み立てることになります。地方への帰任であっても、オンラインであれば選択肢の幅は変わりません。


帰国先が都市部かどうかで、検討すべき手段が分かれる点は押さえておいてください。


帰国直前の3か月は空白をつくらない設計に集中する


引っ越しの前後は、学習が止まりやすい時期にあたります。


荷造り、送別、住まい探し、転入手続きと用事が重なり、英語どころではなくなるご家庭がほとんどでしょう。


問題は、ここで生じた空白が後を引くことです。数週間でも完全に途切れると、再開するときの心理的な抵抗が大きくなります。


荷物の到着を待たずに続けられる手段を、渡航前に決めておいてください。


オンラインであれば、住所が変わっても同じ講師のもとで継続できます。教材が船便の中にあっても、画面越しの授業は成立するでしょう。


帰国の前後をまたいで続けられるかどうかは、サービスを選ぶときの重要な判断材料といえます。


なお、帰国生入試そのものの制度や対策の進め方は、帰国枠受験を見据えたオンラインでの対策で詳しく扱いました。


現地校の教材と本を計画的に持ち帰る


帰国後に同じ水準の洋書をそろえようとすると、費用も手間もかかります。日本の書店で扱う洋書は種類が限られ、取り寄せには時間を要します。


優先して持ち帰りたいのは、読みかけのシリーズと、お子様が繰り返し読んでいる本です。


続きが気になる状態で日本に帰れば、それ自体が読書を続ける動機になります。


すべてを持ち帰るのは現実的ではないため、冊数の上限を決めて選びましょう。


あわせて、日本からも使える電子書籍サービスや図書館のアプリを、渡航前に登録しておいてください。


米国の図書館カードで使えるサービスの中には、帰国後に利用できなくなるものもあります。


使えなくなる前に、代わりの入手経路を確保しておくと安心です。


帰国後の学習時間を家族で先に合意しておく


帰国後は、国語や算数の遅れの補填、新しい学校への適応、友人関係の再構築が同時に押し寄せます。


そのなかで英語にどれだけ時間を割くのかを、帰国前に家族で決めておきましょう


決めないまま帰国すると、目の前の課題に押されて英語が後回しになります。


逆に英語を優先しすぎれば、学校の勉強が追いつかなくなる恐れも出てきます。どちらに転んでも、後から方針を変えるには相応の労力が必要でしょう。


このとき、お子様本人の意向を確かめておくことが欠かせません。保護者だけで決めた計画は、本人が納得していなければ長続きしないものです。


英語を続けたいのか、いったん休みたいのか、率直な気持ちを聞いておいてください。


表3:帰国までの残り期間別やることリスト

時期

学習面

記録・書類

環境の準備

1年前

英検などで現在地を測る

成績表と作文を保存し始める

帰国先の地域を確認する

半年前

目標級を決めて対策に入る

現地校の在籍証明を確認する

英語保持教室やオンラインを比較する

3か月前

学習の形をオンライン中心に移す

担任のコメントをまとめる

体験レッスンを受けて相性を確かめる

1か月前

空白をつくらない最低限の習慣を決める

書類一式を手荷物にまとめる

帰国直後から使えるサービスを契約する

帰国直後

週あたりの時間を固定する

帰国日を記録に残す

学校生活の様子を見ながら量を調整する

帰国の時期が読めない場合でも、1年前の項目から着手しておいて損はありません。測定と記録は、いつ帰ることになっても役立ちます。



未就学で帰国する場合の英語維持の進め方

未就学で帰国する場合の英語維持の進め方

未就学の時期に帰国するお子様は、英語を身につけた経路が特殊なぶん、失われ方にも特徴があるものです。


文字を介さず、音と場面のセットで覚えた英語が中心のため、環境が変われば使う機会そのものが消えてしまうのです。


この年齢帯では数値目標を置かず、英語との距離感を保つことを優先してください。


文字を介さずに覚えた英語は環境が変わると使われなくなる


読み書きの土台がまだない段階では、英語は場面と結びついた形で記憶されています


園で友達と遊ぶとき、先生の指示を聞くときというように、使う場面があるからこそ引き出されるわけです。


その場面が日本の生活に置き換わると、英語を出す理由が消えます。


帰国してしばらく経ってから、急に英語を話さなくなったというお話をよく耳にします。保護者としては、あれほど流暢だったのにと戸惑うでしょう。


ただし、完全に消えてしまうとは限りません。数年後に英語学習を再開したとき、発音の質や聞き取りの速さに現地での経験が残っている例もあります。


今の時点で話さなくなったからといって、すべてが失われたと判断する必要はないのです。


この時期の目標は英語を嫌いにさせないこと


未就学の段階では、級やスコアを追いかけないでください。英語に触れる時間が生活の一部として残っていれば、それで十分だと考えましょう。


この時期に無理やり勉強の形へ押し込めると、苦手意識が生まれます。


いったん英語が嫌なものになってしまうと、小学校に入ってから立て直すのに時間がかかります。


目先の学習量よりも、英語に対する感情のほうがはるかに大切な要素です。


遊びや歌のなかに英語を残すのが現実的な方法になります。


お風呂で英語の歌を口ずさむ、寝る前に英語の絵本を1冊読む、といった小さな習慣で構いません。


楽しい記憶と一緒に残った英語は、後から呼び戻しやすくなります。


家庭学習の柱は音と絵本にする


家庭で取り組む内容は、読み聞かせ、歌、簡単なやり取りの3つを軸にすると組み立てやすくなります。


どれも机に向かう必要がなく、生活の流れのなかに置けるのが利点です。


保護者が英語に自信を持てない場合でも心配は要りません。音源つきの絵本や、朗読の動画を使えば、発音の面倒を見る必要はなくなります。


保護者の役割は、一緒に楽しむ姿勢を見せることだけです。


時間の目安は1回15分程度で、それを毎日続ける形が合っています。


長い時間を週に1度だけ確保するよりも、短くても毎日触れるほうが、この年齢では効果を得やすくなるでしょう。


オンラインは短時間を高頻度で組む


未就学のお子様は集中が長く続きません。オンラインを使うなら、1回の長さよりも回数を重視して組んでください


25分の授業を週1回よりも、15分から20分を週2回から3回のほうが定着しやすい傾向にあります。


講師を固定できるサービスを選ぶと、続けやすさが変わります。毎回違う相手だと人見知りが出やすく、慣れるまでに時間を使ってしまうためです。


同じ先生に会いに行くという感覚が生まれれば、レッスン自体が楽しみになります。


画面の前でじっとしていられない場合は、体を動かす要素があるレッスンを探しましょう。


歌に合わせて手を動かす、指示に従って物を取ってくるといった内容であれば、遊びの延長として取り組めます。


うまくいかないときは、内容そのものを変えてみてください。


表4:未就学の週間の組み立て例

曜日

内容

時間の目安

月・水・金

英語の絵本の読み聞かせ

15分

火・木

オンラインの短時間レッスン

20分

英語の動画を家族で視聴

30分

決めた活動は入れない

設定しない

日曜日にあえて何も入れていないのは、休む日を用意しておくためです。毎日欠かさず続けようとすると、できなかった日に罪悪感が残ります。


予定通りに進まない日があっても構わないという前提で組んでおくほうが、結果として長く続きます。


小学校低学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校低学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校低学年は、話す力から読み書きへと重心が移っていく時期でしょう。


この移行の途中で帰国すると、会話は残っているのに文字が扱えないという偏りが生まれがちです。


現地校で始まったばかりの読み書きを止めずに続けられるかどうかが、この年齢帯の分かれ目になります。


読み書きへの移行期に空白ができやすい


米国の現地校では、低学年のうちにフォニックスを通じて音と文字の対応を学び、短い文章を書く練習も始まります。


ちょうどこの土台づくりの最中に帰国すると、積み上げが途中で止まってしまうのです


会話が残るぶん、保護者は問題に気づきにくくなります。家では英語で受け答えができるので、順調に見えるわけです。


ところが本を開かせてみると、聞けば分かる単語を読めないという状態が明らかになります。


日本の小学校の英語の授業だけで、この水準を埋めるのは難しいでしょう。


授業は英語に親しむ段階から始まるため、現地校で進んでいた読み書きの続きを扱う場面はほとんどありません。学校の外で補う設計が必要になります。


フォニックスと多読を止めずに続ける


帰国後もフォニックスの学習を続けて、音と文字の対応を固めてください


すでに知っている単語を文字で確認していく作業なので、負担は大きくありません。ここが固まると、初めて見る単語も自力で読めるようになります。


多読については、冊数の目標を掲げるよりも、毎日読む習慣として設計するほうがうまくいきます。1日10分でも構いません。


読む行為が日課になっていれば、量は後からついてきます。


本のレベルは上げすぎないでください。辞書を引きながら難しい本を1冊読むより、すらすら読める本を10冊読むほうが、この年齢では力になります。


9割以上の単語が分かる本を選ぶと、読書そのものが楽しい時間になるでしょう。


家庭学習は音読と読み聞かせを組み合わせる


家庭での取り組みは、お子様が声に出して読む時間と、保護者が読んで聞かせる時間の2つに分けると効果的です


役割の違う2つを組み合わせることで、伸びる技能の偏りを防げます。


音読で使う本は、自力で読める易しめのものを選んでください。読み聞かせでは、少し難しい内容の本を扱います。


自分では読めなくても、聞けば理解できる水準の話に触れておくと、語彙と内容理解が伸びていきます。


週あたりの読書量は記録に残しましょう。読んだ本のタイトルを書き出すだけの簡単なもので十分です。


記録が積み上がっていく様子は、お子様本人にとっても分かりやすい成果になります。


英語学童や英語保持教室という選択肢を検討する


家庭学習だけでは、英語を使って人とやり取りする機会が不足します


放課後に英語で過ごす時間を確保する手段として、英語学童や英語保持教室も検討してみてください。


ただし、通える範囲にあるかどうかで実現性は大きく変わります。


都市部であれば選べる教室がある一方、地方への帰任では候補が見つからない場合も少なくありません。


地域の事情を踏まえて、オンラインとの併用も含めて考えてください。


見学に行く際は、子ども同士が何語で話しているかを確かめましょう。


英語の教室であっても、休み時間や移動の合間に日本語で会話している環境では、期待した効果が得られにくくなります。


実際の様子を見てから判断するほうが確実です。


表5:小学校低学年の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

音読

週5回

10分

文字と音の対応を保つ

読み聞かせ

週3回

15分

語彙と内容理解を伸ばす

オンラインレッスン

週2回

25分

話す機会を確保する

英語の動画

週2回

30分

自然な英語に触れる

この組み立てなら、週あたりの合計は3時間半ほどに収まります。学校の宿題や習い事と並行しても、無理なく続けられる分量でしょう。


もし時間が取れない週があれば、まず動画から削り、音読は最後まで残してください。文字と音の対応は、いちど途切れると戻すのに手間がかかります。


小学校高学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校高学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校高学年での帰国は、学習に使う英語が伸び続けるか止まるかの分岐点になります。


会話力は残りやすい一方で、読解と作文は使わなければ年齢相応の水準から離れていくためです。


加えて中学受験との時間配分という現実的な課題も重なってきます。この年齢帯では、書く力を軸に据えた設計が有効です。


学習に使う英語の伸びがここで止まりやすい


現地校の授業は、高学年になると扱う題材が抽象的になります


物語の読解に加えて、社会や理科の教科書を読み、要点をまとめ、根拠を示して意見を書くという作業が加わってくるでしょう。


この段階で帰国すると、その先に控えていた語彙や表現が入らなくなります。


日常会話に必要な英語はすでに身についているため、話す場面では困りません。だからこそ保護者は変化に気づきにくいのです。


定期的な測定が必要になる理由が、まさにここにあります。話せる状態と、学年相応の文章を読み書きできる状態は別のものです。


半年に一度は文章を書かせて、質の変化を確認してください。


英検準2級から2級を通過点として設定する


この年齢帯では、英検準2級から2級あたりを通過点に置くとよいでしょう。


文部科学省の対照表に照らすと、2級の合格はCEFRのB1の範囲に入ります。


中学入学前にこの水準を保てていれば、帰国後の英語学習は順調だと判断できます。


級そのものが目的ではありません。あくまで学習を続けるための区切りとして使うものです。


合格を目指す過程で語彙を増やし、文法を整理し、書く練習を積むところに意味があります。


合格した後に学習を止めてしまうご家庭が少なくありません。そこで手を緩めると、せっかく保った水準が下がり始めます。


次の級の教材に進んで、語彙を増やし続けてください。


家庭学習はライティングを軸に据える


書く作業は、語彙と文法と論理を同時に使うため、負荷が高いぶん得られるものも大きくなります


読むだけでは受け身になりがちですが、書くとなれば自分の引き出しから言葉を取り出さなければなりません。


週に1本、短い作文を書かせる運用をおすすめします。テーマは保護者が決めても構いません。


今週読んだ本の感想、日本と米国の学校の違い、将来やってみたいことなど、答えの決まっていない題材が向いています。


分量は最初のうち150語程度で十分です。


家庭で添削するのが難しい場合は、外部の手を借りる方法があります。オンライン家庭教師や英語保持教室では、書いた文章に朱を入れてもらえます。


添削がないまま書き続けると、同じ誤りが定着してしまう恐れがあるため、どこかで見てもらう仕組みを用意しておきましょう。


中学受験との両立をどう考えるか


中学受験に取り組むご家庭では、受験期に英語の時間を削らざるを得ない場面が出てきます。


小学6年生の秋以降は、国語や算数に時間を集中させる判断も現実的でしょう。


それでも、英語をゼロにしないでください。週に2回、20分の音読だけでも構いません。


完全に止めた場合と、細く続けた場合とでは、受験が終わった後の再開のしやすさが大きく変わります。


なお、英語選択入試や帰国生入試を利用するなら、話は変わってくるでしょう。


英語の学習がそのまま受験対策を兼ねるため、時間配分の悩みは小さくなります。


志望校の入試方式を早めに調べておくと、英語をどう位置づけるかの判断がしやすくなるはずです。


表6:小学校高学年の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

多読

週5回

20分

読む速度と語彙を保つ

英作文

週1回

40分

書く力を落とさない

オンラインレッスン

週1回から2回

40分

話す機会と添削を得る

資格対策

受験前の2か月

週2回

到達度を確認する

低学年の組み立てと比べると、書く時間が加わったぶん総量が増えています。


すべてを詰め込むのが難しければ、多読の日数を週3回に減らして調整してください。優先して残したいのは、週1本の英作文です。



中学生で帰国する場合の英語維持の進め方

中学生で帰国する場合の英語維持の進め方

中学生での帰国は、英語を忘れにくい一方で、伸びが止まりやすい年齢帯にあたります。


すでに文字を通じて英語を扱えるため、急激に落ちる心配は小さいでしょう。


ただし学校の授業が易しく感じられるぶん、勉強しなくても困らない状態が続いてしまいます。


学校とは別の物差しを持つことが、この時期の要になります。


定期テストの点数と実際の英語力がずれる


学校の英語で高得点を取れても、それは維持できている証拠になりません


日本の中学校の教科書は、現地校で読んでいた文章よりもはるかに易しい水準です。特別な準備をしなくても、9割前後は取れてしまうでしょう。


厄介なのは、感覚で解いて正解してしまう点にあります。文法の仕組みを説明できなくても、耳になじんだ形を選べば当たります。


そのため文法の穴が見えないまま、学年だけが進んでいくのです。


高校に入ってから、いきなり点数が落ちるケースはここから生まれます。扱う文章が難しくなり、感覚だけでは処理できなくなるためです。


外部の試験で定期的に確認しておけば、この落とし穴を避けられます。


英検2級から準1級を目安に据える


中学生の目安としては、英検2級から準1級あたりが妥当です。準1級に合格できれば、CEFRではB2の範囲に届いた計算になります。


現地校に数年通っていたお子様であれば、十分に射程へ収まる水準でしょう。


中学生のうちに準1級を取得できると、高校以降の選択肢が広がります。


英語外部検定を使う入試に対応でき、学校によっては単位や成績の面で優遇される場合もあります。


何より、目標を持って学習を続けた経験そのものが財産になるでしょう。


英検以外では、TOEFL Juniorのように学習に使う英語を測る試験も選択肢に入ります。


学校の教科内容に近い題材が出るため、読解力の現在地を知るには適した試験です。


志望する進路が固まっていない段階では、英検を軸に置きつつ、こうした試験も試してみるとよいでしょう。


家庭学習はアカデミックな読解に比重を置く


中学生になったら、読む題材を物語中心から広げていってください


説明文、意見文、報道記事といった、事実と論理で構成された文章に触れる時間を増やします。


物語だけを読み続けても、学習に使う語彙は増えにくいためです。


英語のニュースや講演の視聴を習慣にするのも有効な方法です。1本が10分程度の短いものを選べば、日々の学習に組み込めます。


関心のある分野から入ると続きやすくなります。


読んだ内容や見た内容について、英語で短く書く運用を組み合わせましょう。100語程度の要約で構いません。


読んで終わりにせず、自分の言葉に置き換える作業を挟むと、語彙が使える状態で定着していきます。


部活動や塾との時間の奪い合いをどう解くか


中学生になると、自由に使える時間が急に減ります。


部活動が週6日ある学校も珍しくなく、そこに定期テストと塾が重なれば、英語の維持に回せる時間はわずかです。


このとき、量を確保しようとしないでください。毎日30分を死守するという形のほうが、実際には続きます。


1日30分でも週で3時間半になり、表1で示した維持の水準に届きます。


まとまった時間が取れる長期休暇の使い方も考えておきましょう。夏休みや冬休みに集中して取り組めば、学期中に落ちた分を取り戻せます。


学期中は細く、休暇中は太くという二段構えが、中学生には現実的な設計です。


表7:中学生の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

説明文の多読

週4回

25分

学習に使う語彙を保つ

英語での要約

週2回

30分

論理的に書く力を保つ

オンラインレッスン

週1回

50分

議論と添削の機会を得る

資格対策

通年

週1回から2回

到達度を測る

部活動が忙しい時期は、この表のとおりに進まない週も出てきます。そうした週は、多読を10分に短縮してでも毎日続けるほうを選んでください。

週末にまとめて取り返す形は、一見効率がよさそうに見えて長続きしません。


高校生で帰国する場合の英語維持の進め方

高校生で帰国する場合の英語維持の進め方



記事作成者 (Manami Palmini)


まなみ

講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い



 
 
 

コメント


bottom of page