top of page
検索

帰国子女の英語力を維持する方法|年齢別の家庭学習とオンライン活用法

  • 11 分前
  • 読了時間: 55分

帰国子女の英語力を維持できるかどうかは、お子様の年齢に応じた到達目標を決めたうえで、駐在中から家庭学習とオンラインを組み合わせて設計できたかどうかで大きく変わります。


帰国してから慌てて教室を探すご家庭と、渡米中のうちに受け皿まで決めていたご家庭とでは、帰国から1年が経った時点で差がついていきます。


日本に帰ったら数か月で忘れてしまうのではないか。何をどこまでやれば維持できたと言えるのか判断できない。周囲に同じ立場の相談相手がいない。米国駐在中のご家庭からは、こうした声が繰り返し聞かれます。


英語の維持に関する情報は、帰国後の対策に偏っている面があります。しかし実際に動くべき時期は、まだ現地校に通っている今です。


現地校の成績表も、教員のコメントも、英語で書かれた本も、帰国後には手に入らなくなります。こうした課題に向き合っているご家庭は、決して少数ではありません。


外務省によれば、海外に在住する日本人は2023年10月現在で約129万人にのぼり、日本人学校や補習授業校などの在外教育施設に通う児童・生徒は約4万人とされています。


補習授業校に通うお子様の多くは平日を現地校で過ごしており、英語と日本語の両方を抱えながら学んでいる計算になります。


この記事では、米国駐在中のご家庭を主な読者として、年齢帯ごとの維持設計を具体的にまとめました。

帰国直後のご家庭にも役立つ内容として、帰国後1年間の優先順位についても扱います。


【この記事でわかること】




帰国後に英語力が変化する仕組みを押さえる

帰国後に英語力が変化する仕組みを押さえる

対策を選ぶ前に、英語力が帰国後にどう変化するのかを押さえておくと、家庭学習の設計を誤りにくくなります。変化の仕方は一律ではありません。


帰国したときの年齢、現地での滞在年数、そして英語をどのような用途で使っていたかによって、残るものと失われるものが分かれます。

ここでは、対策を考えるうえで前提となる要点を整理します。


英語力は使わない期間の長さによって少しずつ落ちていく


英語力の変化は、帰国した翌日に始まるわけではありません。英語へ触れる時間が減った状態が続くと、言いたい単語が出てこない、話し始めるまでに間が空くといった形で、少しずつ表れてきます。


進み方は緩やかです。数か月から数年かけて変化していく場合が多く、その間も日常的な受け答えは成立します。だからこそ気づきにくいという難しさがあります。


保護者が「最近あまり英語を話さなくなった」と感じた時点では、変化が始まってから半年以上が経っているケースも珍しくありません。定期的に確認する仕組みを持たないまま過ごすと、対応が後手に回ります。


会話の流暢さと学習に使う英語では減り方が異なる


同じ英語力でも、失われやすさには差があります。友達との会話や日常のやり取りで使う英語は、比較的長く残りやすいのが特徴です。一方で、教科書を読む、内容を要約する、意見を筋道立てて書くといった学習に使う英語は、使わなければ伸びが止まってしまいます。


この2つの違いは、バイリンガル教育の研究で知られるジム・カミンズが示した枠組みで説明されてきました。日常の場面をこなす力をBICS(生活言語能力)、教科の学習を支える力をCALP(学習言語能力)と呼び分けます。


生活のなかで使う英語が残っていても、学習を支える力まで保たれているとは限りません。

現地校で身につけた読解力や作文力は、意識して使い続けなければ、年齢相応の水準から少しずつ離れていきます。学年が上がれば求められる水準も上がるため、同じ場所にとどまっているだけでは後退したのと変わりません。


この違いを理解しておくと、家庭学習で何に時間を割くべきかが見えてきます。話す機会を確保することも大切ですが、それだけでは学習に使う英語は保てません。教科書を読んで要点をまとめる、根拠を示して意見を書くといった作業を、帰国後も続けていく必要があるわけです。


なお、現地校に在籍している段階で授業についていくこと自体に苦労している場合は、順序が変わります。英語の維持を考えるより先に、現地での学習支援に手を打つほうが自然でしょう。その進め方については、現地校の授業についていけないときの対策で扱っています。


維持・伸長・再構築のどれを目指すかで打ち手が変わる


維持と一言で言っても、ご家庭が目指す状態は同じではありません。帰国時点の力を保てば十分なのか、さらに伸ばしたいのか、いったん落ちた力を戻したいのかによって、必要な時間も費用も変わってきます。方針を最初に決めておけば、教材選びや費用のかけ方がぶれにくくなるはずです。


逆に決めないまま始めると、周囲の家庭の話を聞くたびに方針が揺れ、結果として何も続かないという状況に陥りやすくなります。次の表は、3つの状態を整理したものです。週あたりの時間はひとつの目安として示しました。ご家庭の状況に応じて調整してかまいません。


表1:英語維持の3つの状態と必要な負荷

状態

目指すもの

想定される状況

週あたりの目安

主な手段

維持

帰国時点の力を保つ

帰国直後で、当面は現状維持を優先したい

3〜5時間

多読、動画、オンライン英会話

伸長

年齢相応に伸ばし続ける

将来の進学や再赴任を見据えている

6〜10時間

英語保持教室、オンラインインター、資格対策

再構築

落ちた力を戻す

帰国から1年以上が経ち、話す機会が減っている

8時間以上

個別指導、文法の学び直し、集中的な多読

再赴任の可能性があるご家庭は、維持ではなく伸長を選ぶことになります。

現地校に戻ったときに学年相応の授業へついていくには、日本にいる間も学習に使う英語を伸ばし続ける必要があるためです。


「維持できている」と判断する基準を年齢別に決める

「維持できている」と判断する基準を年齢別に決める

家庭学習が続かない最大の理由は、達成の基準がないことにあります。英語を忘れないようにという漠然とした目標のままでは、進んでいるのか後退しているのかを判断できません。


測れる指標を年齢ごとに決めておくと、ご家庭の判断がぶれなくなり、お子様にも達成感が伝わります。ここでは基準の置き方と、その測り方を整理します。


目標の形を決めないと家庭学習は続かない


目標が曖昧なままだと、教材選びも時間配分も場当たりになりがちです。書店で見かけた問題集を買っては途中で止め、周囲の家庭の話を聞いては方針を変えるという状態に陥ります。目標の形は年齢によって変わってきます。小学生以上であれば、英検の級や読書量といった数値で置けるでしょう。


一方、未就学の時期には数値がなじみません。この段階では、英語を嫌がっていないか、絵本や動画に自分から手を伸ばすかという状態で判断してください。


数値で測れない年齢帯に無理に級を課すと、かえって英語から遠ざかる結果を招きます。目標を置くこと自体が目的ではなく、続けるための道しるべとして使うという位置づけを忘れないでおきましょう。


英検とCEFRを共通の物差しにする


年齢を問わず使える物差しとして、英検とCEFRの組み合わせが便利です。CEFRは、外国語の熟達度をA1からC2までの6段階で示す国際的な枠組みで、英検のスコアからも対応するレベルを確認できます。


文部科学省が示した各資格・検定試験とCEFRとの対照表を見ると、実用英語技能検定のCSEスコアは次のように対応しています。2600から3299がC1、2300から2599がB2、1950から2299がB1、1700から1949がA2、そして1400から1699がA1です。


ここに各級の合格基準スコアを重ねれば、3級の合格はA1、2級の合格はB1、準1級の合格はB2、1級の合格はC1の範囲に入ると分かります。注意したいのは、受験した級によってCEFRが表示されない場合がある点です。日本英語検定協会によれば、準1級を受験して4技能総合スコアが2級の合格基準である1980に届かない場合、4技能総合CEFRは表示されません。


同じく2級の受験では1728が下限となります。詳しい仕組みについては、英検CSEスコアとCEFRの対応(日本英語検定協会)をご確認ください。級に合格したかどうかだけでなく、CSEスコアの推移を記録しておくと、不合格の回も含めて現在地が見えてきます。


現地校の読書レベルを帰国前に記録しておく


現地校では、児童生徒の読書力を段階で示す指標が使われている場合があります。学校によって採用している指標は異なるため、名称と現在の段階を、帰国前に担任へ確認して控えておいてください。この記録があると、帰国後に読ませる本のレベルを決めるときの出発点になります。


手元に何もない状態から適切な難易度を探すのは、想像以上に手間がかかる作業です。帰国後は同じ指標で測り直せないことも多いため、代わりの記録方法を用意しておきましょう。読み終えた冊数、本のシリーズ名、おおよその語数を残しておけば、半年後に振り返ったときの比較材料になります。


年に2回は同じ指標で測り直す


測定の間隔が空くほど、変化に気づくのが遅れます。春と秋というように時期を決めて、同じ物差しで確認する運用にしてください。記録に残す項目は3つで足ります。受験した級とCSEスコア、その期間に読み終えた語数、そして書いた文章の本数です。どれも特別な道具を使わずに残せます。


数字が横ばいでも、落胆する必要はありません。学年が上がっても同じ水準を保てているなら、それは維持できている状態にあたります。


表2:年齢帯別の到達目安(英検とCEFRを軸に)

年齢帯

維持の目安

CEFRとの対応

測り方

補足

未就学

英語を嫌がらずに触れ続けている状態

対象外

絵本への反応、発話量

目標は数値ではなく状態で置き、英語への抵抗感がないかを見る

小学校低学年

英検4級から3級

3級の合格でA1の範囲

年1回の受験と多読の記録

読み書きへの移行が始まる時期にあたる

小学校高学年

英検準2級から2級

2級の合格でB1の範囲

年1回から2回の受験

学習に使う英語が伸びるか止まるかの分岐点になる

中学生

英検2級から準1級

準1級の合格でB2の範囲

年2回の受験と記述課題

学校の定期テストとは別の物差しを持つ

高校生

英検準1級以上、TOEFL iBTやIELTS

1級の合格でC1の範囲

年2回の受験と志望校要件の照合

進路の要件から逆算して基準を決める

表に示した級はあくまで目安です。帰国したときの年齢や現地での滞在年数によって、無理なく届く水準は変わってきます。お子様の現在地を一度測ったうえで、半年後に届きそうな範囲へ調整してください。


駐在中にやっておきたい帰国前の準備

駐在中にやっておきたい帰国前の準備

英語維持の成否は、帰国してから何をするかよりも、帰国前にどこまで整えたかで大きく決まります。現地校の成績表も、担任からのコメントも、英語で書かれた本も、日本に帰ってからでは手に入りません。


しかも準備には順序があり、帰国が決まってから慌てて動くと間に合わない項目が出てきます。ここでは帰国までの残り期間ごとに、済ませておきたい内容を整理します。


帰国1年前までに現在地を測っておく


帰国の見通しが立った段階で、英検などの資格試験を受けてお子様の水準を記録しておきましょう。基準となる数字がひとつあるだけで、帰国後の目標設定がぐんと楽になります。米国から受験する場合は、会場や実施形式を早めに調べておく必要があります。


居住地によっては受験できる会場が限られ、日程の選択肢も少なくなりがちです。帰国直前になって受けられないと分かる事態は避けたいところです。同時に、書類の保存も始めてください。


現地校の成績表、担任が書いたコメント、授業で提出した作文や課題は、帰国生入試や編入の手続きで求められる場合があります。学校が発行する書類は在籍中でなければ取り寄せにくくなるため、手元にそろえておくと安心です。


帰国半年前に受け皿を探し始める


英語保持教室や英語学童には定員があり、直前の申し込みでは入れないことがあります

人気のある教室ほど待機が発生しやすく、帰国してから探し始めると数か月の空白が生まれてしまいます。


この時期に、帰国先の地域でどのような選択肢があるかを洗い出しておきましょう。自宅からの通学時間、開講している曜日と時間帯、対象となる学年の3点を確認すれば、現実的に通える先が絞られます。


通学が難しい地域では、オンラインを前提に組み立てることになります。地方への帰任であっても、オンラインであれば選択肢の幅は変わりません。帰国先が都市部かどうかで、検討すべき手段が分かれる点は押さえておいてください。


帰国直前の3か月は空白をつくらない設計に集中する


引っ越しの前後は、学習が止まりやすい時期にあたります。荷造り、送別、住まい探し、転入手続きと用事が重なり、英語どころではなくなるご家庭がほとんどでしょう。


問題は、ここで生じた空白が後を引くことです。数週間でも完全に途切れると、再開するときの心理的な抵抗が大きくなります。荷物の到着を待たずに続けられる手段を、渡航前に決めておいてください。


オンラインであれば、住所が変わっても同じ講師のもとで継続できます。教材が船便の中にあっても、画面越しの授業は成立するでしょう。帰国の前後をまたいで続けられるかどうかは、サービスを選ぶときの重要な判断材料といえます。


なお、帰国生入試そのものの制度や対策の進め方は、帰国枠受験を見据えたオンラインでの対策で詳しく扱いました。


現地校の教材と本を計画的に持ち帰る


帰国後に同じ水準の洋書をそろえようとすると、費用も手間もかかります。日本の書店で扱う洋書は種類が限られ、取り寄せには時間を要します。


優先して持ち帰りたいのは、読みかけのシリーズと、お子様が繰り返し読んでいる本です。

続きが気になる状態で日本に帰れば、それ自体が読書を続ける動機になります。すべてを持ち帰るのは現実的ではないため、冊数の上限を決めて選びましょう。


あわせて、日本からも使える電子書籍サービスや図書館のアプリを、渡航前に登録しておいてください。米国の図書館カードで使えるサービスの中には、帰国後に利用できなくなるものもあります。使えなくなる前に、代わりの入手経路を確保しておくと安心です。


帰国後の学習時間を家族で先に合意しておく


帰国後は、国語や算数の遅れの補填、新しい学校への適応、友人関係の再構築が同時に押し寄せます。そのなかで英語にどれだけ時間を割くのかを、帰国前に家族で決めておきましょう


決めないまま帰国すると、目の前の課題に押されて英語が後回しになります。逆に英語を優先しすぎれば、学校の勉強が追いつかなくなる恐れも出てきます。どちらに転んでも、後から方針を変えるには相応の労力が必要でしょう。


このとき、お子様本人の意向を確かめておくことが欠かせません。保護者だけで決めた計画は、本人が納得していなければ長続きしないものです。英語を続けたいのか、いったん休みたいのか、率直な気持ちを聞いておいてください。


表3:帰国までの残り期間別やることリスト

時期

学習面

記録・書類

環境の準備

1年前

英検などで現在地を測る

成績表と作文を保存し始める

帰国先の地域を確認する

半年前

目標級を決めて対策に入る

現地校の在籍証明を確認する

英語保持教室やオンラインを比較する

3か月前

学習の形をオンライン中心に移す

担任のコメントをまとめる

体験レッスンを受けて相性を確かめる

1か月前

空白をつくらない最低限の習慣を決める

書類一式を手荷物にまとめる

帰国直後から使えるサービスを契約する

帰国直後

週あたりの時間を固定する

帰国日を記録に残す

学校生活の様子を見ながら量を調整する

帰国の時期が読めない場合でも、1年前の項目から着手しておいて損はありません。測定と記録は、いつ帰ることになっても役立ちます。


未就学で帰国する場合の英語維持の進め方

未就学で帰国する場合の英語維持の進め方

未就学の時期に帰国するお子様は、英語を身につけた経路が特殊なぶん、失われ方にも特徴があるものです。文字を介さず、音と場面のセットで覚えた英語が中心のため、環境が変われば使う機会そのものが消えてしまうのです。


この年齢帯では数値目標を置かず、英語との距離感を保つことを優先してください。


文字を介さずに覚えた英語は環境が変わると使われなくなる


読み書きの土台がまだない段階では、英語は場面と結びついた形で記憶されています

園で友達と遊ぶとき、先生の指示を聞くときというように、使う場面があるからこそ引き出されるわけです。


その場面が日本の生活に置き換わると、英語を出す理由が消えます。帰国してしばらく経ってから、急に英語を話さなくなったというお話をよく耳にします。保護者としては、あれほど流暢だったのにと戸惑うでしょう。


ただし、完全に消えてしまうとは限りません。数年後に英語学習を再開したとき、発音の質や聞き取りの速さに現地での経験が残っている例もあります。今の時点で話さなくなったからといって、すべてが失われたと判断する必要はないのです。


この時期の目標は英語を嫌いにさせないこと


未就学の段階では、級やスコアを追いかけないでください。英語に触れる時間が生活の一部として残っていれば、それで十分だと考えましょう。この時期に無理やり勉強の形へ押し込めると、苦手意識が生まれます。いったん英語が嫌なものになってしまうと、小学校に入ってから立て直すのに時間がかかります。


目先の学習量よりも、英語に対する感情のほうがはるかに大切な要素です。遊びや歌のなかに英語を残すのが現実的な方法になります。お風呂で英語の歌を口ずさむ、寝る前に英語の絵本を1冊読む、といった小さな習慣で構いません。楽しい記憶と一緒に残った英語は、後から呼び戻しやすくなります。


家庭学習の柱は音と絵本にする


家庭で取り組む内容は、読み聞かせ、歌、簡単なやり取りの3つを軸にすると組み立てやすくなります。どれも机に向かう必要がなく、生活の流れのなかに置けるのが利点です。保護者が英語に自信を持てない場合でも心配は要りません。音源つきの絵本や、朗読の動画を使えば、発音の面倒を見る必要はなくなります。


保護者の役割は、一緒に楽しむ姿勢を見せることだけです。時間の目安は1回15分程度で、それを毎日続ける形が合っています。長い時間を週に1度だけ確保するよりも、短くても毎日触れるほうが、この年齢では効果を得やすくなるでしょう。


オンラインは短時間を高頻度で組む


未就学のお子様は集中が長く続きません。オンラインを使うなら、1回の長さよりも回数を重視して組んでください。25分の授業を週1回よりも、15分から20分を週2回から3回のほうが定着しやすい傾向にあります。


講師を固定できるサービスを選ぶと、続けやすさが変わります。毎回違う相手だと人見知りが出やすく、慣れるまでに時間を使ってしまうためです。同じ先生に会いに行くという感覚が生まれれば、レッスン自体が楽しみになります。


画面の前でじっとしていられない場合は、体を動かす要素があるレッスンを探しましょう。

歌に合わせて手を動かす、指示に従って物を取ってくるといった内容であれば、遊びの延長として取り組めます。うまくいかないときは、内容そのものを変えてみてください。


表4:未就学の週間の組み立て例

曜日

内容

時間の目安

月・水・金

英語の絵本の読み聞かせ

15分

火・木

オンラインの短時間レッスン

20分

英語の動画を家族で視聴

30分

決めた活動は入れない

設定しない

日曜日にあえて何も入れていないのは、休む日を用意しておくためです。毎日欠かさず続けようとすると、できなかった日に罪悪感が残ります。

予定通りに進まない日があっても構わないという前提で組んでおくほうが、結果として長く続きます。


小学校低学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校低学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校低学年は、話す力から読み書きへと重心が移っていく時期でしょう。この移行の途中で帰国すると、会話は残っているのに文字が扱えないという偏りが生まれがちです。


現地校で始まったばかりの読み書きを止めずに続けられるかどうかが、この年齢帯の分かれ目になります。


読み書きへの移行期に空白ができやすい


米国の現地校では、低学年のうちにフォニックスを通じて音と文字の対応を学び、短い文章を書く練習も始まります。ちょうどこの土台づくりの最中に帰国すると、積み上げが途中で止まってしまうのです。会話が残るぶん、保護者は問題に気づきにくくなります。家では英語で受け答えができるので、順調に見えるわけです。


ところが本を開かせてみると、聞けば分かる単語を読めないという状態が明らかになります。日本の小学校の英語の授業だけで、この水準を埋めるのは難しいでしょう。授業は英語に親しむ段階から始まるため、現地校で進んでいた読み書きの続きを扱う場面はほとんどありません。学校の外で補う設計が必要になります。


フォニックスと多読を止めずに続ける


帰国後もフォニックスの学習を続けて、音と文字の対応を固めてください。すでに知っている単語を文字で確認していく作業なので、負担は大きくありません。ここが固まると、初めて見る単語も自力で読めるようになります。


多読については、冊数の目標を掲げるよりも、毎日読む習慣として設計するほうがうまくいきます。1日10分でも構いません。


読む行為が日課になっていれば、量は後からついてきます。本のレベルは上げすぎないでください。辞書を引きながら難しい本を1冊読むより、すらすら読める本を10冊読むほうが、この年齢では力になります。9割以上の単語が分かる本を選ぶと、読書そのものが楽しい時間になるでしょう。


家庭学習は音読と読み聞かせを組み合わせる


家庭での取り組みは、お子様が声に出して読む時間と、保護者が読んで聞かせる時間の2つに分けると効果的です。役割の違う2つを組み合わせることで、伸びる技能の偏りを防げます。音読で使う本は、自力で読める易しめのものを選んでください。読み聞かせでは、少し難しい内容の本を扱います。


自分では読めなくても、聞けば理解できる水準の話に触れておくと、語彙と内容理解が伸びていきます。週あたりの読書量は記録に残しましょう。読んだ本のタイトルを書き出すだけの簡単なもので十分です。記録が積み上がっていく様子は、お子様本人にとっても分かりやすい成果になります。


英語学童や英語保持教室という選択肢を検討する


家庭学習だけでは、英語を使って人とやり取りする機会が不足します。放課後に英語で過ごす時間を確保する手段として、英語学童や英語保持教室も検討してみてください。ただし、通える範囲にあるかどうかで実現性は大きく変わります。


都市部であれば選べる教室がある一方、地方への帰任では候補が見つからない場合も少なくありません。


地域の事情を踏まえて、オンラインとの併用も含めて考えてください。見学に行く際は、子ども同士が何語で話しているかを確かめましょう。英語の教室であっても、休み時間や移動の合間に日本語で会話している環境では、期待した効果が得られにくくなります。実際の様子を見てから判断するほうが確実です。


表5:小学校低学年の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

音読

週5回

10分

文字と音の対応を保つ

読み聞かせ

週3回

15分

語彙と内容理解を伸ばす

オンラインレッスン

週2回

25分

話す機会を確保する

英語の動画

週2回

30分

自然な英語に触れる

この組み立てなら、週あたりの合計は3時間半ほどに収まります。学校の宿題や習い事と並行しても、無理なく続けられる分量でしょう。もし時間が取れない週があれば、まず動画から削り、音読は最後まで残してください。文字と音の対応は、いちど途切れると戻すのに手間がかかります。


小学校高学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校高学年で帰国する場合の英語維持の進め方

小学校高学年での帰国は、学習に使う英語が伸び続けるか止まるかの分岐点になります。

会話力は残りやすい一方で、読解と作文は使わなければ年齢相応の水準から離れていくためです。


加えて中学受験との時間配分という現実的な課題も重なってきます。この年齢帯では、書く力を軸に据えた設計が有効です。


学習に使う英語の伸びがここで止まりやすい


現地校の授業は、高学年になると扱う題材が抽象的になります。物語の読解に加えて、社会や理科の教科書を読み、要点をまとめ、根拠を示して意見を書くという作業が加わってくるでしょう。この段階で帰国すると、その先に控えていた語彙や表現が入らなくなります。


日常会話に必要な英語はすでに身についているため、話す場面では困りません。だからこそ保護者は変化に気づきにくいのです。


定期的な測定が必要になる理由が、まさにここにあります。話せる状態と、学年相応の文章を読み書きできる状態は別のものです。半年に一度は文章を書かせて、質の変化を確認してください。


英検準2級から2級を通過点として設定する


この年齢帯では、英検準2級から2級あたりを通過点に置くとよいでしょう。文部科学省の対照表に照らすと、2級の合格はCEFRのB1の範囲に入ります。中学入学前にこの水準を保てていれば、帰国後の英語学習は順調だと判断できます。級そのものが目的ではありません。あくまで学習を続けるための区切りとして使うものです。


合格を目指す過程で語彙を増やし、文法を整理し、書く練習を積むところに意味があります。合格した後に学習を止めてしまうご家庭が少なくありません。そこで手を緩めると、せっかく保った水準が下がり始めます。次の級の教材に進んで、語彙を増やし続けてください。


家庭学習はライティングを軸に据える


書く作業は、語彙と文法と論理を同時に使うため、負荷が高いぶん得られるものも大きくなります。読むだけでは受け身になりがちですが、書くとなれば自分の引き出しから言葉を取り出さなければなりません。週に1本、短い作文を書かせる運用をおすすめします。テーマは保護者が決めても構いません。


今週読んだ本の感想、日本と米国の学校の違い、将来やってみたいことなど、答えの決まっていない題材が向いています。分量は最初のうち150語程度で十分です。家庭で添削するのが難しい場合は、外部の手を借りる方法があります。オンライン家庭教師や英語保持教室では、書いた文章に朱を入れてもらえます。


添削がないまま書き続けると、同じ誤りが定着してしまう恐れがあるため、どこかで見てもらう仕組みを用意しておきましょう。


中学受験との両立をどう考えるか


中学受験に取り組むご家庭では、受験期に英語の時間を削らざるを得ない場面が出てきます。小学6年生の秋以降は、国語や算数に時間を集中させる判断も現実的でしょう。それでも、英語をゼロにしないでください。週に2回、20分の音読だけでも構いません。


完全に止めた場合と、細く続けた場合とでは、受験が終わった後の再開のしやすさが大きく変わります。


なお、英語選択入試や帰国生入試を利用するなら、話は変わってくるでしょう。英語の学習がそのまま受験対策を兼ねるため、時間配分の悩みは小さくなります。志望校の入試方式を早めに調べておくと、英語をどう位置づけるかの判断がしやすくなるはずです。


表6:小学校高学年の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

多読

週5回

20分

読む速度と語彙を保つ

英作文

週1回

40分

書く力を落とさない

オンラインレッスン

週1回から2回

40分

話す機会と添削を得る

資格対策

受験前の2か月

週2回

到達度を確認する

低学年の組み立てと比べると、書く時間が加わったぶん総量が増えています。

すべてを詰め込むのが難しければ、多読の日数を週3回に減らして調整してください。優先して残したいのは、週1本の英作文です。



中学生で帰国する場合の英語維持の進め方

中学生で帰国する場合の英語維持の進め方

中学生での帰国は、英語を忘れにくい一方で、伸びが止まりやすい年齢帯にあたります。

すでに文字を通じて英語を扱えるため、急激に落ちる心配は小さいでしょう。


ただし学校の授業が易しく感じられるぶん、勉強しなくても困らない状態が続いてしまいます。学校とは別の物差しを持つことが、この時期の要になります。


定期テストの点数と実際の英語力がずれる


学校の英語で高得点を取れても、それは維持できている証拠になりません。日本の中学校の教科書は、現地校で読んでいた文章よりもはるかに易しい水準です。特別な準備をしなくても、9割前後は取れてしまうでしょう。


厄介なのは、感覚で解いて正解してしまう点にあります。文法の仕組みを説明できなくても、耳になじんだ形を選べば当たります。


そのため文法の穴が見えないまま、学年だけが進んでいくのです。高校に入ってから、いきなり点数が落ちるケースはここから生まれます。扱う文章が難しくなり、感覚だけでは処理できなくなるためです。外部の試験で定期的に確認しておけば、この落とし穴を避けられます。


英検2級から準1級を目安に据える


中学生の目安としては、英検2級から準1級あたりが妥当です。準1級に合格できれば、CEFRではB2の範囲に届いた計算になります。現地校に数年通っていたお子様であれば、十分に射程へ収まる水準でしょう。


中学生のうちに準1級を取得できると、高校以降の選択肢が広がります。英語外部検定を使う入試に対応でき、学校によっては単位や成績の面で優遇される場合もあります。


何より、目標を持って学習を続けた経験そのものが財産になるでしょう。英検以外では、TOEFL Juniorのように学習に使う英語を測る試験も選択肢に入ります。学校の教科内容に近い題材が出るため、読解力の現在地を知るには適した試験です。


志望する進路が固まっていない段階では、英検を軸に置きつつ、こうした試験も試してみるとよいでしょう。


家庭学習はアカデミックな読解に比重を置く


中学生になったら、読む題材を物語中心から広げていってください。説明文、意見文、報道記事といった、事実と論理で構成された文章に触れる時間を増やします。物語だけを読み続けても、学習に使う語彙は増えにくいためです。


英語のニュースや講演の視聴を習慣にするのも有効な方法です。1本が10分程度の短いものを選べば、日々の学習に組み込めます。関心のある分野から入ると続きやすくなります。


読んだ内容や見た内容について、英語で短く書く運用を組み合わせましょう。100語程度の要約で構いません。読んで終わりにせず、自分の言葉に置き換える作業を挟むと、語彙が使える状態で定着していきます。


部活動や塾との時間の奪い合いをどう解くか


中学生になると、自由に使える時間が急に減ります。部活動が週6日ある学校も珍しくなく、そこに定期テストと塾が重なれば、英語の維持に回せる時間はわずかです。このとき、量を確保しようとしないでください。毎日30分を死守するという形のほうが、実際には続きます。


1日30分でも週で3時間半になり、表1で示した維持の水準に届きます。まとまった時間が取れる長期休暇の使い方も考えておきましょう。夏休みや冬休みに集中して取り組めば、学期中に落ちた分を取り戻せます。


学期中は細く、休暇中は太くという二段構えが、中学生には現実的な設計です。


表7:中学生の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

説明文の多読

週4回

25分

学習に使う語彙を保つ

英語での要約

週2回

30分

論理的に書く力を保つ

オンラインレッスン

週1回

50分

議論と添削の機会を得る

資格対策

通年

週1回から2回

到達度を測る

部活動が忙しい時期は、この表のとおりに進まない週も出てきます。そうした週は、多読を10分に短縮してでも毎日続けるほうを選んでください。週末にまとめて取り返す形は、一見効率がよさそうに見えて長続きしません。


高校生で帰国する場合の英語維持の進め方

高校生で帰国する場合の英語維持の進め方

高校生になると、英語を維持する目的が進路と直結してきます。大学入試で英語外部検定を使うのであれば、必要な水準は志望校ごとに具体的に決まります。


何となく英語を続けるという段階から、出願時期から逆算して基準を定める段階へと切り替えてください。ここでは進路と結びつけた設計の考え方を示します。


進路が決まると必要な水準が具体化する


一口に大学進学といっても、求められる指標は進路によって異なります。国内大学の総合型選抜、英語外部検定利用入試、そして海外大学への出願では、それぞれ扱われる試験も基準も別のものです。


志望校の要件を早い段階で調べておくと、目標が一気に明確になります。必要な級やスコアが分かれば、そこから逆算して学習量を決められるためです。


曖昧な状態で学習を続けるより、はるかに効率がよくなります。ただし要件は年度によって変わるものです。数年前の情報をそのまま信じると、出願の段階で条件を満たしていない事態も起こり得ます。必ず各大学の公式サイトで、最新の募集要項を確認してください。


TOEFL iBTやIELTS、英検準1級以上を視野に入れる


高校生の目安は、英検準1級以上に置くとよいでしょう。前章で触れたとおり準1級の合格はB2の範囲にあたり、さらに1級の合格まで届けばC1の範囲に入ります。海外大学を視野に入れる場合は、TOEFL iBTやIELTSのスコアが必要になる場面も出てきます。


重要なのは、いつまでにスコアを取るかという設計です。出願の締め切りから逆算して、受験の予定を組んでください。


1回で目標に届かない可能性を見込み、複数回受けられる余裕を持たせておくと安心です。

試験によっては、スコアに有効期限が定められている場合があります。早く取りすぎると出願時に使えなくなる恐れもあるため、期限の有無を事前に確認しておきましょう。受験時期の設計そのものが、対策の一部だと考えてください。


家庭学習では英語で考える時間を確保する


高校生になると、日本語に訳して理解する習慣が身についてしまいがちです。学校の授業が和訳を中心に進むためですが、この習慣が定着すると処理速度が落ちていきます。せっかく身につけた、英語のまま理解する力が失われかねません。


対策として、英語のまま読んで英語のまま書く時間を毎日確保してください。分量にこだわる必要はありません。


日本語を挟まない時間をどれだけ持てるかが、この年齢帯では重要になります。題材は関心のある分野から選びましょう。科学、国際情勢、スポーツなど、自分が読みたいと思える内容であれば続きます。


将来学びたい分野の記事を英語で読んでおけば、進学後の学習にもそのまま生きるはずです。


英語力を活かせる入試方式を知っておく


帰国生入試や英語外部検定利用入試では、維持してきた英語力がそのまま評価の材料になります。一般入試で他の受験生と同じ土俵に立つよりも、強みを活かせる可能性が高いでしょう。ただし出願要件は学校ごとに大きく異なります。


海外に何年滞在していたか、帰国してから何年以内か、どの試験のどの水準を求めるかといった条件は、それぞれの大学が個別に定めています。


一般論で判断せず、志望校ごとに確認する作業が欠かせません。制度の詳細については、各大学の公式サイトに掲載された募集要項が唯一の根拠になります。塾や周囲から得た情報は参考程度にとどめ、最終的な判断は公式情報に基づいて行ってください。


表8:高校生の週間の組み立て例

内容

頻度

時間の目安

ねらい

英語の記事や論説を読む

週5回

30分

読解の速度と精度を保つ

エッセイを書く

週1回

60分

論述力を維持する

オンラインレッスン

週1回

60分

添削と口頭表現の練習

試験対策

出願の6か月前から

週2回から3回

必要な水準に届かせる

試験対策を除いた合計は、週あたり4時間半ほどです。学校の課題や部活動と並行するには、朝の時間や通学中を使う工夫が要ります。出願が近づく時期には試験対策の比重を上げ、読む時間と書く時間を対策の教材で兼ねる形に切り替えてください。


家庭でできる英語維持の進め方

家庭でできる英語維持の進め方

通わせる先を探す前に、家庭でできることを固めておきましょう。費用がかからず、毎日続けられる点が家庭学習の強みです。週に1回の教室に通っていても、残りの6日をどう過ごすかで結果は変わってきます。


ここでは、時間の決め方から、英語を使わざるを得ない環境のつくり方までを順に見ていきます。


週あたりの接触時間を先に決めてしまう


何をするかより先に、いつやるかを決めてください。内容から考え始めると、教材選びに時間を使ったまま実行に移れません。曜日と時間帯を先に押さえておけば、そこに何を入れるかは後から調整できます。


平日と休日で配分を変えるのが現実的です。平日は登校前や夕食後に短く、休日はまとまった時間を確保するという形が組みやすいでしょう。


学校の宿題が多い曜日には、あえて何も入れない判断もあってかまいません。家族の生活リズムに組み込むと定着しやすくなります。朝食の前、入浴の後というように、すでにある習慣とセットにしてください。時間が空いたらやるという決め方では、いつまでも始まりません。


インプットは多読と動画を組み合わせる


読むことと聞くことでは、鍛えられる力が違います。多読は語彙と読解を支え、動画は音とスピードへの慣れを保ちます。どちらか一方に偏ると、伸びる技能も偏ってしまうため、両方を組み合わせてください。


多読で選ぶ本は、辞書なしで読める水準が基本です。難しい本に挑ませると、読む速度が落ちて量をこなせなくなります。楽に読める本を数多く読むほうが、結果として語彙は増えていきます。


動画については、お子様の興味を入り口にしましょう。好きなスポーツの解説、料理の手順、科学の実験など、内容そのものが面白ければ英語であることを意識せずに見続けられます。英語学習用に作られた教材でなくても構いません。


アウトプットは書く習慣を軸にする


家庭では、話す機会をつくるのが難しいものです。保護者が英語で話しかけ続けるのは負担が大きく、長続きしません。一方で、書く習慣なら家庭でも十分に成立します


形式は負荷の違うものを使い分けてください。数行の日記なら毎日でも続きます。読んだ本の要約は週に1本、意見を述べる文章は月に1本というように、重さの異なる課題を組み合わせると飽きが来ません。


ただし添削がないと、精度は上がりにくくなります。同じ誤りを繰り返したまま量だけ増えると、誤った形が定着してしまいます。すべてを見てもらう必要はないので、月に数本だけでも外部の目を入れる仕組みを用意しておきましょう。


海外の友人との交流を続ける仕組みをつくる


英語を使う必然性が最も自然に生まれるのは、現地の友人とのやり取りです。教材の英語と違い、伝えたいことがあるから使うという状態が生まれます。この機会を手放すのは惜しいでしょう。


続けるには、頻度を決めてしまうのが確実です。時差があるため、思い立ったときに連絡しようとしても予定が合いません。月に1回、日曜日の朝といった形で先に決めておき、双方の家庭で共有しておいてください。


日本と米国東海岸には十数時間の差があるため、日本の朝が米国の夕方にあたる時間帯を使うと調整しやすくなります。


交流が途切れる理由の多くは、話題がなくなることにあります。近況を報告し合うだけでは、数回で行き詰まってしまうものです。ゲームを一緒に遊ぶ、同じ本を読んで感想を話すというように、共通の活動を挟むと会話が続きます。


相手の家庭の事情で自然消滅する場合もあります。そのときに備えて、交流の相手は複数持っておくとよいでしょう。ひとりに依存しない形にしておけば、英語を使う機会が一度に消えてしまう事態を避けられます。


家庭内で英語を使う時間とルールを決める


日本で生活していると、英語を使わなくても一日が終わってしまいます。だからこそ、意図的に英語を使う場面を設けてはいかがでしょうか。家庭内のルールとして時間帯を決めるやり方は、この目的にかなった方法です。


うまく機能させるには、条件があります。ひとつは短く区切ることです。土曜日の朝食の間だけ、車での移動中だけというように、範囲を限定してください。一日中英語で過ごすといった無理な設定は、初日で破綻します。


もうひとつは、間違いを指摘しない約束です。英語で話すたびに訂正が入る場では、口を開くのが嫌になります。この時間の目的は正確さではなく、使うこと自体にあります。誤りを直したいなら、書いた文章の添削で行いましょう。きょうだいがいる場合は、英語力に差があると成立しにくくなります。


年上のほうが話し、年下が黙るという構図になりがちです。そうしたときは、全員が参加できる簡単な内容に落とすか、個別の時間に分ける工夫をしてください。逆効果だと感じたら、無理に続けずに一度やめる判断も必要です。


続かないときは量ではなく形式を変える


計画が続かないとき、原因は量ではなく形式にある場合がほとんどです。時間を短くしても、合っていない方法であればやはり続きません。まず形式のほうを疑ってみてください。

本が続かないなら音声に替えます。書くのが苦痛なら、口頭で話した内容を録音する形でも構いません。


同じ技能を鍛える方法は複数あるため、お子様が取り組みやすい入口を探してください。一時的に止めるという選択も、悪いものではありません。受験期や部活動が忙しい時期に完全に休んでも、再開できる形にしておけば取り返せます。


教材やアカウントを解約せずに残しておく、月に1回だけ短く触れておくといった細い糸を保っておきましょう。


表9:手段別のインプットとアウトプットの整理

手段

主に鍛えられる技能

費用の傾向

家庭での実施しやすさ

多読

読解、語彙

低から中

高い

音読

発音、読解

低い

高い

動画視聴

聴解

低い

高い

英作文

作文、文法

低い(添削は別)

中程度

海外の友人との交流

会話、聴解

低い

相手の都合による

英語での会話

会話

中程度

低い

この表を見ると、家庭で実施しやすい手段ほど費用が低いと分かります。一方で、会話に関わる部分は家庭だけでは補いにくいのが実情です。次の章では、その部分をオンラインでどう埋めるかを扱います。


オンラインを使った英語維持の選択肢と使い分け

オンラインを使った英語維持の選択肢と使い分け

家庭学習だけでは埋めにくい部分を、オンラインで補いましょう。特に会話の機会と、書いた文章の添削は、家庭の中だけで用意するのが難しい要素です。


オンラインの手段は大きく4つのタイプに分かれ、それぞれ担う役割が違います。費用と時間から現実的に絞り込む手順を見ていきます。


オンラインの手段は大きく4つのタイプに分かれる


ひとつめはオンライン英会話です。短い授業を高い頻度で受けられ、話す機会の確保に向いています。


ふたつめのオンライン家庭教師は、弱点の補強や作文の添削といった、個別の課題に対応できる点が特徴です


3つめはオンラインインターナショナルスクールで、英語で教科を学ぶ環境そのものを保てます。


4つめの通学型の英語保持教室は、同世代の子どもたちと英語で過ごす時間を提供します。選ぶ際の分かれ目は、目的が話す機会の確保にあるのか、学習に使う英語を伸ばすことにあるのかという点です。


ここを取り違えると、費用をかけても期待した結果につながりません。会話の機会は足りているのに読解が伸び悩んでいるご家庭が、オンライン英会話を増やしても解決しにくいのです。


費用と必要時間から候補を絞り込む


続けられるかどうかは、費用と時間の負担で決まる面が大きいものです。内容の良さだけで選ぶと、半年後に負担が重くなって解約するという結果を招きます。月あたりの上限を先に決めてから、候補を見てください


予算を決めずに比較すると、良さそうなサービスに目移りしてしまいます。時間についても同様で、週に何時間なら現実的に確保できるかを先に確かめておきましょう。


次の表は、4つのタイプの傾向を整理したものです。費用は幅があるため金額を示していませんが、相対的な高低は把握できます。


表10:オンライン手段の比較

タイプ

主な役割

費用の傾向

週あたりの時間

向いているご家庭

オンライン英会話

話す機会の確保

低から中

25分を週2回から5回

会話量を落としたくない

オンライン家庭教師

弱点の補強と添削

中から高

50分から60分を週1回から2回

学習に使う英語を伸ばしたい

オンラインインター

英語で学ぶ環境の維持

高い

10時間以上

再赴任や海外進学を視野に入れている

通学型の英語保持教室

同世代との英語環境

中から高

2時間から4時間

通える範囲に教室がある

年齢帯によって向いている手段が異なる


同じサービスでも、年齢によって効果の出方は変わります。未就学と低学年で優先したいのは、英語に触れる頻度を保つことでしょう。


一方、高学年以上になると、学習の質のほうが重要になってきます。年齢が上がるほど、添削を受けられる形式の価値が高まると考えてください。書いた文章に朱を入れてもらう作業は、集団の授業では受けにくいものです。


次の表で、年齢帯ごとの組み合わせを整理しました。


表11:年齢帯別に向いている手段

年齢帯

第一候補

補完する手段

未就学

短時間のオンライン英会話

家庭での読み聞かせ

小学校低学年

英語学童または英語保持教室

多読と音読

小学校高学年

オンライン家庭教師

多読と英作文

中学生

オンライン家庭教師

資格対策

高校生

オンライン家庭教師

試験対策と自習

なお、サービスによって対象学年が定められている場合があります。未就学のお子様は対象外というサービスも多いため、申し込む前に確認しておきましょう。海外在住のお子様向けサービスの比較は、海外在住のお子様向けオンライン塾の比較でも扱っています。


サービスを選ぶときに確認したい4つの点


まず確認したいのは、米国の時間帯に対応しているかどうかです。日本の時間帯だけで運営されているサービスでは、駐在中に受けられる枠が限られます。帰国後も使い続けるつもりなら、両方の時間帯に対応している先を選んでおくと安心でしょう。


次に、日本語でのサポートがあるかどうかを確かめてください。授業そのものは英語でも、手続きや相談を日本語で進められると保護者の負担が軽くなります。学習の相談を日本語でできる点は、思っている以上に価値があります。


3つめは、講師を固定できるかという点です。毎回違う講師だと、お子様の課題が引き継がれません。特に作文の添削では、前回何を指摘したかを覚えている相手のほうが効果が上がります。


4つめは、帰国の前後で継続して使えるかどうかです。住所が変わっても同じ講師で続けられれば、引っ越しの前後に空白をつくらずに済みます。あわせて、体験レッスンで相性を確かめられるかも見ておきましょう。


表12:主なサービスの例

サービス名

タイプ

特徴

アメリカ宿題サポート

オンライン家庭教師

米国在住のお子様を対象に、現地校と補習校の学習サポートを日本語と英語の両方に対応した講師が行う。英検の対策にも対応し、講師とレッスン時間を選べる。対象は小学1年生から高校3年生まで

EDUBAL

オンライン家庭教師

海外子女と帰国子女を対象とし、帰国生入試の指導に対応する

EFFECT International School

通学型の英語保持教室

帰国子女向けに英語で学ぶコースを設け、ケンブリッジ英検やIELTSを評価の軸に据える

オンライン英会話各社

オンライン英会話

短時間のレッスンを高い頻度で受けられ、会話の維持に向く

料金や対応時間、コースの内容は変更される場合があります。検討する際は、それぞれの公式サイトで最新の情報を確認してください。米国の時間帯に対応した日本語サポートつきの選択肢を探しているなら、米国の時間帯に対応したオンライン指導としてアメリカ宿題サポートも選択肢になります


学校選びと入試を英語維持の目標に据える

学校選びと入試を英語維持の目標に据える

英語を維持する手段は、教材やレッスンだけではありません。どの学校に通うか、どの入試方式を目指すかという選択も、英語を使い続ける環境をつくる有力な方法です。


学校で英語を使う時間が確保できれば、家庭の負担は大きく減ります。ここでは受け入れ校、IB認定校、帰国生入試という3つの角度から整理しましょう。


帰国子女受け入れ校では英語を使う機会が確保されやすい


帰国子女の受け入れに積極的な学校では、英語力に応じた取り出し授業や、習熟度別のクラスが用意されている場合があります。学校の授業のなかに英語を使う時間があれば、それだけで週に数時間の接触が確保できるでしょう。


こうした学校を選べたご家庭では、家庭学習の負担が目に見えて軽くなるはずです。逆に、英語の授業が一律の水準で進む学校では、学校外ですべてを補う必要が出てきます。帰国後の学校選びは、英語維持の設計そのものだと考えてください。


ただし受け入れの体制は学校によって大きく異なります。帰国子女を受け入れているという説明だけでは、実際にどのような授業が行われるかは分かりません。学校説明会や見学の機会を使って、英語の授業がどう運営されているかを具体的に確かめましょう。


IB認定校という選択肢を知っておく


英語で教科を学ぶ環境を残したいのであれば、国際バカロレアの認定校も検討に値します

国際バカロレアは、大学入学資格につながる国際的な教育プログラムで、日本国内でも導入する学校が増えてきました。


文部科学省IB教育推進コンソーシアムの公表によれば、令和8年6月30日時点の国内の認定校等数は273校です。内訳を見ると、初等教育向けのPYPが認定校91校、中等教育向けのMYPが認定校48校、大学入学資格に直結するDPが認定校80校、そしてCPが認定校1校となっています。


この数値はプログラム単位で数えたもので、国際バカロレア機構が公表する校数とは異なる点にご注意ください。認定校には、日本の学校教育法に基づく一条校と、インターナショナルスクールなどが含まれます。どちらを選ぶかで、進路の選択肢も費用も変わってきます。


認定校の一覧や制度の詳細については、IB認定校・候補校(文部科学省IB教育推進コンソーシアム)をご確認ください。


なお、プログラムを日本語で実施している学校も少なくありません。同じ資料によれば、一条校の認定校95校のうち37校が日本語DP実施校とされています。国際バカロレアの認定校であれば英語環境が保たれるとは限らないため、使用言語を必ず確認してください。


帰国生入試を目標に置くと学習が続きやすい


中学、高校、大学のいずれの段階でも、帰国生を対象とした入試が用意されています


この方式を目標に据えれば、英語の学習がそのまま受験対策を兼ねる形になるでしょう。目標があると学習は続きます。何のために英語を続けるのかという問いに答えが出るためです。特に中学生や高校生には、進路と結びついた目標が効果を発揮しやすい傾向があります。


ただし、どの入試方式にも出願の条件が設けられています。海外での滞在年数や帰国からの経過年数が問われる場合も少なくありません。条件を満たさないと分かるのが出願直前では、打つ手がありません。志望校の候補が挙がった段階で、募集要項を確認しておきましょう。


学校選びは英語だけで決めない


英語環境を優先するあまり、他の要素を見落とさないよう気をつけてください。通学時間、費用、お子様との相性、そして日本語での学習をどう進めるかも、同じくらい重要な判断材料です。


英語環境が整った学校に通っても、本人が居心地の悪さを感じていれば学習は進みません。

学校生活そのものが安定していることが、あらゆる学習の土台になります。表13で、3つの選択肢を整理しました。ご家庭の状況に照らして、現実的な候補を絞り込んでいってください。


表13:英語維持の観点から見た学校選びの選択肢

選択肢

英語環境の確保

主な確認事項

向いているご家庭

帰国子女受け入れ校

取り出し授業や習熟度別クラスの有無による

実際の授業運営、対象となる学年

日本の学校で学びつつ英語も保ちたい

IB認定校

プログラムの使用言語による

使用言語、費用、進路実績

英語で教科を学ぶ環境を残したい

一般の学校+学校外の学習

学校外の設計次第

通える教室の有無、オンラインの活用

通学や費用の条件を優先したい

どの選択肢を採るとしても、学校だけで英語が保たれるわけではありません。学校で確保できる時間を把握したうえで、足りない部分を家庭学習とオンラインで埋めるという順序で考えてください。


日本語や国語の学習とのバランスをどう取るか

日本語や国語の学習とのバランスをどう取るか

英語だけに時間を寄せると、帰国後に別の問題が表面化します。国語や算数の遅れ、新しい学校への適応、友人関係の再構築が同時に押し寄せるためです。


英語の維持は大切ですが、それを最優先に据え続けると、学校生活そのものが立ち行かなくなる恐れもあります。ここでは現実的な優先順位の付け方を考えていきます。


帰国後は複数の課題が同時に発生する


帰国直後のご家庭が抱える課題は、英語の維持だけではありません。日本の教科書の内容に追いつくこと、学校の生活習慣に慣れること、新しい友人関係をつくることが同時に進行します。すべてを高い水準で進めるのは、現実には難しいでしょう。大人でも転職と引っ越しが重なれば消耗します。


子どもの場合はそこに言語と文化の切り替えが加わるのですから、負荷はさらに大きくなります。そこで、時期をずらして取り組んではいかがでしょうか。同じ3か月でも、何を優先するかを決めておけば、迷いが減って進めやすくなります。


すべてを同時にやろうとして、どれも中途半端に終わるほうが結果として損です。


日本語の学習に使う力も同じ理屈で落ちる


見落とされがちですが、日本語にも同じ構造が当てはまります。海外で日本語を使う機会が限られていた場合、会話はできても読み書きに空白が生じています。特に影響が出やすいのは、漢字と読解です。


学年相応の漢字を習っていない、教科書の説明文を読み解く経験が足りないという状態で日本の学校に入ると、国語だけでなく社会や理科の学習にも響いてきます。使わなければ伸びが止まるという構造は、英語も日本語も変わりません。補習校に通っていたご家庭でも、週1回の授業だけで日本の進度に追いつくのは容易ではないでしょう。


駐在中の日本語学習をどう組み立てるかについては、海外在住中の日本語教育の進め方で詳しく扱っています。帰国前から手を打っておけば、帰国後の負担は確実に軽くなります。


帰国後1年間の優先順位を決めておく


帰国してから最初の3か月は、学校生活への適応を最優先にしてください。この時期に学習量を詰め込むと、お子様の消耗が大きくなります。英語については、完全に途切れさせない程度に留めておけば十分です。4か月目から6か月目にかけては、生活のリズムを安定させながら、週あたりの学習時間を固定していきます。


国語や算数で遅れている単元を補うのも、この時期が適しているでしょう。7か月目以降は、学習の型をつくる段階に入ります。英語については目標とする級を決めて、対策に取りかかってもよいでしょう。


ここまで来れば、通常の学習ペースに戻せているはずです。


表14:帰国後1年間の優先順位の目安

時期

最優先

英語の扱い

国語・算数の扱い

帰国から3か月

学校生活への適応

接触を絶やさない程度に留める

学校の進度に合わせる

4か月から6か月

生活リズムの安定

週あたりの時間を固定する

遅れている単元を補う

7か月から12か月

学習の型づくり

目標級を決めて対策に入る

通常の学習に戻す

この表はあくまで目安です。お子様の様子を見ながら、前倒しにも後ろ倒しにも調整してください。学校を嫌がる様子があれば、学習の話は後回しにして構いません。


英語と日本語のどちらを優先するかで迷ったとき


両方を同時に伸ばせない場面では、判断の基準が要ります。ひとつの目安は、日本の学校で今すぐ困るかどうかです。国語の読解が原因で授業についていけないなら、そちらを先に手当てすべきでしょう。


一方、再赴任の可能性があるご家庭では、判断が変わります。数年後にまた現地校へ戻るのであれば、英語を落とさない設計が優先されます。ご家庭の見通しによって答えは変わるものだと理解しておいてください。


どちらを選ぶにせよ、選ばなかったほうをゼロにしないでください。週に1回でも触れておけば、後から戻すときの負担がまるで違います。細く長く続ける形を、両方について維持しておきましょう。


英語維持でつまずきやすい場面と対処法

英語維持でつまずきやすい場面と対処法

計画したとおりに進まない場面は、必ず出てきます。むしろ何の問題も起きないご家庭のほうが珍しいでしょう。


つまずきの多くは、原因さえ分かれば対処できるものです。ここでは代表的な5つの場面を取り上げ、それぞれの背景と手当ての方向を示します。


周囲に合わせて英語を使わなくなる


帰国後に多いのが、英語が得意なことを本人が隠すようになる現象です。日本の学校では、周囲と違うことが目立ちやすくなります。授業で発音よく読めば注目され、からかわれる場面も出てくるでしょう。


こうなると、お子様は意図的に英語を下手に見せるようになります。家庭でも英語を話さなくなり、教材を避けるようになります。


学習量が減ったのではなく、使いたくない気持ちが先に立っている状態です。サインは日常のなかに表れます。学校での英語の授業の話を避ける、英語で話しかけると日本語で返す、英語の本を人前で開きたがらないといった変化が続くようであれば、この可能性を疑ってください。


対処の方向は、英語ができることを肯定的に位置づけ直すところにあります。家庭では、英語が特別なものではなく、その子の持ち味のひとつだと伝えてください。同じ経験を持つ子どもと接する機会をつくるのも有効です。


帰国子女の集まる教室やオンラインの場では、英語ができることが当たり前になるため、隠す必要がなくなります。学校の担任に事情を共有しておくのも、状況によっては助けになるでしょう。


お子様が英語を嫌がるようになる


同調圧力とは別に、英語そのものへの抵抗感が生まれる場合もあります。現地では生活の道具だった英語が、帰国後は勉強の対象に変わるためです。楽しかったものが課題になれば、気持ちが離れるのも無理はありません。


このときは、量を減らしてください。毎日30分を10分にしても、続いてさえいれば維持は成り立ちます。


加えて、題材をお子様の興味に寄せてみましょう。教材から離れて、好きな分野の動画や本に切り替えるだけで、態度が変わる例は少なくありません。


保護者が教えようとして関係が悪化する


家庭で保護者が指導役を担うと、感情的な衝突が起こりやすくなります。できないことに苛立ち、つい強い言葉が出てしまう場面は誰にでもあるでしょう。それが続けば、英語の時間そのものが親子にとって苦痛になります。


役割を分けるのが解決策です。保護者は環境を整える役に徹し、教える作業は外部に任せてください。教材を用意する、記録をつける、進み具合を見守るという管理の側に回れば、衝突の機会は大きく減ります。


これは家庭学習を否定する話ではありません。読み聞かせや一緒に動画を見る時間は、保護者だからこそできる関わりです。教える役と支える役を切り分けて考えましょう。


教材のレベルが合わなくなる


易しすぎれば飽き、難しすぎれば続きません。半年前にちょうどよかった教材が、今も合っているとは限らないのです。選ぶ基準は、楽に取り組める水準に置いてください。特に多読では、辞書を引かずに読める本のほうが量をこなせます。


学習の効果は、難易度よりも継続した量から生まれます。見直す時期をあらかじめ決めておくと、対応が遅れません。学期の変わり目や、英検を受けた後といったタイミングを目安にするとよいでしょう。


きょうだいで維持の度合いに差が出る


帰国したときの年齢が違えば、残る英語力にも差が生まれます。上の子は読み書きまで身につけていたのに、下の子は会話だけだったという状況は珍しくありません。


このとき、同じ教材や同じ目標を課さないでください。どちらかに負荷が偏り、片方は退屈し、もう片方は苦しむことになります。年齢と現在地に応じて、個別に基準を設ける必要があります。


比較の言葉も控えましょう。お兄ちゃんはできたのに、という一言が英語嫌いの引き金になる場合があります。それぞれの伸びを、それぞれの基準で見てあげてください。


表15:つまずき別の対処

つまずき

主な原因

対処の方向

周囲に合わせて英語を隠す

目立つことへの不安と同調圧力

英語を持ち味として肯定し、同じ経験を持つ仲間と接する場をつくる

英語を嫌がる

勉強としての負荷が急に上がった

量を減らし、興味のある題材に変える

親子で衝突する

保護者が指導役を兼ねている

指導を外部に任せ、管理役に回る

続かない

形式が合っていない

読む、聞く、話すの間で置き換える

きょうだいで差が出る

帰国時の年齢が異なる

個別に基準を設け、比較を避ける

どのつまずきにも共通するのは、お子様の気持ちが動いている点です。学習量や教材の問題として処理しようとすると、対処を誤ります。なぜ避けているのかを先に考えてから、手当ての方法を選んでください。


帰国子女の英語力の維持に関するよくある質問

帰国子女の英語力の維持に関するよくある質問

ここでは、米国駐在中のご家庭や帰国直後のご家庭から寄せられることの多い疑問を取り上げます。


個別の事情によって答えが変わる項目については、その旨を添えました。ご自身の状況に近いものから読み進めてください。


帰国してどのくらいで英語力は落ち始めますか


一律の期間を示すことはできません。何歳で帰国したか、現地に何年いたか、そして日本に戻ってから英語にどれだけ触れているかによって、進み方はまるで違ってくるためです。共通して言えるのは、変化が緩やかに進むために気づきにくいという点でしょう。日常的な受け答えは長く残るので、順調に見えてしまいます。半年に一度は、同じ指標で測る習慣を持っておきましょう。


保護者が英語を話せなくても維持できますか


問題なく維持できます。保護者に求められる役割は、英語を教えることではなく、環境を整えて続きを見守ることだからです。具体的には、教材やサービスを選ぶ、学習の時間を生活のなかに組み込む、記録をつけて進み具合を確認するという3つが保護者の仕事になります。どれも英語力を必要としません。読み聞かせについても、音源つきの絵本や朗読の動画を使えば成立します。声かけについては、内容ではなく取り組み自体を認める形にしてください。今日も読めたね、先週より長く書けたね、というように行動を具体的に認める言葉が効果的です。


発音や文法を評価しようとすると、かえって萎縮させてしまいます。添削や会話の相手といった、英語力が必要な部分は外部に任せましょう。指導する相手を用意すれば、その部分だけを補えます。保護者が英語を話せないことは、英語維持の障害にはなりません。


英検を受け続ければ英語力は維持できますか


目標としては有効ですが、それだけでは不足が生じます。英検の対策で伸びるのは主に読解と語彙であり、話す機会は別に用意する必要があるためです。級を取ることが目的になると、対策問題だけを解く学習に偏りがちです。読む、書く、話すのバランスを保ちながら、英検は現在地を測る道具として使ってください。


オンライン英会話だけで十分ですか


年齢によって答えが変わります。未就学から低学年であれば、話す機会を保つことが中心になるため、オンライン英会話の比重が高くても構いません。一方、高学年以上では不足が出てきます。学習に使う英語を伸ばすには、まとまった文章を読み、論理を組み立てて書く練習が欠かせないためです。年齢が上がるほど、読解と作文の比重を上げていってください。


インターナショナルスクールに通わせるべきですか


英語環境は保たれますが、費用と進路の面で制約が生じます。学費の負担は大きく、日本の大学へ進学する際の要件も、学校の認定状況によって扱いが変わってきます。判断はご家庭の見通しによって分かれるでしょう。再赴任や海外進学を視野に入れているなら有力な選択肢でしょう。日本での進学を前提とするなら、他の手段と比べたうえで決めるべきです。個別の要件は、必ず学校と進学先の双方に確認してください。


日本の公立小中学校の英語の授業では維持できませんか


授業だけで帰国子女の水準を保つのは、多くの場合難しいでしょう。授業は英語に初めて触れる児童生徒を前提に組まれているため、現地校で進んでいた読み書きの続きを扱う場面がほとんどないためです。学校の授業を軽んじる必要はありません。ただし、それとは別に学校外で接触時間を確保する設計が要ります。学校で足りない部分を家庭とオンラインで埋めるという考え方で組み立ててください。


再赴任の可能性がある場合はどうすればよいですか


維持ではなく伸長を目指す設計に切り替えてください。現地校に戻ったとき、学年相応の授業についていく必要があるためです。日本にいる間も、学年に応じた読解と作文を続けなければ、戻ってから苦労します。具体的には、英語で書かれた教科の教材に触れる時間を保つとよいでしょう。理科や社会の内容を英語で読んでおけば、現地校の授業への復帰がなめらかになります。オンラインインターナショナルスクールを併用する選択肢も検討に値します。


帰国後すぐに英語の学習を始めるべきですか


急ぐ必要はありません。帰国直後の3か月は、学校生活への適応を優先してください。

この時期に学習を詰め込むと、お子様の負担が大きくなりすぎます。ただし、完全に途切れさせるのは避けましょう。週に1回でも英語に触れる時間を残しておけば、生活が落ち着いた後の再開がずっと楽になります。細くてもよいので、糸をつないでおくことが大切です。


まとめ

まとめ

英語の維持は、帰国後に慌てて始めるものではありません。お子様の年齢に応じた到達目標を決め、駐在中から家庭学習とオンラインを組み合わせて設計しておけば、帰国後の負担はずいぶん軽くなります。


最後に、この記事で扱った要点を整理しておきましょう。


年齢に応じた目標を決めることが出発点になる


測れる基準がなければ、家庭学習は続きません。小学生以上であれば英検の級や読書量といった数値で置き、未就学の時期は英語を嫌がっていないかという状態で判断してください。


英検とCEFRは、年齢を問わず使える共通の物差しになります。3級の合格はA1、2級の合格はB1、準1級の合格はB2の範囲にあたります。年に2回、同じ指標で測り直す習慣を持っておきましょう。


駐在中の準備が帰国後の結果を左右する


帰国前に済ませておきたい準備は3つあります。ひとつめは受け皿を探しておくことで、教室には定員があるため直前では間に合いません。


ふたつめは記録の保存です。成績表、担任のコメント、作文の作品は、帰国してからでは手に入りません。


3つめは空白をつくらない設計で、引っ越しの前後に学習が完全に途切れると、再開の負担が重くなります。


家庭学習とオンラインを役割で分ける


家庭が担うのは毎日の接触です。多読、音読、動画、そして書く習慣は、費用をかけずに続けられます。海外の友人との交流を保つ工夫や、家庭内で英語を使う時間の設定も、家庭でできる取り組みに含まれます。


一方、添削と会話の機会はオンラインで補うとよいでしょう。年齢が上がるほど、書いた文章を見てもらう価値は高まります。ご家庭の状況に合わせて、この配分は調整してかまいません。


英語だけに偏らない設計を心がける


帰国後は、国語の補填や学校生活への適応が同時に来ます。最初の3か月は適応を優先し、英語は途切れさせない程度に留めておいてください。


学校選びや入試を目標に据える方法も、英語を使い続ける環境をつくる手段になります。ただし英語環境だけで学校を決めると、他の面で無理が生じます。お子様が安心して通える場所であることが、あらゆる学習の土台です。


表16:英語維持のチェックリスト

確認項目

確認欄

年齢に応じた到達目標を決めている


年2回、同じ指標で測っている


週あたりの学習時間を固定している


読む、書く、話すのバランスが取れている


帰国後の受け皿を確保している


英語を使う必然性のある場面を用意している


日本語や国語の学習時間も確保している


アメリカ宿題サポートのレッスンは4つのステップで始められる


試してみたいと思ったときに、手続きが複雑だと最初の一歩が重くなります。アメリカ宿題サポートでは、次の流れでレッスンを始められます


表17:レッスン受講の流れ

手順

内容

1

講師紹介のページから、学年や科目で絞り込んで講師を選ぶ

2

講師とレッスンの種類、時間を選んで予約する

3

ZoomまたはGoogle Meetでレッスンを受ける

4

続ける場合はメンバーシップに入会する

予約後の講師とのやり取りには、LINEアプリを使う形です。初回クーポンコードは「FirstTime」で、コードをコピーしてチェックアウト時にご使用ください。


対象は小学1年生から高校3年生までとなっています。まずは1回試してみて、お子様と講師の相性を確かめるところから始められます。



記事作成者 (Manami Palmini)


まなみ

講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い



 
 
 

コメント

コメントが読み込まれませんでした。
技術的な問題があったようです。お手数ですが、再度接続するか、ページを再読み込みしてださい。
bottom of page